その67
読んでくださって、ありがとうございます。
清水 澄 拝
披露宴の後、槇原さんは、新婚旅行にはすぐには行かず。いつものメンバーでいつもの様に日々を送っていた。
柳は、槇原という呼び名では、周りが混乱するからと柳姓で通し、槇原さんに苦い顔をされていたが、自分が槇原先生ならあなたの通称は教授だと無理やり納得させた。
・・・力関係がよくわかる・・・・
披露宴の写真ができた。どの写真を見ても誰かが美香の横に座っている、会場での美香の注目度を思い出し、そしてその時の美香の僕に対する中途半端な態度に多少の焦りと、美香を思うように取り込めない僕は苛立ちを感じていた。そんな僕の様子を見て、僕が精神科のローテーションに入り自由時間が増えたことをいい機会にと槇原さんから指令が飛んだ。
「中野・・・美香ちゃんを何とかするまで、お前救急に顔を出すな。」
期限は2ヶ月、多分これを逃して、後期研修に入ったらますます時間は持てなくなるだろう、捕まえるなら今しかない。僕は槇原さんに甘える事にした。
だが、実家に週末ごとに帰る様になった僕に、家族・・・特に父は何故か良い顔をせず・・・。
でも、美香は僕が帰る毎に喜んで迎えてくれて・・・。
だが僕の部屋に美香が入る事を父は嫌がり、リビングで会う事を強要し・・・。
当たり前と言えば、当たり前ともいえるが、急にどうしたのだろう?
ある日僕が帰宅し、リビングで一人新聞を読んでいるときに父に聞かれた。
「優、最近よく帰ってくるな?」
僕は顔を上げて怪訝な様子で父を見た。
父はこちらを向いて続けた。
「・・・美香ちゃんに逢うためか?」
僕は返事ができず父を見る。
彼は続けた。
「最近は、特定の人が近寄ると出るアレルギーがあるのか?」
・・・思いあたりに息を飲む。・・・
「美香ちゃん、いくつか覚えてるか?・・わかっていて、行動しているのか?」
父の言葉に、思わず反論した。
「・・小さい時から見てきた、充分わかってるつもりだ。」
僕の言葉に父は嘆息し、僕に再度言った。
「14になったばかりの何もわからない子を、大人のお前が囲い込む事が、本当に判ってしている行為であると思ってるのか?」
僕は返事をしなかった。
「お前の事だ、遊びでないのはわかっている。」
「でもな、美香ちゃんを、大人であるお前が取り込むことで、彼女のこれからの出会いや可能性が少なくなる可能性があることは、考えないのか?」
僕は返事をしなかった。
「お前の欲望で、たった14の子供にふさわしくない行為をする事は僕が許さない」
僕は、父の目を真正面から捉えて言葉を返した。
「・・自分のやっている事も、美香がまだ14だと言う事も、僕が美香の年齢にふさわしくない欲望をもっていることも理解している。」
僕は、父を見て続けた。
「僕は、美香が好きだ。手に入れたいと思っている。あなたが、待てと言うのもわかる。でも僕は美香を今手に入れたいんだ。」
「彼女が、四つの時からずっと見て来た。一度、義弘に取られた時は、自分がどうにかなるんじゃないかと思うぐらい悔しかった。」
「もうあんな思いはしたくない」
僕の言葉に父は溜息をまた一つついた。
そして、言った。
「でも、美香ちゃんの年をお前は大人として考えるべきだ。自分のあの子に対する行動に行きすぎがないと言えるか?」
僕は、下を向いて呟いた。
「・・・無いとはいえない。自分が押えられなかったことは認める。」
僕は、今の気持ちを伝えた。
「でも僕はずっと美香を見てきた。この気持ちがこれからも変わらないと誓えるよ。お父さんに反対されても、もう二度と美香を他の奴には渡したくない。そのためになら手段は選びたくない。」
父は僕を見て言った。
「・・お前はそのお前の気持ちが、お前の一番大事にしないといけない人の成長を、邪魔するかもしれないと言う事を知るべきだと思う。」
僕は続けた。
「・・知ってても、僕は僕の気持ちはごまかせない、もう隠したくない。」
父は下を向いて僕に告げる。
「・・それは、愛じゃない。・・エゴ・・だろう・・?」
「好きな人に、すきと伝える事が、エゴなら、愛はどこにあるの?」
僕の言葉に父は言った。
「愛は、与えるものだ。お前は奪ってないか・・・?」
僕は、僕が美香を手に入れることで、美香の可能性を奪っているんだろうか?
考え込んだ僕に、父は言った。
「もう一度考えて欲しい。あの子はまだ幼い。お前を受け止める事ができると思うか?」
僕は父を見て言った。
「美香なら受け止めてもらえると思ったから・・僕を受け止めてくれるから、好きになったんだ。」
父はもう一度溜息をついていった。
「・・・おまえ、14の子供に、何求めてるんだ?頭を冷やせ・・。」
父の言葉に、声も出ず・・・。
・・・・・僕は黙って、自室へと、引き上げた。
・・・・僕は、僕が関わる事で、美香の未来を奪っているんだろうか・・・?・・・・・




