その85
テーマパークに行く前から、美香は始終はしゃいでいた。
最近の気まずさを取り戻すかのように、僕の手を握り僕の腕を両手で抱いて僕をいろんなところに誘う。
そんな美香の笑顔を見ながら、僕は今朝、美香に気づかれないように柳に確認された事を思い出していた。
朝食を作っている美香をキッチンに残し僕は柳に書斎に呼ばれた。
「中野君はどういうつもりなの?美香ちゃんをどうしたいの?」
僕はびっくりして柳の顔を見た。
「・・・どういうって・・?いまさらだろう・・・」
何が聞きたいのか質問の意図が解らない。
ため息をつきながら、柳が続ける。
「・・・・美香ちゃんは、話してると、大人に思えるけれども?まだ、体は子供だってわかってる?あなたを怖がっている理由を考えた事あるの?」
僕は黙って聞いていた。
「婦人科志望の医師として言わせてもらうけれど、体の準備の出来ていない子供に対してあなたの求めてる行為は、彼女の体を傷つけるリスクのある行為だと解ってやってるのか聞いてるの。」
僕は思わず答える。
「最後までするつもりはない。」
柳が声を荒げた。
「!!我慢できる自信あるの!?美香ちゃんにそれがわかるの!?」
「あなたあせりすぎ!!」
うなだれる僕に柳は続けた。
「・・それと、ここからが一番大事!!」
僕が顔を上げると彼女は言う。
「・・あなた美香ちゃんに言葉で自分の気持ちをちゃんと伝えた?」
僕は怪訝な顔をしながら言った。
「伝えてるつもりだけれど?」
柳は呆れた顔で言った。
「・・伝わってないわよ?妹じゃない・・とか、抱きしめたい・・、とかではね?」
柳は僕の両方の頬を両手で軽くたたいていった。
「ねえ?美香ちゃんとはなれないために、決定的にダメージを受けないために、一番伝えないといけない言葉を相手に伝える事を避けてない?」
僕は柳に頬を押えられて柳から、目が離せなかった。
「ここでへたれてるとほんとにとんびに油揚げ持ってかれるわよ?体手に入れたって心手に入れないとむなしいだけでしょう?でも逆ならいずれはすべてあなたのものよ?」
手を離し、少しはなれたところから彼女の声が聞こえた。
「・・どうするのか、後は自分で決めてね。」
僕は彼女の言葉の真意を考える。
・・・・・・怖がっていては、いけません・・・てか?・・・
・・・・確かに、TPOを考えるより大事な事ですね?
槇原さんがいたら、真っ赤になってもう忘れろ・・と言いそうなことを思い出しながら僕は、こちらを見て笑っている美香の顔を見た。
・・・あと、6日もある、何とかしようじゃないか・・・・・
「美香?今度はどこに行くの?」
僕は、とりあえずは昔に戻って、今日一日を楽しむ事にした。
明日の事は、明日考えよう。




