その72
・・・・僕と、由布子に引け目を感じて、優希が美香を欲しがるのを否定するのは、少し違う話だと思うぞ・・・・・
僕は、叔父の言葉を最後まで聞かずに、ことばをっ取った?
「・・・叔父さん・・・それって・・どういうことですか?」
叔父さんは、父の顔を見て、母の顔を見て、ふたりに言った。
「・・・もう時効だよな・・・?」
母は下を向いて、父は所在無さげにそんな母を見た。
叔父は僕のほうをむいて言いにくそうに教えてくれた。
「・・・実はな・・お前ができなければ、僕がお前のお母さんと結婚してたはずだったんだ。」
・・・?!・・はい?・・・・
「・・・そして・・由布子は、お前の父さんの恋人だったんだ。」
「え?なに?・・・どういう事?」
僕は唖然として、両親を見る。両親は僕と目を合わせない。
「・・・・式の、2週間前に子供がいることがわかって・・・僕に身に覚えはなかったし・・・。」
「え?相手が父さんだったと・・・・。」
叔父は下を向いてため息をつきながら、言った。
「・・・そうだ・・そうなったものを、無理に自分のものにすることもできないからな?」
・・そういえば、両親の式の写真は見たことがない・・・
僕は呆然と僕の両親を見た。父も母もなにも言わずにうつむいている。
「だけれどもな、今だから白状するが、みちるさんの気持ちがかなり前から僕から離れてるのもわかってたし、貴裕と由布子がうまく行ってないのも知っていた。」
そして・・・と叔父は続けた。
「・・白状すると、みちるさんとの式を無理やりに決めたのも、僕も由布子のほうに気持ちが移っていたからなんだ。」
僕らは叔父を見た。
「・・・・でもそんなことを認めると、今までの自分の気持ちも無くなるようで・・・僕は行動に移せなかった・・・。」
叔父は、続けた。
「・・・だから・・みちるさんが、優希を身ごもったと聞いて・・これで決着がつくとほっとしたんだ・・・」
・・すまない、一番ずるかったよな、貴裕だけを悪者にして・・・・
「だから・・・貴裕・・・お前たちが、僕等に引け目を感じる必要はない。」
「引け目じゃない!!」
突然、父が叫んだ。
「僕は、世界で一番美香が大切だ!!こんな、自分が一番で!自分の事しか考えてない奴に、美香を渡したくない!!!」
父は続けた・・・。
「僕が認めた男以外に!!美香は絶対に!!!わたさない!!!!!」
・・・・・基準は・・・どこにあるんだろう・・・・・・
僕等は、父のたわごとにため息をつく。
母は、そんな父に向かって静かに言った。
「・・・そう、私なんかよりも、美香ちゃんが一番なのよね・・・。」
母の言葉に父が見る見る間に顔色を変えた。
「・・・いや・・?・・お前は別格だから・・・・」
母は父の台詞を無視して続けた。
「優希?あなたのアパート、ベッド2つあったわよね?」
僕がいやそうにうなずくと母は続けた。
「狭いって言うなら、家賃半分出すから、新しいところ探して頂戴。」
・・・その前に話し合って欲しいです・・・
・・・・あなたのお怒りで父は充分反省してますよ?・・・・
2階に引き上げる母、それを追いかける父・・・二人を見送った後、叔父は笑った。
「・・貴裕のあの性格は貴重だよな?」
・・・僕は血がつながっている事実を否定したい・・・・・
叔父は僕に向かって続けた。
「僕等が結婚して、僕等に子供がなかなかできなかったときに、一番やきもきしてたのは、貴裕だった・・・自分らばっかり、欲しいもの手に入れてすまないと・・・」
「あいつは本当にまっすぐだよな?お前と良く似ている。」
・・・叔父さん申し訳ございませんが、それは全力で否定したい・・・・・
叔父は僕に頭を下げた。僕は突然の叔父の行動にびっくりする。
「・・・美香を頼む。貴裕と、みちるさんの子供で。子供の頃から見てたお前になら安心して任せられる。ただな?美香の気持ちは大事にして欲しい。」
僕も叔父に深く頭を下げた。
後は、僕が美香にどう伝えるかだ・・。
3/30 名前の間違いに気づき、修正いたしました。
清水 澄 拝




