ボッチのモンスターテイム
遅れて申し訳有りません。
前回の後書きで朝霧さんに殺されかけたFです。
たまたま所持していたヒラル草のおかげで一命を取り留めたものの回復に時間が掛かりました。
と言う言い訳はこのぐらいにして、本編をどうぞ。
西の森でゴブリンの討伐を終えた昴達はそのゴブリン達の左胸、心臓付近─優姫が倒したゴブリンは細切れになっていて何処が心臓付近かわからない─に有る魔石を取り出してから街へ帰るため来た道を歩いていた。
それにしても朝霧さんが急に上機嫌になったけどどうかしたのかな?
昴の言う通り優姫は帰路について直ぐ鼻歌を歌い出して誰の目から見ても機嫌が良くなっているのは一目瞭然なのだ。とはいうのも先程、作者に胸を大きくしてくれと言う頼みを聞いて貰えなかった恨み、昴に絶壁で弄られた怒り、巨乳達に対する僻みなどをぶつけてきたからだ。そのおかげで昴は優姫のGOUMONNを免れたのだが昴はまだ知らない、全く恩知らずな奴め。
「朝霧さん、あれ何ですか?」
如何して優姫の機嫌が良くなったのか考えていた昴は視界の端に入った少し離れたところにあるソレが何なのか優姫に問う。
「え、あれ?…あ〜あれか…なんだろうね、あれ」
その草原にあった白いソレは優姫にも何かよくわからないようだ。行きしなにはそれが無かったのでソレが誰かの落し物なのかそれとも生き物なのか昴達は判断しきれないでいた。
「よし、見に行ってみよう」
優姫の提案に乗って昴達はソレに近づいていった。昴達が有る程度近づくとソレが何なのかわかった。
ソレは純白の羽毛に覆われていて羽根の生えた少し首の長い蜥蜴の様な形をしていた─小さな竜が眠っていた。
「「可愛い〜〜!」」
「何?この可愛い生き物めちゃくちゃ欲しい」
「あ、ずるい昴、私だって欲しいよ」
そう言えば『調教師』ってスキルあったよな、あれ使えばテイムできたりして。あれ、『調教師』ってどうやったら使えるんだ?
「『調教師』のスキルは基本的には魔法と同じ要領で使えるよ。まぁ相手を屈服させる必要があるけどね」
「まだ何も言ってないんですけど。まぁ今はそんなこと置いといて、さっそく…そう言えば魔法ってどうやって使うんですか?」
「えーと、『身体強化』と似た様な感じだよ」
「ありがとうございます」
『身体強化』と似た様な感じって事は魔力を全身にめぐらせて、後はイメージで…何をイメージすればいいんだ?まぁ良いか、『調教師』発動!
昴がそう念じると胸の中央から光の球がその小さな竜に向かって飛び出してその小さな竜に当たると光の球は弾けて消えた。小さな竜は光の球が当たったことで目を覚ましたらしく首を持ち上げて辺りを見渡した後、昴の方へゆっくり飛んできた。
うわぁ〜この子超可愛い〜
そんな事を思いながら竜の頭を撫でようと差し出した昴の手の人差し指をその竜はパクッと噛んだ。
「痛っ…くない?」
小さな竜は目を細めながらムニュムニュと昴の人差し指を食み続けていた。
「痛くはないけど何やってるんですか?これ」
昴は今尚指を食み続けている小さな竜を指しながら隣から恨めしそうな目で見てくる優姫に聞いた。
「多分、これは昴の魔力を食べてるんだと思うよ」
「え、魔力って食べられるものなんですか?」
「普通は無理だよ、けどね竜種だけは特別で普段は空気中や水中に有る魔力を食べて生活をしているんだよ。その代わりに肉や魚なんてものはほとんど食べないんだけどね。で、その子はその特性を利用して昴の魔力を食べているんだよ」
「へぇ、朝霧さんって何でも知ってるんですね」
「何でもは知らなry「朝霧さん、ちょっと黙りましょうか」はい、ごめんなさい。調子に乗りました、勘弁してください」
はぁ、隙あれば物○ネタを挟もうとしてくるんだから朝霧さんは。
「で、朝霧さんこの子なんで種族なんですか?」
「多分エレメンタルドラゴンって言う種族だと思うんだけど断言しにくいんだよね」
「え、どうしてですか?」
「普通エレメンタルドラゴンの羽毛の色は赤、青、緑、茶の内のどれか何だけどこの子の場合は羽根が真っ白だから断言できないんだよ」
ヘェ〜……え、赤?赤い毛って確か魔族だけの筈じゃなかったっけ?
