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グランレコード  作者: 33
20/44

16.三人娘

BL嫌いな人は、とばしてください。

とばしても他の話とつながります。

視界一面に広がる白とピンクがよく晴れた青空に映える。時折風がふけば儚く散りながらもなお美しい花びらが目を楽しませる。


そう今日はギルドでお花見に来ていた。


この世界にもお花見の文化があり桜にそっくりなサークラという木を愛でるそうです。どちらかといえば桜より梅が好きだったりするが、気心の知れた仲間と騒ぎながら見るのは楽しい。


「そういえば場所とりってどうなってるの?」


城下のすぐ近くの場所だからか町の人たちも集まり布を敷いて花見をしている。だから結構な人数でうちのギルドがとれる場所があるとは思えない。


「花見に命かけてる奴がいるからソイツが場所とってるはずだぞ。まっ、俺は花を愛でるスーちゃんを愛でられれば充分だがな」


「安定の変態だね。スーさんこういう人に気をつけてね。何かあったら私を呼ぶんだよ」


「アリス…いる…大丈夫」


スーさんはアリスを抱っこしてついてきている。抱っこされているアリスは、とくに抵抗することもなく静かにしている。アリスの身に何か危険があったらもれなく、状態異常になる粉が放出されるので大丈夫だろう。


「ところでその場所とりしてくれているギルド員はどこ?」


「あそこでおじゃる。赤い布が見えるでおじゃろう」


「……あれ?」


「あれでごじゃる」


一際大きく綺麗な桜の下にこの場に似つかわしくないものが多数ある。黒々としたフォルムに大人二人分の大きな体。あれはゴーレム!?


「みなさま、お付きになりましたの?」


ゴーレムの隙間から紺色の髪のお嬢様という感じの少女が顔を覗かせる。あれは通称"三人娘"だか"貴婦人"と呼ばれているシーカって子だったなぁ。たまに目が合うと生暖かい目をされるんだよねぇ?


「それならこの子たちは、お役御免ですわね。アン、ドゥ、トロワ、カトル、サンク屋敷に戻りなさい」


5体のゴーレムが頭を下げると町の方へ戻って行った。


「相変わらずブランクロア家のゴーレムはすごいね。さすが花守の一族」


「我が家の家訓は、"サークラを守ることが我が一族の誇り"ですから。ベッドフォード国内にあるサークラは、我が一族がすべて守り育てています。ですからサークラに傷一つでもつけましたら我が一族が黙っていませんわよ?」


国内全部のサークラを全部管理できる数の一族ってどういうこと!?某ゲームのピンクの髪の一族を思い出すんだけど…。


「それでも今日は無礼講ですわ。みなさま他の方に迷惑がかからない程度にお楽しみくださいませ」


その声に後ろにいた連中は、酒の樽を持って大喜びしていた。普通そこは、酒の瓶ではないのかと言われそうだがうちのギルドはいいのだ。酒好きの大酒飲みが多いからねー。


たださぁ、私をターゲットして飲ませんのやめろ。ビールは、飲めるが酔わない割に炭酸が腹にくるから料理食えんのよ。トリカブトに飲ませろって言っても赤い顔から真っ青になって嫌だというし。スーラブに矛先を向けようと思ったら完全に出来上がってて潰れてるし。ギルマスにビールを注ぎに行ったら一人だけティーセット持ってきて紅茶飲んでるし。


結局一番下っぱの私にお鉢が回るんですね!


「レグさぁん楽しんでましゅカァ~?」


舌ったらずの声で話かけてきたのは、先ほどのシーカと同じ三人娘の一人でメイクゥという女性である。このメイクゥは、大陸の東からきた移民らしく正しくは美空(メイクゥ)と読むらしい。オリエンタルな雰囲気の女性です。


「はい、とても楽しいですよ。いつもは、あまり話をしない方とも話せて」


「お酒飲んでてもシュトイックでしゅネー。あぁ、ワタシとしては是非う…「どうやらメイクゥは、飲み過ぎで気持ち悪くなったみたいですわ。ごきげんよう!」


嵐のような勢いでシーカが現れるとメイクゥを連れていってしまった。気持ち悪そうというよりも何か言いたげだったのは気のせいだろうか。


「あっ、レグさん。こんにちは」


「こんにちは、アーシャンさん。いいお花見日和ですね」


「うん!僕今日が楽しみで楽しみで夜寝れなかったよ」


アーシャンも三人娘で自分のことを僕という元気な子です。今日は、妙に三人娘に縁があるなぁ?


