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グランレコード  作者: 33
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17.お茶会

ギルドの会議が行われた次の週にお茶会が開催された。


参加メンバーは、私を含め女王陛下・マリアンヌ・チアキ・キャンディで意外にもスーさんが来てくれた。最初は無表情でまったく行くつもりがないのかと思ったが、予想外にも行く気満々だった。理由を聞くと私とアリスがいれば楽しいからと言っていた。可愛い理由じゃないか!思わず頭なでなでしちゃったよ!ギルドで聞いたからか騒がしい奴がいたけど後ろ蹴りで黙らせる。


「ふふっ、久しぶりね。スーチョン?」


「久しぶり…なの」


到着してからずっとスーは、アリスを抱っこして離さない。アリスは、嫌がる様子もなく抱っこされたままだ。


「おね…陛下、一つ質問があるのですがよろしいですか」


「なにかしら?」


「なぜ彼が混じっているのですか。この手のお茶会は男子禁制でしょう」


それは、私も思うがなんせ私とアリスがいないとスーさん行かないって言うし。だから女王陛下にお茶会に来てと呼ばれて断れないし。それにしてもこの茶会は、男子禁制ですか。(わたくし)体は男でも中身が女だからギリギリセーフにはならないよねー。


「たまにはいいんじゃないですかぁ~?それにレグさんは、陛下に招待されてるから断れないよねー」


「お姉様!?」


「だって次期女王候補の面々を集めるの大変なのよ?定期的にあって人となりを見たいのにあなたもスーチョンも来てくれないもの」


なんかさらっとヤバい言葉(ワード)でてこなかったか?次期女王候補ってさリーゼリアンヌさんの後釜候補ってことだよね??しかもその候補の中にスーチョンが入ってる!?


「あれー、チアキちゃんとレグさん知らないのですかー?次期女王候補は、世間を知るために大型ギルドの案内人になるのですよぉー」


「その言い方だとキャンディさんも次期女王候補ですか」


「せいか~い、キャンディは次期女王の第2候補ですぅ。第1候補はマリアンヌちゃんで第3候補はスーチョンちゃんでーす」


「へー」


次期女王候補がギルドに入るのは、支持者を集めるっていう役割も兼ねてるのかな。ダージリンでは貴族、ウバでは平民。うちはそのハイブリッドというところか。


「堅苦しい話はここまでにしましょう。せっかくのお菓子が冷めてしまうわ。旬のレッドベリーを使ったお菓子だそうよ」


レッドベリーとはイチゴと同じ形状と味である。そのレッドベリーのジャムをつけて食べるスコーン、生クリームとレッドベリーのサンドイッチ、レッドベリーのタルトなどアフタヌーンティーの形式だ。


「癖がありませんがすっきりした味わいですね。レッドベリーの酸味と甘味を殺さない良いブレンドと言った所でしょうか」


「サッサー良かったわね」


陛下が後ろを向くといかにも執事といった見た目の青年がいた。どこにいたんだろうかってくらい気配が薄い。例えるならただいるだけなのに存在が認識されないクラスメート。それに近い雰囲気である。


「私は陛下がお喜びなさるだけで誠に幸せであります」


おぉー、本物の執事さんだー。しかもダージリンで会った執事さんより若いな。穴が空くように見ていたのかサッサーが苦笑いを浮かべる。


「なにか、気になることがありましたか」


「えーっと、ずいぶん若そうな執事さんだなと。30歳いってます?」


「今年で32歳になります。どうも私は、実年齢よりも若く見られるようですね」


「あら?サッサーの姿は、15年前からまったく変わってないわよね。私それがいつも不思議だわ」


もしかしてたまーにいる中学生から見た目変わらない人?でもパッと見で25歳位に見えるから昔は、浮いていたんじゃないだろうか。


「ちょっとそのキノコばっかり構ってないで陛下の話も聞きなさいよ」


「聞いてる。でも、話すこと…ない」


「どういう意味よ!」


マリアンヌが青筋を浮かべてスーを見る。まったくマリアンヌさんは短気だし、スーさんはマイペースすぎだ。


「言葉が足りてないよスーさんは、聞くのが楽しいから聞き役に徹したいんだよね」


「そうなんですの?」


マリアンヌが聞くと返事の代わりなのかスーが頷いている。実際そう思っているかわからないがこうでも言わないと確実にマリアンヌがスーに突っかかるだろう。せっかくの美味しいお茶とお菓子が不味くなるような状況をつくりたくない。


「あなたは表情が変わらないからよくわからないのですのよ。楽しいならいいですわ」


「…ありがとう」


スーが笑顔でお礼を言うとマリアンヌが顔を真っ赤にして顔を背けた。この二人非常に可愛いんですが!ぎゅーってしちゃだめっすかね…。


「レグさん、なんか危ない想像をしていなかったか」


「いえ、まったく」


チアキが疑うような視線を私に向ける。背中にタラリと冷や汗が流れた。変態ギルドにいても自分が変態だとは言われたくない。そんな祈りが通じたのだろうか思わぬ助けが入る。


「チアキさんは、男の方のような喋り方をなさるのね。なぜなのか聞いてもいいかしら」


「たしかに~気になりますねぇー」


「こちらの方が話慣れているからです。それと男避けの意味もあります」


「へ~」


男避けになるかな?逆に男慣れしてなさそうってよってこられるのではなかろうか。それにチアキさんほどの美少女では、言葉使いを変えたところで魅力は減らなそうだ。俗に女の子が僕という一人称を使うのが可愛いという人もいる。注意だけはしておこう。


「変な人を引っかけないでくださいね。いくら言葉使いを変えてもチアキさんの魅力が半減するわけではないんですから」


私がそういうと賑やかだった席が静まりかえる。失言をした覚えはないのだがこの気まずさはなんなのだろう。


「レグさん天然タラシって言われたことありませんかぁ?」


「…いえ?」


男前とか姉御とか言われてたけど天然タラシなんて言われたことないな。などと考えると顔を赤くし私を指差す。


「君は、真面目な人間だと思っていたが俺の間違いだったようだ!この軽薄野郎」


「軽薄?軽々しく言葉を言った覚えはありません。どこか気にさわる内容がありましたか」


「チアキさんは、誉められて照れているのですわ」


「違う!そんなんじゃ…!」


チアキが陛下の言葉を否定するが、依然として顔が赤いのを見ると照れているというのが正しそうだ。事実を言っただけなんだけどね。それにしてもアリスが地味に私を蹴ってくるんだけどどうして?


「陛下そろそろ公務のお時間です」


「もうそんな時間なのね。では茶会はお開きにしましょう」


こうして茶会は、和やか?に幕を閉じた。

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