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グランレコード  作者: 33
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23. 馬鹿と愛も使いよう

暑いですねー。

夏を迎えて暑くなってきた今日この頃。私は、エメラルドの色の海に来ていた。足を入れると冷たいのに、色が明るい緑なだけで視覚的には暖かくみえる。


などと悠長に語っているが私がここにいるのは集団クエストの一環だからであった。


「レインボー貝1000個、アイアン貝1500個、ポイズンナマコ10匹、ホヤホヤ20匹、シークラブ30匹、ソルトフラワー20束を根付き、シーウッドの枝を一抱え、シースライムの外皮?を20枚……ずいぶん採集するものの種類と数が多い。しかも外皮ってなに」


採集するものの目録が書かれた羊皮紙を持ち首を傾げる。答えてくれる人物がいるとは、思わなかったが近くにいたギルマスが話してきた。


「シースライムは、体の周りに水分だけを取り込む膜を持っているのですよ。その膜は、毒に汚染された沼の水をただの水にできるほど濾過ができます。ただなぜ膜にそんなことが出来るのかわかっていないので研究しています」


「それは凄いですね」


ということは今回採集するものは、研究者システム利用者が欲しいものということなのだろう。ダージリンもウバも黙々と貝拾いやナマコ収穫しそうにないし。


それにしても人数が多い。50人くらいいるのではないだろうか。


「珍しそうに見てるわね」


「あっ、ローザさ…ん…!なんちゅう格好をしてるんですか!」


「あら、予定している数さえ揃えばここで遊んでいいから結構人が多いのよ。だから水着を着てるんじゃない」


ローザさんが当たり前のように言っているが水着に白衣って!しかもその水着大事なところほとんど隠してないですよ。


紐は水着に入りますか?


Nooo!


「あら、赤くなっちゃって可愛いわね。今日が勝負なのよ。寂しい夏を過ごすか情熱的な夏を過ごすかのね!」


「はぁ…頑張ってください」


彼氏欲しいなと思っていたがそのためにローザさんと同じような格好をするのは無理だと思った。相当スタイルがよくなくちゃ着れない。いや、スタイルよくても着ない。


「レグ君は、どうするのかしら」


「私は、真面目に採集しますよ。色々みるのは楽しいですし」


「真面目ねぇ。まぁ、怪我したら赤と白のパラソルの所に来てね」


ローザさんは、大きく手を振ってその赤と白のパラソルの場所に行った。


「よし、採集するか」


キノコの為海に来れないアリスの為にお土産も見繕うつもりだ。キラキラしたものが好きなようなので貝殻がいいかもしれない。冬に大活躍したスコップを手に砂浜を歩く。意外と採集するのが落ちていたので楽だ。探索などという便利な魔法がないのでチミチミと拾っていく。


「腰痛ー」


ずっと同じような姿勢をしていたので体が痛い。ノビーとすると凝った筋肉が解されたような気がする。などと開放的気分になっていたらたくさんの啜り泣きの声が聞こえた。もしかしたら船幽霊というものだろうか?


「スーちゃぁん、なんでお留守番なんだぁー」

「魔導映写機を会費で購入したのに!」

「じゃが"待ってる"って言ってたのが可愛かったのう」

「ビーチに水着のスーちゃんを!ビーチに水着のスーちゃんを撮りたかったぁー」

「「「可愛いは正義!」」」



変態共(アリコン)の集まりですね。徐霊が出来そうな船幽霊の方がまだましだ。見なかった振りをしてスルーする。


「あー、こっちもこっちでやっかいだな…」


珍しいものを発見して興奮しているクリスの後ろに、トリカブトがついて行き説明しているようだった。この前のでトリカブトがクリスを好きだとギルマスにばらされてから、トリカブトが猛烈にクリスにアピールしていることに気がついた。クリスの気を引けるようにここのところ海に関する物について調べていたのを知っている。


