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グランレコード  作者: 33
3/44

3.恋愛中毒

「終わった―!!」


掃除を始めてから約4時間経過してやっと読書スペースの掃除を終えた。掃除が終了した本棚や机は、埃一つなく年代物特有の暖かな雰囲気を醸し出している。


「そういえば終わったらマスターのところにいって欲しいっていってたな」


私の言葉に横にいたキノコが頷いた。異様にいい子だからだんだん可愛く思えてくるなこのキノコ。


などとキノコにほだされつつあることも認識せずギルドマスター…めんどくさいなギルマスにするか。ギルマスの部屋に掃除の終了を告げに行く。


「ふむ、ずいぶん頑張っていたようだね」


「本好きとしては、本を読む環境というのは大事ですから念入りにさせてもらいました」


「へー、本が好きなの。ならうちのギルドは、面白いのがそろってるからいいかもね。僕蔵書や他のギルドメンバーの本がそろってるから読みたければ読んでいい」


「勝手に読んでいいんですか」


「ギルドの建物で読む分にはかまわないよ。ただギルドの外に持ち出す場合、簡単な手続きが必要だから気をつけるといい。勝手に持ち出した場合、呪いが趣味のギルドメンバーが開発した盗難防止の魔術が発動して大変な目にあうらしいから」


大変な目っていったい…?そもそも呪いが趣味って怖いな、おい。


「覚えておきます」


「そうしたほうがいいよ。そうそう、今日の掃除の報酬をあげるよ」


ギルマスが皮袋を渡してきた。中身はそんなに多くないのか非常に軽い。


「それと夕飯を食堂でとると良い。一食、500ベッドだからその中身で充分足りるはずだよ」


「わかりました。ありがとうございます。ところでこいつの食事ってどうすればいいんですか」


「食事ねぇ…。キノコだから腐葉土でいいと思うけどね。そもそもアルキダケは、自分が必要な栄養素をえるために進化したキノコだからほしいものがあったら勝手に移動するよ。それでなんで食事ってことになったのかな」


「ちょっと手伝ってくれたからお礼ですかね」


自分ばかり食べるのは、気が引けるというのもあった。


「ふーん、まぁいいや。食事にいくといいよ。あぁ、それと皮袋の中の鍵は、君が今日寝る部屋の鍵だから」


それだけいうとギルマスは、机の上に載っていた本を手にもち読みだした。こちらとしてもお腹が減ってきたからお暇して食事をすることにした。






食堂にいくと何人かの人がそれぞれ席に座って食事していた。どうやら先に料金を払ってお盆を貰い料理を貰いにいくようだ。みんな百円玉のような硬貨を5枚手渡してお盆を貰っていく。私も同じ硬貨を出したいところだがさきほど確認したところ銀貨の穴あきバージョンが一枚。足りるという話だったがこの硬貨がいくら分に相当するのか見当もつかない。


「すみません、食事をしたいのですがこれで足りますよね」


とりあえず穴あき銀貨を一枚出してみた。その途端会計の人の笑顔が一瞬固まるがすぐに動きだす。


「10万ベッドをお支払いただいたので9万9500ベッドのおつりとなります。では金額が大きいので9万と」


銀貨九枚を入れ物に置き。


「9000と」


五円玉のような硬貨九枚も入れ物に置き。


「500ベッドです。」


最後に百円玉のような硬貨を五枚置いた。


「ありがとう」


皮袋に硬貨を入れる。丁寧なひとで助かった。これで十万から百の位までの硬貨の種類がわかる。それにしてもどんだけ大金を渡したんだ?


「お盆です。ご飯とパン、それとスープはおかわり自由です」


お盆を受け取ると箸がないのでナイフとフォークそしてスプーンをとった。それからご飯とパンを悩んでここはやはり日本人としては、白飯なのでご飯をいただく。料理コーナーに行くと肉と魚の二種類があり気分的に肉にする。そしてサラダとスープを受け取り席に行こうとするといつのまにかいなくなっていたキノコが椅子に座っていた。私が近づくとその席を降りて勧めるように足を押してくる。席に座り終るとちょこんと地面に座った。


「お前、席とっててくれたのか?」


私の言葉にキノコが頷く。


「ありがとうな」


照れたのかキノコは、もじもじし始めた。ほんとかわいいなこのキノコ。唯一いえば色がどくキノコでなければ最高なのだが。


「席いいかしら」


「どうぞ」


目の前に座ってきたのは、なんとも女盛りの美女だった。褐色の肌に赤薔薇のような華やかな色合いのウェーブのかかった髪、きわめつけはたれ目に入る新緑の緑のような瞳だろう。


「新人さんよね?こんばんは私はローザンヌ。ローザって呼んでね」


「レグといいます。名前の通り美しい赤毛ですね」


「あら、褒め言葉がうまいのね」


女ですから女の褒め方は、わかってますよ。それとうまいもなにもなく事実をいっただけだ。黒髪で剛直な髪だった私の髪ではだせない色だから憧れる。


「ところでしがない新人になにか用ですか」


「うふふ、新人が気になるのは当たり前でしょう?それと、お姉さんがいろいろ教えてあげようかなと」


「ぜひ聞きたいですね」


ローザの言葉ににっこりと笑顔で返した。21年間で得た世渡り術のうちのひとつだ。なにか尋ねるときは、まずはなにより笑顔が一番。


「そおねぇ、新人の子が知りたいっていうと研究者システムかしら?」


「研究者システム?」


「そうよ。うちのギルドは、研究者が研究をしやすいように衣食住の提供と素材の確保とかがあるの。条件としては国もしくはギルドにとってプラスとなるかというところかしら。ついでにいうとその審査をするのはギルドマスターと案内人よ」


