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グランレコード  作者: 33
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15. 女王陛下

私は、一人では開けられないだろう大きく豪華な扉の前に立っていた。あまりな場違い感についつい愚痴を溢す。


「……お偉いさんが一般人に会うのが流行りなんでしょうかねぇ(。。)」


「悪ふざけするぐらいには緊張していないんだね。きみは」


ギルマスがいつもの何を考えているかわからない微笑で聞いてくる。なんか怪しいんだよねー。


「緊張しているからこそです(・・)9」


「そうかい、ひとまず中に入るべきだな。陛下を待たせたら怒られるからね」


「怒られる程度ならいいですけど…。デュラハンになりたくありませんね」


デュラハンは、頭のない鎧のモンスターである。ついでにない頭は、脇に抱えて持っているという。


「陛下は、そんな不敬程度で首切るなんてしないですよ。首を切られるのは殺人者などの重罪人でしょう」


「だといいんですけど…」


抱っこしていたアリスが私にすりよった。慰めているつもりなのだろう。お礼がわりに撫でておく。それから部屋の中に行くと知り合いがいた。


「うわっ、なんでその茸がいるんだ」


「あれ?チアキちゃん」


いつものように美少女なのに男言葉なチアキちゃんが嫌そうな顔でアリスを見ている。最初に出会った状況が状況なので仕方ないのかもしれない。その隣にいるニルギリさんは、面識がないためか興味津々である。


「俺らが最後か」


声の先には朱色の髪に草臥れた感じのおっさんがいた。このおっさん、体調が悪いのか顔色が悪い。だが体格は、悪くなく背が高くて痩せているが歩き方がしっかりしているので鍛えられているだろう。


「ディンブラ殿、久しぶりだな」


「その殿ってやめてくれ。虫酸が走る」


「ボスー、そんなこと言っちゃだめですよっー?」


心底嫌そうな顔を浮かべたディンブラの後ろから猫耳の女性が現れる。歳は、たぶん20代前半くらいでピンクの髪をボブにしている。緑色の瞳にタレ目が可愛いけど色っぽい。


「キャンディ、俺は有名になんのは好きだけどよぉ。殿とか様とか呼ばれんのは嫌いなんだって」


「まぁた、わがままですかぁー?いつもならいいですけど陛下の前でやらないでくださいよぉー?」


内容的には、怒っているように聞こえるが本当に怒っているのかわからん態度だ。私から見れば全然怖くない。


「こほん、そろそろ。陛下が参られますのでお静かに」


その声に全員静かになる。そこへ衣擦れと共にプラチナブロンドの超美人の女の人が入ってきた。濃い灰色の瞳には、知性と身分通りの品を感じさせる。それと圧倒的な雰囲気を放っているのに同時に安心するという不思議な感じだ。


「そんなに堅苦しくしなくて結構よ。世間話をしつつ定期報告をしてほしいだけなのですから」


「そんじゃ遠慮なく」


ディンブラがだらっとした姿勢で椅子に座る。本当にこの人自由だな。しかも鼻歌までする始末。


「三大冒険者ギルドのマスターが出揃うのは珍しいわね。今日は、代理人ではないのね。ディンブラ?」


「その言い方だと俺が毎回、代理人に押し付けてるみたいじゃないっすか」


「違うのかしら?」


どうもディンブラって人と女王には、親密な雰囲気があるように思える。そういえば前にニルギリさんが小さいころから女王を警護してたとか言ってたな?


「ところで報告にあったアルキダケは、その子なのかしら」


「えぇ、とくにそこのレグになついているので一緒にさせてます」


「レグと申します。それでこの子は、アリスという名前なんです」


アリスは、私の膝の上からお辞儀をした。そのことに女王たちは、驚いたらしく感嘆の声をあげる。


「お行儀がいいわね」


「アリスは、とてもお利口さんです。ね?アリス」


誉められて嬉しいのかアリスは、足をくねらせている。


「おんもしろいキノコだなぁ。あんたの発明品か?」


「アルキダケは紫の森にいるモンスターですよ。そのアルキダケは、通常の5倍か6倍の大きさをしていますがね。栄養が少ない土地なので栄養のある土地へ自分の足で歩いくのが特徴でしょう」


「紫の森にそんなのいたっけか?」


ディンブラが覚えがないという感じで首を傾げる。隣のキャンディさんも同じなのか首を傾げてギルマスを見ている。


「あなたのことですから周りを見ずに特攻して逃げられたのでしょう。アルキダケは、非常に危険察知能力が高いですから」


「そうかそうか、俺に恐れをなして逃げたのか!なら俺が知ってるわけねぇな」


「ボスは、強いですからね!」


ディンブラさんが強いのか?という疑問が浮かぶが何も体格がいい人が強いわけではない。大学の友人は、見た目がカツアゲで刈られる方のようなひょろ長い眼鏡君なのに片手でチンピラを持ち上げ脅したという逸話を持つ。現場を見ていないが体育の講義で柱に捕まり懸垂を100回やっていた。非常に羨ましい。


「さすがは"灼剣"ね。」


「「灼剣?」」


あっ、チアキちゃんと被った。


「おいおいおい!俺の伝説知らねぇのか!」


「「…」」


私は、知らないと言ったら長々と自慢話をされそうだから黙った。チアキちゃんがどう思って黙っているか知らないがグッジョブである。


「まずはなぁ!」


「ディンブラ、少しお黙りなさい。私は、他にも聞きたいことがあるのです。貴方が私の公務を手伝っていただけるのなら聞いてもいいですわよ」


「しゃあない。今度話してやるか」


ディンブラが椅子に座った。女王様マジで女神です。ありがとうございます!


「ニルギリが連れてきた彼女は?」


「彼女はチアキと申します」


「お会い出来て光栄です。陛下」


キラキラした二人だな。どっちもブロンドだし非常に華やかだ。


「可愛らしい子ね。今度お茶を飲みにいらっしゃらない?出来れば妹のマリアンヌと一緒に」


「えっとそれは…」


「キャンディも行きたいですぅ!」


それって揃うと美女?美少女?勢揃いだな。


「ならしばらく会っていませんしスーチョンにも会いたいわね。ウーナン、スーチョンに来てくれるかしら」


「そこのレグとアリスが一緒なら行くと思います」


「あら、本当?なら一緒に来ていただけるかしら」


まさか私に振りますか!私が行ったからってスーちゃんが行くとは限らないんですけどね。そして美人の頼みは、断れません。


「私が行くからと言って行くと言うかわかりませんが言うだけ言ってみます」


「ありがとう。では、あとで招待状を配りましょうね。楽しみだわ」


女王様が楽しそうだけどこっちはガクブルです。そもそも報告会は、どうなったの!?これに誰もツッコミを入れないってことはいつもの流れなのか。お願いですからニルギリさんにらまんといてください!

毎回サブタイトルに番号を入れていたのに忘れてたので付け足しました。

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