「魔族は赤い魔力光なだけで、地毛は赤くないんだよ」
確かに昴の思った通り赤い毛は魔族の特徴なのだがそれは優姫のいった様に生まれつき高い魔力の魔力光によって髪が赤く染まっているだけであって地毛は茶色が殆どだったりする。それに比べエレメンタルドラゴン(赤)は地毛が赤なのだ。エレメンタルドラゴンの魔力光は地毛の色など関係なく総じて白だったりするので色の薄い方が高い魔力を持っている。
「てなわけなんだよ」
「それじゃあこの子は羽を染め切るぐらい高い魔力を持っているってことなんじゃないですか?」
昴は未だに自分の指先を食み続けているエレメンタルドラゴンに眼を向けながら優姫に疑問を問う。
「まぁそうなんだと思うけどね、エレメンタルドラゴンの羽の色はある程度までならすぐ魔力光の色に染められるんだけどそれ以上染めようとするとかなりの魔力が必要なんだよ。それこそ竜の中でも最弱手に当たるエレメンタルドラゴンが持っているのはずのない量の魔力がね」
「じゃあこの子は突然変異か何かで高い魔力を持って生まれてきたとかそんなんじゃないんですか?」
「うん〜まっいいかそれで、それよりもこの子の名前を決めようよ」
「そうですね、何時までも名無しなんてかわいそうですしね」
とは言ったものの何も浮かばないんだよなぁ。朝霧さんの案にかけてみよう。
「あ、そうだ。ライスシャワーなんでどう?」
「いや、ライスシャワーって」
「やっぱりダメか。じゃあタマモクロス、それかヒシアマゾン」
あれ?なんか聞いたことある名前ばっかだなライスシャワー然りタマモクロス然り…もしかしてこれって?
「それともクロフネ?あ、エアグルーヴの方がいいかな?ミッキークイーンの方が好みだったりして」
やっぱり!
「全部馬の名前じゃねーか!」
「あれ、ばれた?」
「あれ、ばれた?じゃねーよ!何ドラゴンに競走馬の名前つけようとしてんの?ちょっとは考えてくださいよ」
全く考えず優姫に丸投げした昴が自分の事を棚に上げてツッコミを入れる。
「じゃあ昴は何かいい名前でもあるの?私の考えた名前よりいい名前が出なかったら競走馬の名前で行くからね」
「マジっすか?」
「マジっす」
はぁ仕方ない真面目に考えますか。……あれ?そういえばこの子って性別どっちだ?朝霧さんだったらわかるかな?
「自分で聞けばいいじゃん、『念話』のスキル持ってるんだから」
「あのまだ何も…まぁいっか、いまに始まったことじゃないし。できれば辞めてもらいたいんですけど。それにしても『念話』か、そう言えば有りましたねそんなの。使い方は創作物でよく見る脳内に語りかける感じでいいんですか?」
「そうだよ、大抵の魔法は創作物で出てくるようなのを想像すれば使えるよ。まぁ魔力を練る必要はあるけどね」
「そうですか、ありがとうございます」
《あ〜テステス此方桜本昴、聞こえますか?》
昴は未だに指を食み続けている真っ白なエレメンタルドラゴンに呼びかけた。
「!?」
突然頭の中に呼びかけられたドラゴンはビックリしたのか今まで食み続けていた指を放し周りをキョロキョロと見回す。
「?」
ドラゴンは幾ら見回しても頭の中に直接語りかけてきた相手を見つけられずに首を傾げる。
《此処だよ此処。ほら、いま目の前にいる》
そんなドラゴンに対して昴はもう一度念話で話しかけた。
また脳内に直接語りかけられたドラゴンはもう一度周りを見回した後、ゆっくりと昴の方を向く。
《もしかして…ご主人?》
《うん、そうだよ。僕は桜本昴、よろしく》
《ボクの方こそよろしく、ご主人》
《ボクってことは、雄?》
「イッタァ!」
昴がドラゴンに雄?っと聞いた途端、ドラゴンが歯を立てて昴の腕に噛み付いた。
《ボクは正真正銘雌だよ!幾らご主人でも噛むよ》
「いや、もう噛まれてるから!」
などというやり取りを30分程続けた昴とドラゴンだった。因みにこの30分間、優姫はずっと競走馬の名前をぶつぶつと呟いていた。
*
この30分間のやり取りで分かったのはドラゴンの性別、適正魔法、多数の競走馬の名前だった。
「水のエレメンタルドラゴンで雌かぁ…」
《うんそうだけど、其れがどうかした?》
昴の呟きに首を傾げながら答える。
「じゃあ今から君の名前はディーネだ」
《ディーネ、ディーネかぁ…えへへ》
「気に入ってくれた?」
《うん!ありがとうご主人、改めてよろしく》
「此方こそよろしく」
「名前はもう決まったみたいだね」
今までずっとぶつぶつと競走馬の名前呟いていた優姫が会話に交じってくる。
「私は朝霧優姫よろしくね、ディーネちゃん」
《よろしく、優姫》
「あ、良かったら私の魔力も食べる?」
そう言って優姫は人差し指を差し出す。
《え、いいの?食べる食べる》
ディーネはその指を嬉々として咥え食み始める。嬉々として食み始めたディーネだったが直ぐに食む速度が衰え始め、終いには優姫の指に歯を立てて強く噛み付いた。
「痛い痛い痛い痛い、痛いから離して!」
ディーネは優姫の指を離すと唾を地面にペッと吐き捨てた。
「何するの、痛いよ」
《そっちこそ何するんだい!こんな不味い魔力なんて初めてだよ!何これ、新人いじめ?!》
その後も優姫はディーネにガミガミと文句を言われ続けてテンションが零地点突破したのだった。
ざまーみろ!作者に楯突くからこうなるんだバーカバーカ!おっと背後から殺気が…命も惜しいですし今回はこのぐらいにして、次回もよろしくお願いします。さようなら〜