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ボッチ、異世界へ

さぁ、いきなりだが僕の話をしよう。登校中に異世界に飛んだ僕、桜本昴の経験した僕の、僕達の話だ!


高校生活2回目の夏休みに入る少し前、梅雨が明けてすぐの6月下旬。昨日から4日間三者面談があるおかげで、学校は昼にまでには終わる。僕の懇談は2日目の3時つまり今日の3時だ。授業態度は至って真面目。テストの点数は平均より少し高いめ。人付き合い以外言われる事は無いだろう。別に虐められてるとか柄の悪い人と連んでると言うわけではない。クラスメイトと仲が悪い訳でもない。寧ろいい方だ。かと言って友達と呼べるような親しい人間もいない。部活もしてないし同じ中学校の奴もいない。ハッキリ言ってボッチだ。その事でまた言われるんだろうな〜と思いつつ家に帰る事にした。


2時40分、僕は面談のためもう一度学校へ行くために家を出た。家から学校までは自転車で凡そ15分。ゆっくり漕いでも十分間に合う。

学校手前の交差点で僕は信号待ちしている。


この信号長いんだよな。何度遅刻しそうになったか。まぁ時間ギリギリに家を出てる僕が悪いんだけど。


『ぎゃあああぁぁ!』


ん?なんだ?


悲鳴の聞こえた方へ視線を向けると一台の

トラックがコッチに向かって突っ込んで来ていた。動けずにトラックを眺めていた僕は衝撃に備えて目を閉じた。

だが、いくら経っても予想していた衝撃が来ない。その上何時からか周りが静かになっていた。その事を疑問に感じ、閉じていた目をゆっくりと開けたその視界に飛び込んできた景色は、先程までの交差点では無く広い草原と遠くにうっすらと見える森や山々。


あれ?どこだ此処?群馬か?群馬、で良いんだよな?関東でこんな場所群馬ぐらいだろうし。でもなんで群馬?何時の間に群馬まで来てたんだろう?てか学校と群馬真逆だしあの道のりからどうやって群馬まで来たんだよ!?


そんな事を考えていたらポケットの中のスマートフォンが鳴り出した。


ん?誰からだ?まぁ出てみればわかるか。


「もしもし」

「もしもし、桜本君?今どこにいますか?」

「えーと、どこでしょう。群馬です。多分、きっと、群馬、かな?此処って群馬であってますよね?」

「 先生に聞かれても困ります。本当に今どこにいるんですか?」

「えーと、遠くに森や山が見える草原のど真ん中です」

「どうして群馬にいるんですか?学校と逆方向ですよ!」


ああ、やっぱり此処って群馬なんだ。


「どうしてって聞かれても、気がついたら此処にいたとしか答えようがありません」

「はぁ〜、分かりました懇談はまた後日にします。気を付けて帰って来るように。」


何がわかったんだろう?まぁそんな事は置いといて、方角がわからないしどうやって帰ろうかな?あっスマホのマップ機能使えば良いんだ。これで道に迷う事がない。スマホ持っててよかった〜。


僕はすぐさまスマホを起動するとホーム画面には見た覚えのない灰色のアプリが入っていた。


なんだ?このアプリ。こんなのインストールした覚えないんだけどな。まぁどうでも良いや。


マップを開くとそこには、

「どこだ此処?」

見た事のない大陸が表示されていた。


いやいやいや、さっきまで日本に居たはずなのにどこだよ此処⁉︎てか地球にこんな大陸無かったはず。って事は此処は異世界か?幾ら何でもそれは無いか。異世界なら電話がかかってくる事は無いだろうし、マップが表示されるわけ無い。まぁそんな事も置いといて、此処から北西に向かって1時間弱の所に大きな街があるみたいだしまずはそこに行ってみるか。


僕は街に向かって自転車を漕ぎだした。



ヤバイ死ぬ。あれから丸二日何も口にせず自転車を漕ぎ続けてる。

え?街に向かったんじゃ無かったのかだって?だから今向かってる途中なんだよ。てか、この大陸広過ぎるだろ。もう二日だよ。二日。誰だよ1時間弱で着くって言ったやつ。まぁ僕なんだけど。そんな事より今日中に着かなきゃ流石に死ぬ。


さらに自転車を漕ぐ事3時間。やっと街に着いた。死ぬかと思った冗談抜きで。後はこの検問を通れればいいんだけど。


「次の人」


そうこうしている内に順番が回って来た。

兵士の格好をした優しそうな顔のオッサンに身分証を提示すればいいのだが、生憎僕は身分証なんてものを持っていない。まぁ事情を話せばどうにかなるだろう。


「君、身分証は?それとその黒い物体はなんなんだ?」


自転車を指差しながらオッサンが言う。


「え?これですか?これは自転車ですけどそれがどうしたんですか?それと身分証はありません」

「そうか、自転車と言うのか。いやなに自転車を見た事が無かったので気になっただけだ。」


そう言いながらオッサンは興味深そうに自転車を眺めている。


「身分証が無いなら名前と出身地、この街に来た目的を教えてくれ」


そう問いつつも目は自転車を離さない。


「えっと、名前は桜本昴、出身は日本の...どうかしましたか?」


日本と言った瞬間オッサンが驚いた様な顔をしてこっちを見た後少し悲痛そうに顔をしかめ、そうかこんな少年が、などと少しつぶやいた後他の兵士に向かって叫ぶ。


「この者を捕らえ、国王様の元に連れてけ!絶対に殺すな!」


あれ?僕何かマズイ事言ったかな?普通な事言ったと思うけど。などと考えている間に拘束され、街の中央にそびえ立つ城の様な建物に連れてこられた。と言うか城だ。


城の中を引きずり回される事十数分、僕は一際大きな扉の前に連れてこられた。僕を引きずり回していた兵士は扉の前にいた兵士と何か喋った後僕を置いて立ち去っていった。


すぐに扉が開いて兵士に連れられ中に入った。中に入ると正面の高台に豪華な椅子とその椅子に座っている口髭を生やした初老の男性が居た。


うわーこの人絶対に王様だ。何でこんな場所に連れてこられなけばいけないんだよ。僕何もしてないんだけど。面倒くさい早く帰りたい。


「ニホンから来たと言うのはお前か?」


王様が不意に口を開く。


「ええ、はい日本から来たのは僕です」

「そうか、ならば我が国の兵となれ」


は?無理無理絶対に無理!ついさっきまで戦争と無縁の国にいたのに無縁に決まってる。此処はやんわりと断ろう。


「僕は戦った事など一度もありませんし戦う力も有りません。兵になっても足手纏いになるだけです。ですので御断りします。」


これで諦めてくれると良いけど。


「そうか、ならば死ね。」


は?嘘だろ?この人頭イカれてるだろ。

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