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ボッチ、初めての魔法

m(_ _)m

回復効果のある魔法を乗せたディーネのブレスで3度目のフリーズから回復した朝霧さんはなにやらぶつぶつと呟き始めた。


「其れで朝霧さん、魔法の使い方を教えて欲しいんですが」


今、最強の戦士やら軍団やらと聞こえたけど…まぁ気にしないでおこう。


「そういやそうだったね、忘れてたよ。で魔法の使い方だけどね、こうグッとしたらゾワワ〜ってくるから其れをギュッとしてバッってやったら発動するよ」

「………」

《………》


優姫の説明になってない説明によって暫しの間食道内に静寂が流れた。


《ごめん優姫、なに言ってるか分かんない》

「忘れてた、朝霧さんが説明下手だって事」

《それにしても限度ってものがあるでしょ》


そう言ってディーネははぁ、とため息を漏らす。


「あれ?どうしてそこまでボロクソに言われてるのかな?私」

《仕方ない、ボクが一肌脱ぎますか》

「え、ちょっスルー?酷いよディーネ」


優姫の言葉に昴とディーネはそっちの説明の方が酷い、と思わず突っ込みを入れそうになるのを必死に押し殺してスルーした。



《ディーネ先生の魔法講座》

「ドンドン」「パフパフ」


日頃、子供達に勉学を教えるために使われている教室の一つに昴達は食堂から移動してきていた。


「で昴、何なの?これ」

「さぁ?其れは僕にも分かりません」


ディーネに言われるがままこの教室にやってきた昴と優姫は突如始まったディーネのタイトルコールに乗ってみたもののいまいち状況を把握でいていなかった。


《だから説明が壊滅的に下手な優姫の代わりにボクが魔法を教えてあげるって言ってるの》

「壊滅的…」

「其れは有難いけどディーネって魔物だよね、人間の技を教えるなんて出来るのか?」


昴はディーネの言葉にショックを受けてる優姫を無視してもっともな疑問をディーネに投げかけた。


《なに言ってるのご主人、ボクはこれでも竜種なんだからそんなの余裕に決まってるじゃん》


竜種とはその名の通り竜系統の魔物の事で基本的に高いステータスと人間と同等かそれ以上の知能を持っている。エレメンタルドラゴンはステータスは其れほど高くないものの知能は高い。其れはディーネも例外ではない。


《まぁそんな事は置いといて魔法の発動方法なんだけど、一般的には魔力を練り起こす現象をイメージしながら詠唱するのが基本的な方法なんだ》

「え、でも朝霧さんは詠唱なんかしてなかったけどどうして?」


昴はいつもボコボコにされる朝霧さんとの訓練を思い出しながらディーネへ質問した。

因みに優姫はというともう机に伏して寝ている。


《其れは詠唱破棄だね》

「あ、やっぱりそうだったんだ」

《詠唱破棄は詠唱をしない分発動までの早さと連射性に大きなアドバンテージが有るけど、デメリットもいくつかあるんだ》

「デメリット?」

《例えば詠唱しない事でイメージがあまくなり魔法の威力が落ちたり上手く魔法が発動しなかったり、とか。後は闇魔法の一種で幻覚、催眠を相手に掛ける様な魔法は詠唱自体が暗示になってたりするから詠唱しないと掛かりにくかったりとか。まぁ詠唱しなくても強くイメージ出来るなら闇系統の魔法以外は詠唱破棄した方がメリットの方が大きい》

「じゃああの魔法陣にはどんな役割があるんだ?」

《魔法陣は円で魔力を循環させ円の内側に沿って書かれてるヒエログリフの様な文字で起こす現象を決め中心の幾何学模様でこの世界に干渉し文字で定めた現象を起こす役割があるんだ》

「え、じゃあ魔法を使うにはそのヒエログリフの様な文字も覚えなきゃいけないのか?」


もしそうなら魔法を修得出来る気がしない、と昴は頭を抱えた。昴がまだ日本にいた頃、と言ってもアゾットに来てからまだひと月も経っていないのだが、学校での昴の成績は平均を少し上回るぐらいで悪くわないけど大して良くもなかった。其れゆえ昴はヒエログリフの様な文字を覚えれる自信がないのだ。


《大丈夫、魔法陣は魔法を使おうとすると自動的に形成されるから特に覚える必要はない》


その言葉を聞いて頭を抱えてた昴はほっと胸を撫で下ろした。


《ただ》

「ただ?」

《ヒエログリフの様な文字を覚えていれば相手が形成した魔法陣からどんな魔法かを読み取れるから戦闘で優位に立てる様になるんだ》

「覚えなくても損はしないけど覚えてた方がいいってわけか。まぁ気が向いたらその内覚えようかな」

《その時はまたボクが教えてあげるよ》

「ありがとう、ディーネ」

《どういたしまして。後は…あ、そうそう魔法の属性についてだけど、魔法には火、水、風、土、光、闇の基本6属性とその上位互換の である焔、氷、雷、金、聖、邪の上位6属性があるんだ》

