その65
ベッドに美香を横たえて、その横に腰掛ける。
すやすやと寝ている美香をこのまま僕のものにしてしまいたいと思う欲望と戦いつつ、美香を抱きしめた。
「美香、お前は本当に僕の気持ちに気づいてないの?それとも気づいてない振りをしているの?」
美香は、何も答えずすやすやと寝ていた。
このまま寝かしておいても良いが、着替えないと苦しいだろうし、化粧も落とさないといけない。
僕はバスルームに向かい、お湯を張りながら、美香をおこした。
「・・・優ちゃん・・?」
「美香、お風呂沸いてるよ?」
僕のささやきに彼女は言った。
「・・背中のボタンがはずせないの・・優ちゃんとって・・。」
思わず、美香の背中を見た。
確かに小さなボタンが、たくさんはまっているデザインで、自分でこれをはずすのは無理だろう。
でも・・、僕は思わず息を飲んで聞いた。
「・・・柳を呼んでくるから待って・・・」
寝ぼけている美香は、半分寝ながら僕に言う。
「うん?なんで?優ちゃんはずしてくれれば良いじゃない?」
・・・お前は・・本当に寝起きが悪い・・・
本人が許可くれたのだから・・と悪魔がささやく。
天使の、お前は紳士だろう・・・と言う声はこの際無視した。
「・・・明日怒るなよ・・?」
一応、美香に断って、一つづつゆっくりとボタンを外した。
白い肌が、少しずつ僕の目の前に広がる。
思わず息を飲んで、そしておもわずあらわになった肩に、肩甲骨に、口付けた、止められなかった・・。
美香が身をよじって笑う。
「優ちゃんくすぐったい、いたずらしないで。」
思わず抱きしめようとした僕の手をすり抜けて美香がバスルームに向かった。
「・・眠い・・・優ちゃん、美香が寝ちゃったらおこしに来てね。」
・・・・バスルームにか?それはさすがに、いろいろ、我慢できる自信がないから、柳を呼ぶよ・・・・
僕の返事を待たずに美香はバスルームに入った。
・・・おぼれるなよ・・・・
中に入った美香を見送りながら・・・ため息をつく。
あれは無邪気と呼べば良いのか、無頓着と呼べば良いのか。
彼女の中での僕の位置づけは。やはり無害なお兄さんなのか?
では今日、キスを受け入れてくれたのはどうしてなのか・・。
・・・いやいや、お子様には、今日の大人のキスは理解できていないのかもしれない・・。
あの柳の店の彼の言葉がよみがえる・・・。
・・・長く彼女を見守り続けすぎた。待ちすぎたんだ、気がつけば、僕は兄としてしか彼女に認識されなくなった。
嫌われるのが怖くて、男だと一度認識してもらう行動がどうしても取れなかった・・。
まさか、こんな日が来るなんて・・・もっと早く思いきることができれば・・・・
・・・いやだ、美香は僕のものだ・・・・・
・・・・あいつと、同じ轍は決して踏まない・・・・・・・
でもまさか、半分寝ている彼女を襲うわけには行かず・・・。
美香はおぼれず自力で、お風呂から出てきて・・僕はその横で横になり・・・。
眠れないまま朝を迎えた。




