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第十六話 黒の襲来と異能

はるかは、決壊者の子供達と与えられた部屋で待機していた。

数分前、敵襲があり阿修羅は近衛と共に足早に屋敷の外へ赴いていった。


「依子、先程阿修羅様と何を話していたの?」

式子ちゃんが不思議そうに首を傾げた。


「・・・はるかを守れって言った。」

「そう。・・・襲撃の規模はどの程度なのかしら?敵の正体は聞いた?」

式子ちゃんが不安そうに瞳を揺らす。

「情報は与えられなかった。結界の維持だけしてるように言われた。」

「そうなの?不安だわ。貼り付け、・・・阿修羅様にマーキング?してるのではないの?」


貼り付けくんは、最近能力を隠すのを止めたのかマーキングしまくっている。阿修羅も気付いているはずだけど、今の所お咎めはないらしい。そして、最近誰も彼を名前で呼んであげなくなった。


「今、使ってしまうと今日はもう使えなくなってしまんですよ?使っちゃうの早くないでしょうか?」

貼り付け君は眼鏡を人差し指でクイっとした。前髪が眼鏡の上で切りそろえられていてがり勉っぽい容姿をしている。年齢は9歳で依子ちゃんと同い年だそうだ。


「いいえ。被害が出ているなら早く情報を得た方がいいはずよ。」

式子ちゃんが言った。

「やれやれ、分かりましたよ。それでは、・・・・・」

貼り付け君が能力を行使すると、気のせいだと思うけど眼鏡が光っているようにみえるんだよね。

1分後、貼り付け君が掠れた声でポツリと言った。


「・・・地獄だ。血が、たくさん、肉片が舞っています。黒い見たことのない生き物に喰われている。」

すぐに真っ青な顔で倒れこんでしまった。

「貼り付けくん!!」


慌てて貼り付け君を支える。

「うっぅ。気持ち悪い。は、はるか様すみません。大丈夫です。」

「いや、でも顔真っ青だよ?そこの椅子に座って少し休んで?」

「う、すみません。そうさせてもらいます。」


なんだか、想像以上に被害が甚大らしい。

屋敷内は依子ちゃんの結界があるから大丈夫だよね。


「・・・すごいたくさん、次々と新しく増えていってるように見えました。」

「どれくらいの数?」

「前回攻めてきた隣国の兵よりも多いですね。」

「それって、かなり多いよね?」

貼り付け君は深刻そうな顔で頷いた。


「・・・はるか、ごめんなさい。」

依子も心なしか真っ青な顔になっている。


「うん?どうしたの依子ちゃん?」


「何か来る。ごめんなさい。何かに侵入された。」


その場の空気が一瞬にして凍った。

「な、何かって・・・。」




「っぐあああぁぁ。」

屋敷のどこかから悲鳴が聞こえてきた。


「音の遮断は止めた。みんな戦闘の準備したほうがいい。何で結界の中に入られたか分からない。ここも安全とは言い切れない。」


「せ、戦闘って、俺そんな事したことねえよっ!!」

奏飛君が叫ぶ。その通りだと思った。奏飛君の能力はすごいけど戦闘向きじゃないし、それ以前に子供だし。8歳児に戦えとか無理だよね!今まで、隣国との争いがあっても血壊者は屋敷内で軟禁されていたんだし。おそらく、血壊者には武力は求められていなかったろうし。


「それでも、生きるためには戦うしかない。」

依子ちゃんは力強い意思を秘めた瞳をして言った。


私も覚悟しよう。死にたくない。みんなに傷ついてほしくない。


本当は、分かっていた。もう、私が何かに変わり始めていることに。記憶が戻ってから鏡を見るとき、時々赤く光る目に怯えていた。もう、あの儀式の日から手にしていたはずだ。だけど、気付かなかった。能力はすでにあった。あの日、阿修羅が部下を殺した日、部屋で私は一冊のノートを手にしていた。そのノートの1ページだけ文字が書かれていた。少ない文字は私には読めた。


「改造」

生物、他一定の基準を満たすものに行使可能。

改造の程度は鬼力に影響されるものとする。




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