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グランレコード  作者: 33
13/44

12.偏食家

グロいシーン含みます。食事をしながらこの話をやめた方がいいです。

青々とした葉を伸ばした草原が眼前に広がる。その草原の向こうには頂きを雲に隠された山脈が広がっていた。風が吹き耳の近くの髪が揺れる。


「実に平和で心地いい場所だね」


「ここは比較的難易度の低いフィールドでおじゃるからな。まろとローザ嬢とクリス嬢、エリック殿、ホモ殿がおれば問題ないでおじゃる」


「俺は、ホモじゃねぇ!」


「あー、はいはい。ところでなんでエリックさんがいるんですか?食堂の料理長ですよね」


エリックは、ギルドの食堂の料理長だ。ガッシリとしたマッチョなおじさん。料理を作るときの動きは、まるで踊りのように華麗でかつ無駄の少ないものだった。そして彼の作る料理は、優しく愛情溢れたものが多い。だからこそ食堂から出てくるのが意外だった。


「おらの好物がブルー草原にでるんだ。いっつも誰も行こうとしないがら一人でとってたんでさ。でもレグが行ぐいうから便乗させてもらったんだ」


かなり訛ってるけどそれはそれで愛嬌があっていい。


「好物?好物ってなんですか」


「着いてからの楽しみでさ」


ニコニコとにじみ出るような笑顔でいうのでなんなのだろうかと不思議に思う?いやそれよりも聞きたい内容の方向性が違う。


「あの、私が弓で中距離か遠距離なんですけど皆さんの武器って…?」


「あら言ってなかったかしら?私はちょっとは攻撃するけどメインは、光と火と水を回復に使った回復系なの。武器は、鞭だけど後方がいいわね」


「おらはこれだ」


エリックがとりだした"ソレ"を見て私の口元はひきつった。らしいと言ったららしいがまさかでてくるとは思わなかった。ソレは、料理をする人物なら持っていてもおかしくないが戦闘で使われるべきものではない。


「食肉解体用包丁………」


「使い慣れたものじゃないと駄目だかんな♪」


「いやいや、食品で扱う包丁でモンスター切るなよ」


「なにを言っているんだ?モンスターは食材だぁ。いつもいつも旨いって食っとるだろうが」


いつも食べてる?誰が何を?そもそも食材になったモンスターってなに。メニューを見てないからそんなの知らんし。


「この前見てたからわかるだろうけどあたしは、モンスターのテイマーよ」


あの紫スライムのことですね。


トリカブトとスーラブは、前に聞いたので割愛する。


「おいおい、その辺にしとけよ。アイドルの登場だぜ」


「アイドル?」


なんだそれはと思ったらソイツは出てきた。雨上がりの空のように透明感のある青い体。太陽の光を弾く表面。極めつけは、体内に浮かぶ紺色の玉。


そうもっとも有名といって過言ではないモンスター………スライムである。


「なぜにスカイラビットを押し退けてスライムがアイドル?」


スライムより兎の形をしたスカイラビットの方が可愛いと思う。本で確認したけど強力な脚力以外普通の兎そっくりだし。


「さぁな?それよりスライムは群れるから次々来るぞ!」


スーラブが言うやいなや色とりどりのスライムが出てきた。赤、黄、黒、茶、白、紫、桃、灰、橙……など思わず逃げたくなるほどの数がいる。この数の多さとアイドルというワードに某アイドルグループを思いだしてしまった。


「おぉー!スライムがこげな沢山でてくるなんて今日はついてるなあ。これ全部おらに任せてけろ」


スライムが出てきてついてるとはどういうことなのかと尋ねる前にエリックが駆け出した。いくら雑魚で有名なスライムでも、確実に20匹以上いるであろうスライムを一人で戦うのは無茶だと思う。中の核を壊せば倒せると本にかかれていたからそこを狙えば倒せるのか?