「いいシステムですね。でも、なにか裏がありそうですね」


話だけきけばおいしい話だ。衣食住と素材確保。腕っぷしが微妙な研究者にとっては天国なのではないだろうか。


「わかった?大体研究者って貴族が多いの。それで研究のための素材確保のクエストが結構いい額になるのよね。他のギルドだと後回しにしそうな素材確保のクエストをうちのギルドは、率先してやるから評判がいいのよ。研究者なら王立の研究者かうちのギルドの研究者システムの対象者になりたがるわ」


「へぇー、もしかしてローザさんも研究者とかですか」


「研究者ではないわ。私は医者よ。今は食事中だから白衣を着てないけどね♪」


ローザさんが白衣を着ると清廉さよりも色気がただもれになりそう。見た人鼻血を出して倒れるんじゃないだろうか。女の身でもこの色気はきつい。・・・そういえば今の私は男だったな。


「なぁに、お姉さんに興味がある?でも、だめよぉ。婚約者がいるから」


「結婚なさるんですか」


「彼の事業が成功したらここら辺で一番の教会で結婚式をするの!今はまだ事業がうまくいっていないけど彼なら絶対成功するわ!!」


目をきらきらさせてローザさんが歌うように語る。ローザさんのところだけスポットライトが当たっているような雰囲気だ。


「ところでそのお相手は、どんな事業をなさっているんですか」


「植物系のモンスターの材料とセイマ鉱物っていう新しい鉱物を使って新種の金属を作るの!」


「へー、それはすごいですね。どこらへんまでうまくいっているんですか」


新技術というのは博打だが利益の大きいものだ。だから大学や企業では、多額の金額をかけて研究をしているのだ。技術を見つけさえすれば低コストにして利用方法を考えていく。新技術というものがなければその会社や業界が緩やかに衰退していくといっても過言ではない。だから技術者の卵として純粋に興味があって聞いたのだ。しかし、ローザから返ってきた答えは想像とはまったく違っていた。


「まだ開発途中でいろいろな植物系モンスターを集めている最中なの。私が集めて彼がセイマ鉱物と合わせて研究するっていうのを繰り返してるのよ」


「まってください。ローザさんが集めているんですか。医者だと仰ってましたよね?」


「私のお給料でモンスターの素材を買って渡してるの。たまに高価なモンスターの素材を頼まれたりするけど彼と私の夢の為ならいくらでも使うわ!」


それって詐欺なのではないだろうか?ローザさんが買った素材をタダで貰って他の場所に売るとかしたら相手の男の丸儲けだろう。話を聞いただけで推測にしかすぎないのだが。


「興味があるのでその研究をぜひみたいですね。どこでしてらっしゃるんですか」


「うーん、技術秘匿のために教えられないことになってるの」


ますます怪しいな・・・・。


「私もそういうのを少々かじったことがあるんですよ。研究のお役にたてばいいとおもったのですけど」


半分嘘で半分当たりのことをいった。金属に関して調べたことがある。なんせ工学部の人間だ。まったく関わらないなんてことはない。


「あら、そうなの!なら、彼に聞いてみるわ」


にこにことローザさんがいうが相手が詐欺師でないことを祈ろう。などと思っているとローザさんも食べ終わったらしく“ごちそうさま”といって立ち上がった。


「では、また今度話すのを楽しみにしてるわ。レグ」


「こちらこそ、ローザさん」


こちらもにっこりと返事を返してほほ笑み返した。


「また変な人に引っかかってるの」


「うわっ!」


いつのまにか隣には、左腕に人形を抱えながら食事するスーがいた。もぐもぐと口いっぱいに食べ物をふくんで食べる姿が小さな子どものようで大変可愛らしい。なんだか思考がおかしな方向にいっているような気がするが“可愛いは正義”なのでスルーする。しかし変な人とは、なんぞや?


「変な人ですか?」


「ローザは、毎回毎回変な人と付き合ってるの。今の彼氏は、高価なモンスターの素材を欲しいって。前の彼氏は、遠い場所の洞窟にお宝があるからその出発資金がほしいとか。前の前の彼氏は、家の復興の為にお金がいるから貸してほしいとか。その前の前の前も、恵まれない子どもたちのための施設を作りたいからお金がほしいとか。それで・・・」


「もういいです!それより毎回結婚詐欺にあってるってことじゃないですか!」


どれだけ見る目がないのだローザ(あの人)は!それだとすると今回の彼も詐欺師の可能性が非常に高そうだ。詐欺被害にあったギネスでも作りたいのか!?


「毎回みんながお話するけど駄目なの。何人かは“恋愛中毒”だから諦めろっていうけど駄目だと思うの。キノコちゃんもそう思うよ・・・ね?」


スーが突然キノコに話を振ったのにもかかわらずけなげにも頭?を縦にふっている。


「本当に痛い目にあう前に止めてほしいの。だからレグも見張ってね?」


「あっ、はい」


それって新人のギルド員にいうことだろうか。


「お話聞いてくれてありがとなの。スーは、眠いからお休みなさいなの」


目をこすりながらスーは、頭を下げて食堂から出て行くのを確認するとさすがに疲れた。


「とりあえず寝るか」


キノコも了解したのか頭を縦に振ったので自室に戻ったのだった。


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