「目付きがなぁ」


「目付きがなんなんだヒヨコ」


「凄く好きですって……えぇっ、ジル!」


いつのまにか隣にジルがいた。暑いからか半裸になり唯一身に付いているズボンには、愛用の銃がぶら下がっている。


「意外だ」


「私は人の恋路を興味津々にみるジルさんが意外ですよ」


最強になるために慢心している人物だからなぁ。


「テメーこそそうだろうが。人に興味なさそうな顔してんのによぉ」


「…そんな顔してますか」


「感情の起伏が弱いんだっての。本読んでる時くらいじゃねぇか楽しそうなのがよぉ」


顔と体が変わってもそこは変わらないんだな。親に私の態度が、"来るもの拒まず去るもの追わず"と言われた。そんなことは、ないと思うのだが他人から見れば違うのだろうか。


「はぁ…アレ、なんだ?」


トリカブト達より向こう側にゆらゆらと空気が揺れる場所があった。よく見ると人の形に見える。それも一人二人ではなくもっとたくさんだ。


「恋亡霊」


ギクッとして声の方向を向くといつもの格好のキョンがいた。この陽射しと暑さなのに黒いローブで熱くないのだろうか。


「ずいぶん珍しいのが出てきやがったな。そうとう厄介だぜ」


「恋亡霊ってなんですか」


「夏だからってなぁ。盛り上がってフラれて撃沈した奴の思いの成れの果てだ。仲間を増やす為に様々な妨害工作をする。その妨害工作は、集まっている数が多いほど悪質になって死人が出たりする。だから討伐対象だけどよ。物理攻撃は効かない、魔法も空間の一種の徐霊じゃねぇと効かねぇ」


いわゆる特殊な方法でしか倒せないってことか。


「じゃあ、徐霊できる人を探して徐霊すればいいんじゃ」


「持ってる奴が少ねぇんだよ。おい、キョンお前そういうの持ってないか」


「結界張って…封印だけ。…バラバラ難しい」


バラバラってどういうことだ?バラバラに逃げられるとってことか。封印しただけじゃ根本的な解決になってないしね。


「マスターなら徐霊出来そうじゃない?万能お化けだし」


「あいつならやりかねねぇな。力を借りるのは癪だがよぉ」


「マスターを呼んでくるから一時的に閉じ込めてもらってもいい?」


「んっ」


そこのところは超優秀で一瞬で結界が完成した。


「ちょっくら呼びに…」


などと思ったらガラスが割れたような音がした。


「おい、割れたぞ!どうしてだ」


「あ~、トリカブトがクリスを抱きしめてるよ」


足場が悪いから転びそうになったのを抱きとめたってところか。ちょっとやってみたいシュチュエーションではあるなぁ。それにしてもあのガラスの割れるような音がした瞬間に恋亡霊に気がつくってずいぶん周りが見えてないね。しかも、さっきよりも恋亡霊の禍々しさがupしてるよ。


「仲たがいさせるために躍起になってるぞ。あいつら」


「そうなんだけどどうしよう…」


近寄りたくないぞあの団体。でもトリカブトは、応援したいしな。どうしようか…。


「俺達に任せろ!愛は世界を救う!!」


どこのキャッチコピーですか。ものすごっく聞いた覚えがあるよ。そもそもお前ら何をする気だ。スーラブがどこからかとりだしたマイクで叫ぶ。


「恋亡霊よ。見よ!我らが救世主(メシア)のスーチョンちゃんだ!」


A判の紙一杯に写真のような緻密さでスーさんが描かれていた。精密だがスーさんの纏う雰囲気がよくでている。しかし本人の了承を獲てから描いたのかこれは?


「「「おぉー!」」」


「スーチョンちゃんの愛らしさ可愛さが良くわかっただろう!ならば不毛な亡霊ではなく我々は、君たちを同士(なかま)として受け止めようじゃないか。日々スーチョンちゃんを愛でよう!」


「「「オォオォッーーー…!!」」」


恋亡霊達が雄叫びをあげた後唐突に消えた。消える前に見えた恋亡霊たちの顔は、どこか嬉しそうでなんでそんな顔なのかさっぱりいってわからない。


「えっ、何故?」


「興味深いね。徐霊をしないで恋亡霊が消えるなんて」


私は、突然現れたギルマスにびっくりだよ。この人いつからいたのよ。なんて思っているとキョンがデフォルメされたスーちゃんが書かれたうちわを持っていた。


「なにそれ」


「もらった」


スーちゃんファンクラブは、布教に余念がないようです。つーか幽霊も会員にするのかお前らはツエーな。


「馬鹿と愛も使いようだな」


とりあえず疲れたから海で泳ぐか。うん。

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