だがエリックは、私の発想の斜め上でかつ料理人らしい戦い方をした。なんとジャガイモの皮剥きでもするように核だけを残し周りのゼリーのような部分だけを削いだのだ。そして拳サイズのスライムの核のみがエリックの手元に残る。


「は!?」


なぜ核を残すのか、そもそも核が残っているなら復活するのではないか。私がそんなことを考えている間にもスライムを次々に核だけを残し倒していく。そして全部をを30分もかからず倒してみせた。


「48個かぁ。これなら4日もつべ。楽しみだんなぁ」


「妙に嬉しそうですけどもしかしてそれが好物?」


「そうだぁ。これの中身がうめんだ。食ってみろ」


エリックは、そういうとスライムの核を2つに割り手渡す。非常に恐いのですが?せめて誰か道連れに……。


「まろは立ち食いなどということはしないでおじゃる」

「私、仕事中は食べないことにしてるの」

「あたしも同じ」

「おっ、俺は仕事前に飯食うから今は腹いっぱいだ!」


「それなら仕方ねぇべ」


裏切り者!


ニコニコ顔のエリックが渡したものを食べないのも申し訳ない。ましてや好物とまで言っているものを差し出されたのだ。ここは女?は度胸と一息に食べて驚いた。淡白な味と弾力がありツルリとした食感が完璧に葛餅である。これは黒蜜ときな粉をかけて食べたい。


「これにブラックハニーとズーダを乾燥させた粉かけっとうめんだ」


ブラックハニーとは黒蜜?ならズーダの粉はもしやきな粉?。


「ぜひ食べたいです!」


「おぉ、これの旨さがわがったか!ギルドに入って食べたいって言ったのはおめが始めでだ」


私の反応にスーラブが口をクルミ割り人形のように開けている。ローザさんとクリスさんは、身動き一つしない。対象的にトリカブトがどこからか丸薬のようなものをとりだし、スーラブの口に放り込もうとしている。あっ、入れた。


「hnatyu! rruomoi !votiob!!」


スーラブの顔色が赤から青にそして紫となると通常の色に戻る。何を食べさせたんですかね。ハナモゲラ語らしきものを言ってましたけど。白目剥いてないし痙攣とかもしてないから大丈夫かな。


「トリカブトお前!俺を殺すつもりか!!死んだじいさんがびっくりしてこっちに蹴り飛ばされたぞ」


「はて?まろが口に入れたのは気付け薬でおじゃる」


薬と毒は表裏一体っていうけどあれ見ると毒っぽいよなぁ?


「偏食家のゲテモノよりひでぇよ!」


「偏食家?」


「おらの二つ名だぁ。食べれるのを出してんのにおかしいなぁ」


「オーガの顔面使ったサラダとかブラッディスピアーの幼虫の唐揚げ、マンドラゴラの冷てースープを出す奴が偏食家じゃないなんて言わせねーよ!」


うげー……なんだソレ?食いたくないぞそんなの。まさか食堂の料理としてだしてないよね。


「オーガの顔面を使ったサラダは、レグが旨そうに食ってたぞ」


「えっ、いつ!?」


「昨日の夕飯だんべ」


「もしかしてあのミミガーみたいだなって思ったやつのことか!」


沖縄特有の食材の一つミミガー。豚の毛を焼いてなくした耳を使った料理。コリコリとして噛めば噛むほど旨味がでる。中学生の時食べる機会があり食べたが正体を知って絶句した。


「オーガは確かに豚に似てるけど食べものじゃないよ!」


「でも旨かったろ?」


「うっ」


否定出来ない。確かに私好みで美味しかった。おかわりまでしたし。


「ならいいでねか」


いいのか……な?まぁ、食べたあとだし。味悪くないし。ただ幼虫系は嫌だ。


「馬鹿野郎丸めこまれてんじゃねーよ。最後まで抵抗しろ!」


「っていってもなぁ」


私実は野郎(男)じゃないし。味と見た目と実害なければ私問題ないし。家だとよくイナゴ食べてたし問題ないでしょう。


「私自炊組で助かったわ……」


「あたしもよ」


ローザさんとクリスさん女子力高いなー。私ほとんど料理したことないよ。出来る料理が卵近辺と丼ものだし。やっとけばよかったかなー。



この料理しようかなーという考えで喜劇?悲劇?がおこることを私はまだ知らない。

マンドラゴラの冷たいスープはじゃがいものビシソワーズのつもりです。蜂の幼虫の唐揚げは珍味でありますね。ゲテモノ食べ物回になりました。

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