その71
夕食のために、ダイニングに下りると隣の叔父たちも、来ていた。
僕が帰って来る時はいつも皆で食事をする様にしているからだ。
美香はいつもなら僕の隣に座るのに、今日は叔父の横に座っている・・・
僕を、意識してさけているなら、一歩前進といえるのだろう・・・・。
僕が席に着き、遅れたことをわびると、叔父が疲れてるのに最近まめに帰って大丈夫か?ときいてきた。
「今、精神科なので緊急の呼び出しが少ないので・・・」
僕が答えると、おじさんがまた続けた。
「でもそういう時は、救急に行ってるから結局一緒だと言ってなかったか・・・?」
・・・よく覚えてる・・・叔父の問いに色々事情がありまして・・・と言葉を濁した。
そんな僕に思うところがあるのか、食事の後でゆっくり聞かせてもらおうか?とも言われた。
・・・多分気づいているのだろう・・・。
・・・僕の気持ちを今まで知らなかったのは、当の本人のみのようだ・・・。
本当に気づいてなかったのか、それとも、気づきたくないのか・・。
どちらにしても、逃がすつもりも、別の奴に渡すつもりもない・・。
美香を手に入れるために、美香の可能性を阻まず、手にいれる方法を考えてやる。
僕は食事の間、そのことを考えていた。
美香の視線をずっと感じながら・・・・。
・・・・食事が終わったら叔父たちを説得しよう・・・もう時間がない。・・・
食事が終わって美香に聞かれないように、どう切り出そうかと僕が困っていると、叔父が美香に僕と話があるから先に帰るようにと伝えていた。
・・美香なしで僕の真意を聞きたいのだろう・・・。
美香が隣に帰ったのを見届けた後に、叔父が僕に聞いた。
「・・大体はわかってるつもりだ・・お前の気持ちは・・な?」
言葉を選ぶように叔父は続ける。
「最近頻繁に帰ってるのも接点を持つためか?」
叔父の台詞にそうだと答える。
「・・・まだ、14だぞ?・・わかってるのか?」
僕はうなずいた。
ため息をついて叔父は続けた。
「お前の気持ちは何となくわかる。でも、できればはっきりと聞かせてもらえるか?今後どうしたいのかを。・・そしてお前があせっている理由を・・・・」
僕は、あせってるように見えるらしい。・・いや実際あせってるんだろう・・。
「僕の生活をご覧になればわかるように、後3年・・・いやもっと、殆んど帰宅も侭ならない状態になる可能性があります。」
「でも美香は今からどんどんと綺麗になって、僕の目の届かないところにいってしまう可能性があるでしょう?」
「美香の将来を制限したいのではありません。美香が未来を見た時に僕が隣にいる選択肢を増やしたいんです。」
叔父がため息をついて言った。
「・・・その具体的な方法は?」
「美香を、僕にください。」
叔父は頭を抱えた・・・
「話が飛びすぎてないか?」
僕は身を乗り出していった。
「今の僕の生活を考える限り、僕に美香と接点を持つ時間は少なすぎる。今この時期を逃したら、また美香との接点は月一回になる。その隙に、また義弘のような奴が出てくるとも限らない。」
「ぼくは、美香を他の奴に渡したくない。」
叔父は、僕を見て呟いた。
「・・・そこに美香の気持ちはないのか?」
僕は続けた。
「おじさんたちの許可が欲しいだけです。美香に無理強いするつもりはありません。」
叔父は僕の顔を見て、呆れたように言う。
「・・そうは思えないな?」
僕は黙った。
それを見て叔父は続けた。
「・・美香の気持ちを一番にしてくれると、約束できるか?」
僕はうなずく。
叔父は続ける。
「・・10年目にやっと授かったんだ。」
僕は叔父の言葉を聞いた。
「・・・お前が成長するのを見ながら、もう私たちには子供はできないと思ってた。」
「・・お前を息子だと思って、貴裕達と一緒に育てれば良いと思ってた。」
僕は叔父の顔をじっと見た。
「・・今でもお前の事は、息子だと思ってる。」
・・・でもな・・・
「美香がいる以上、僕らにとってはあれがお前よりも可愛い。・・」
僕の目を見て、叔父は続ける。
「・・・わかるな?あの子を、不幸にする奴・・そして、あの子に無理強いをする事は、許さない。」
僕は叔父の顔を見つめていった。
「・・不幸にはしません。」
僕の言葉に、叔父は笑い。そして、頼む・・と一言言った。
僕と叔父の会話をそれまで黙って聞いていた、わが父がいきなり会話に割り込んできた。
「僕は絶対納得できない!!!!」
僕と叔父は僕の父の顔を見た。
「誰がなんと言ったって!!僕は納得できないぞ!!!」
父が地団太を踏んでいた。
「美香ちゃんはまだ14歳だ!!何でお前が取り込むんだ?大学や病院にもっと年の差のないお前に合った人がいるはずだ!!!」
僕はため息をついて父に告げた。
「・・・僕は美香以外欲しくないって今日あなたに言いましたよね・・・?」
父は僕の言葉を全く聞いていなかった。
そして叔父に言う。
「こんな奴に、美香を任せるのか?」
・・・こんな奴は・・・あなたの息子ですよ・・・・・?
「美香の意志を大事にするって・・・当てになるか?今でもどんだけ束縛してる?」
・・・いやいや、美香を溺愛してる、あなたほどではないです・・・・・・
呆れながらわがままとしか思えない発言をするわが父をじっと見た。
父は僕から視線をそらして、叔父に仕切りと抗議している。
叔父はそんな父を見てため息をついた。
そして父に言った。
「貴裕・・・おまえなあ・・・ものすごく常識的な反対に聞こえるけれど・・・僕と由布子に対する引け目から、反対してるなら・・・ものすごくナンセンスな事だと思うぞ?」
父が言葉に詰まる・・・引け目・・?何の事だろう?
「お前と、みちるさんの事。僕と、由布子の事はこの問題には全く関係ないだろう?」
父は気まずそうな顔をする。
「確かにな?みちるさんが僕でなく、お前と結婚したのは、優希ができたからだが・・・・」
「そのことで、僕らに引け目を感じて、優希が美香を欲しがってるのを否定するのは、ちょっと違うと思うぞ」
・・・いったい何の話なんだ?・・・・・




