その92
「美香、アイス溶けちゃうよ?」
優ちゃんの声で、現実に帰る。
そうだ、ジェラードが食べたいと、優ちゃんに買ってもらったんだった。
「・・・・べたべたする・・・・」
半分溶けたアイスを見ながら、私が言うと優ちゃんは溶けたアイスを自分の手にとって、アイスで汚れた、私の指をなめた。
思わず手を引きたかったが優ちゃんは許してくれず・・。
「・・・う~~ん、無理だな、美香新しいの買ってあげるから、手を洗っておいで。」
優ちゃんに促されて、優ちゃんを残して、その場を離れた。
後ろを振り向くと、優ちゃんは三口で溶けたアイスを食べて、手を拭いていた。
まるで、雑誌に載っている、モデル見たいに見える。
そのしぐさをしばらく見ていたが、優ちゃんがそれに気づきさっさといくようにと促した。
私は、手を洗うために、お手洗いに入った。
一度手を洗い、ついでにと用をたす。
その後、鏡を見て百面相をしてみた・・。
どんな顔をしても、やっぱり、子供に見える・・・。
手を洗い拭いてると隣に入ってきた、綺麗なお姉さんたちが話してるのが聞こえた。
「外にいる人、少しかっこよくなあい?」
「あ!見た見た!!そうそう。いけてるよね。ひとりかなぁ?声かけてみる?」
「由美が捕まえとくっていってたよ?」
「わあ~~がんばる~~たのもしい」
「・・でも、連れがいたらどうするの?人待ち顔してたよ?」
「女かな?男かな?」
「確かめてみようか」
そんな会話をするお姉さんたちの後を追う形でトイレを出た。
お姉さんたちの陰に隠れながら、とぼとぼと優ちゃんのところに歩いた。
無表情で、綺麗なお姉さんをあしらってる優ちゃんがいた。
その内美香を見つけて、優ちゃんが笑いかけてるのが見える。
前のお姉さんたちから、声が上がる。
「え~~こっち見て笑ってくれてるよ!!」
・・・・?・・・
お姉さんたちに阻まれて、優ちゃんが見えなくなった・・。と思ったら、手を引かれた。
よく知ってる温かい手・・・・。
「美香?何やってるの?」
ふわりとそのまま引き寄せられて抱きしめられた。
・・・優ちゃん!!ここは公共の場!!・・・・
声にならない声で、真っ赤になってる私を抱きしめて、見せ付けるようにお姉さんたちに笑いかける。
・・・・優ちゃんって・・全然変わってない・・・・・・
唖然とする、お姉さんたちを残しその場を去る。
お姉さんたちの文句が聞こえた。ロリコンと叫んでいる。
でも私にはそれ以上は優ちゃんが耳をふさいでくれたので聞こえなかった。
「・・・・何はなしてたの・・・?」
私の質問に嬉しそうな顔をして優ちゃんが言う。
「やきもち・・?」
私は、溜息をついて答えた。
「・・ちがうよ、またなんか失礼なこと言って怒らせたのかなと思って。」
優ちゃんが憮然とした表情で言った。
「失礼なのはむこう。何で人が楽しんでるのに、なんで、私達とご一緒しませんか?なんだ・・?。断ってもしつこいし、空気読めよ!!」
「・・・だから見せ付けるために美香を抱きしめたんだ?」
私のその台詞に、きょとんとした顔をして、優ちゃんは言った。
「いや・・?むかついてどうしてくれようと思ってたら、美香が来たから口直しに抱きしめてみた。癒されたいと思って・・?」
真っ赤になった私を見て、優ちゃんは周りを見回して、建物の陰に隠れた。
「・・ここなら、公共の場だけれども、誰も見てないよ?美香、キスしていい?」
「・・・いやだって言ったら、しないでくれる?」
うつむいていった私の台詞に、優ちゃんは笑って答えた。
「・・いいって言うまで、何回でもお願いする。」
そういって、私の答えを聞かずに顎を持ち上げて、優しく言った。
「美香、愛してるよ・・・。」
わたしは、うなずくしかなかった。
・・・ワタシモアイシテル・・・・・
・・・・・そして、優しい、ぬくもりを、私の唇に感じた・・・・