「氷と雷はわかるんだけど他の4属性は基本6属性とどう違うんだ?」

《その4属性は基本6属性と大して変わらないけど、焔と火の違いは最大熱量だね。火は最大で200度ぐらいまでしか上がらないけど焔は注ぐ魔力が多ければ多いほど熱量が上がる。金は土では出来なかった金属の生成、操作ができるんだ。とは言ってもミスリルやオリハルコンといった様な魔法金属は流石に無理だけどね。聖と邪も焔と似た様な感じだね》

「へぇ、そんな違いがあるんだ」


にしても最後の二つかなりアバウトだったな。


その最後の二つに関しては作者がめんどくさがったからなのだが昴には知る由も無い。


《他にもいくつかあるんだけど今教えれるのはこのぐらいだね、何か質問でもある?》

「魔法剣ってないんですか?」

「其れは無理だったよ」


先程まで机に伏して寝ていた優姫が起きてきた。


「刀身に魔法陣を描いてもその側面から魔法が出るだけだったし、鍔に描いたら魔法で刃が砕け散ったからね」

「なん…だと?」

「因みに他の人達にもやらせて見たけど結果は同じだったからね」


その言葉を聞いて昴は膝から崩れ落ちた。異常なスペックの優姫だから刀身が耐えきれなかったのではないかと少し期待していた昴だがそのほんの少しの希望すらも消え去ったのだ。


他に何か方法がないか?


「無いから諦めよ?」


またナチュラルに心を読みやがって、まぁあれば朝霧さんが試してるか。…あれは試したのかな?


「あれって何のことかな?」

《ねぇ優姫、さっきからなに一人でブツブツ言ってるの?気持ち悪いよ》


昴の心を読んで喋っていた優姫なのだが其れを知らないディーネから見たら一人で喋っている上、明らかに独り言では無いのだから気味が悪いのだ。


「えっと、刀身に魔法陣を描くのではなくて刀身を魔法陣にするのは試し他のかなって…やってないんですね」

「うんその発想はなかったよ」

「じゃあちょっと試してみますね」


そう言って昴は腰に差してあるオリハルコンの剣を抜いて地面と垂直になる様に両手で構えた。少しすると刀身を縁取る様にヒエログリフの様な文字が腹の部分には幾何学模様が浮かび上がる、が同じ銀色なのでかなり見えにくい。


「見えにくいね」

《そうだね。でもその方が魔法を読み取られにくいしいいんじゃない?》


と優姫達が話していると昴の持つオリハルコンの剣の刀身から水が噴き出し、その水を纏った。


「で、出来た」

「凄いね昴、普通は思いついてもすぐにはできないよ」

《流石ご主人、物覚だけ(・・)は良いんだから》

「ディーネって偶にひどいよな」


ディーネの何気ない一言が昴の胸にぐさりと突き刺さった。


「まぁそんなことは置いといて」


そんなことって、とは言っても朝霧さんの場合は今に始まったことじゃないんだけど。


「其れって拳とかでもできるの?」

「さぁどうなんでしょうね。ちょっとやってみます」


そう言って昴は右手に意識を集中し始めた。すると先程の剣と同じ様に文字が手をかたどる様に、幾何学模様が手の平と甲が浮かび上がり水が手を覆う。少しの間手や指を動かしたり水の形を変形させた後魔法を解いた。


「できました」

「できたね」

《あれ?ねぇご主人、其れは消さないの?》

「え、其れって?」

《その右手のやつだよ》


そう言われて右手を見る昴。その右手には先程魔法をまとわせた時に浮かび上がっていた文字と幾何学模様が輝いてはいないもののまだ消えずに残っていた。


「あれ?おかしいな。これをこうやって、あれ?」


昴はその右手を少し弄ったがなにも起こらない。


「これ消せないみたいです」


暫しの間教室内に静寂が満ちた。

〜その頃の作者〜


プルルルルプルルルルガチャ


「はいもしもし、Fです」

「あ、また朝霧さんですか

「何々?クレーム?胸の件については先日述べた通り無理ですよ。え、違う?」


………


「成る程、つまり説明をうまくできる様にしろと。其れはもうそちらの頑張り次第としか…もしもし、朝霧さん?ちょっ待ってくださいもう勘弁してくださryギヤァァァァ!」


…………


「また作者を殺っちゃったけどこの作品はまだ続くから次回もよろしくね」

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