「ねぇねぇ、レグさんって好きな人いないの?」


その質問に一瞬体が固まる。女の子特有の恋ばなの話が出たよ。こういうの私聞かれるの苦手なんだよね。理由は、簡単でまったくないから聞かれてもない。でも何か期待して聞いてるなら答えたいところだけどなー。


「まったくいないんだよ」


「ふぅん、じゃあエリックさんのことはどう思ってる?」


「美味しい料理を作れる戦場の料理人でしょうか」


突然話が変わったんだがどうしたんだろう?


「ふむふむ、じゃあXは?」


「意外に世話焼きの鍛冶師でしょうかね。武器や防具の使い方や手入れの仕方を教えてくれますし」


「あっ、そうだよね。僕も教えてもらったよ。でもさぁ、弓って剣と違って色々やり方覚えないとちゃんと射れないよね。そこは手取り足取り?」


手取り足取りの部分で寒気がしたんだが気のせいだろうか。今日は、風がなくて天気がいいから寒くないはずなんだけど。


「そうだね。どうも私は言葉で言われても理解しきれないようだから一緒に射る練習をしたね」


「あぁ、あれは眼福でした」


アーシャンがうっとりという顔で言うがそんなにいいものだったろうか。どうも彼女と私の思考には大きな違いがあるような気がする。


「慣れないことにとまどう青年に手取り足取り教えるおじさま。非常にそそら「失礼いたしますわ!」


なぜかまたシーカが現れ今度は、アーシャンを肩に担いでどこかへ行った。隣にいた人物が次々いなくなるのでちょっと不思議だ。


「隣に座ってもいいかの」


「いいよ」


トリカブトがやってきて隣に座るが気にせず私はモグモグととってきた料理を食べる。


「まろが作った薬酒を飲まないかでおじゃる。疲労回復と新陳代謝がよくなるでおじゃるよ」


「ふーん、じゃあ貰うよ。でも味がわからないからこのカップに半分にしてくれ」


ビールを入れていたカップに半分ほど薬酒を入れる。匂いを嗅ぐとお酒特有の匂いと果物の香りそしてほんの少しハーブの香りがした。刺激臭や腐乱臭はしないので飲んでも大丈夫だろう。一気に飲まずに少し舌に乗せる程度に味わうが果物の甘味とハーブのスパイシーな感じが非常にうまい。


「これは、おいしいね。比較的呑みやすい味かもしれない。ビールよりは飲みたいな」


「そうでおじゃるか。まだあるでおじゃるから飲んでかまわないでおじゃる」


「うん、ありがとう」




だがこの薬酒を3杯飲んだ後の記憶がない。次の日に戻った記憶がないのに自室で寝てた。なんでもあの薬酒のアルコール度数が30%あったとか。そんな高い度数の酒なら確実に酔って寝たのだろう。だが私が寝るまで色々やらかしたらしく三人娘が鼻血を出して倒れたそうな。何をしたのか周りに聞いても生暖かい目をされるばかいだ。もしかして暑いと言って全裸にでもなったのだろうか?



※レグが酔った後の話

「トリカブトもう一杯」


「五杯目でおじゃるがレグ殿は酒に強いのう」


トリカブトが感心したように言う。トリカブトは、そんなに酒に強いわけではない。


「ふふっ、そんな強いわけじゃないよ?」


レグは、普段の真面目そうな顔ではなく妙に楽しそうに笑う。これは酔ったことにより精神が高揚したためである。しかし顔色が全く変わっていないので酔っているとは思われていない。


「あっ、頭にサクラついてる」


「レグ殿、サークラでおじゃる。…どうしたでおじゃる?」


突然動いた為かレグは、トリカブトの頭についたサークラの花びらをとったら酔いが回りトリカブトにしなだれかかるようにして寝た。


「レグ殿、レグ殿。寝てしまったでおじゃるなぁ。スーラブの隣にでも寝かせておこうかの」


結果的にレグは、隣にいたスーラブを抱き枕にしていたというのが真相です。

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