その74
陽子ちゃんのメールを見て、優ちゃんに写真を見せてもらおうと隣に行ったら、優ちゃんとおじさんの諍いが聞こえてきた。
・・・・何があったんだろう・・・・・
そっと、近づいて聞き耳を立てる。おじさんの”おまえ、14の子供に何求めてる。頭を冷やせ・・・”と言う声が聞こえる。
陽子ちゃんから、内緒にしとけと言われたキスマーク・・アレルギーだと思って、おばさんに相談したら、叔父さんにばれて、叔父さんはとても怒っていた・・。
・・・美香がおじさんたちに言ってしまったのを、優ちゃんが知ったら・・どう思うんだろうか・・・
・・・・キラワレタクナイ・・・・・
優ちゃんがいなくなり一人リビングに残されて、考え込んでる叔父さんに恐る恐る話しかけた。
「・・・優ちゃんに、写真見せてもらう約束してるんだけれど・・・優ちゃんのところに行っていいですか?」
私の問いに、私の顔をじっと見てその後下を向いて小さな声で言った。
「・・・・・二階にいる・・・・」
叔父さんは私が優ちゃんの部屋に入るのを嫌がってたけれど、今日は入っていいんだろうか?言葉少ない叔父さんにそれ以上聞かず私は優ちゃんの部屋に向かった。
部屋をそっと覗くとベッドの上に、うつぶせて横になってる優ちゃんが見えた。
ドアの前に出て思わず声をかけた。
「優ちゃん?」
でも優ちゃんは、美香を見てくれなかった。
布団の下からくぐもった声が聞こえる。
「・・・なに?勝手に入って来ないって、この間約束したよね。・・父さんも嫌がると思うよ?」
優ちゃんの機嫌の悪そうな声に思わず体が強張った。
「写真見せてもらう約束してるって言ったら、叔父さんが二階だって言うから・・・・・。」
最後のほうは、声にならなかった・・・。
優ちゃんが、私に顔だけ向けて、言った。
「柳から預かった追加の写真ならそこにあるよ。」
優ちゃんの不機嫌な様子に体が動かくなった。
・・・怒ってる・・・・・
・・・・キライニナラナイデ・・・・・・・・
ドアの前から動こうとしない私に優ちゃんは、こちらに体を向けてかばんを指して、もう一度言った。
「・・自分でとって、持って行ってリビングで見て。」
どうしたらいいのかわからなくなった・・・涙が出そうになった。
・・・・・ゴメンナサイ、ミカノセイデイヤナオモイヲシテ・・・・・
私の顔を見て、ため息をついてゆっくりと優ちゃんは起き上がり、かばんを引き寄せて中から写真の入った封筒を取り出して私に差し出してくれた。
「・・・みか?いらないの?」
やさしいしぐさに似合わない、久しぶりに聞く優ちゃんのいら立った口調に足が動かなかった。
・・・優ちゃんのせいではないのに・・・美香が悪いのに・・・
・・・・ゴメンナサイ・・・・・・
泣きそうになりながら、思わず聞いてしまった。
「・・・優ちゃん、叔父さんと喧嘩したの?」
優ちゃんは返事をせずに封筒を差し出した。
・・・・・私はそれを受け取れなかった・・・・・。
「・・・ごめん、美香のせいだ・・・。」
優ちゃんが怪訝な顔をして私を見た。
私は小さな声で、優ちゃんに打ち明けた。
「陽子ちゃんが、アレルギーの話言っちゃ駄目って言ったのに、私がおばさんに相談したら、おばさんが叔父さんに言って・・・・」
私の言葉に優ちゃんがため息をつくのが聞こえた。
・・・呆れてるんだろう・・・ごめんなさい・・・・・・
「・・・・美香・・・・あれはアレルギーじゃない。」
優ちゃんの言葉に、私は思わず続けた・・・。
「・・・知ってる・・・・」
・・・・・オネガイユウチャン、ミカノコトキライニナラナイデ・・・・・
・・・・・・・・ミカノコト、アキレテミステナイデ・・・・・・・・
「キスマークだよね・・・」
涙が出てきた・・。
そんな私を優ちゃんは、じっと見つめていた・・・・。
ほんとに、優希・・・いけてません・・・・。
清水 澄




