その54
槇原さんと柳の婚約はとんとん拍子に進んだ。
「・・親に、彼女が出来たといったらいきなり出てきて・・・。」
・・槇原さんの年を考えると、親御さんもあせっていたのだろう。
僕の心の声を聞いたかのように、槇原さんは続けた。
「・・・いや、そうじゃなくて、次の機会なんて絶対にないから、さっさと逃げられないようにしろって言われた・・・」
・・・・それもどうだろう・・・。
式は、7月の初めに決まった。
何時の間にかアドレスを交換してる美香は、柳に付き合ってドレスを選びに度々借り出されてるらしかった。
”優ちゃん、美香もウエデングドレスちょっと着てみたよ。”とメールが来た。
美香のウエディングドレス姿!!見たい!!柳の元に駆けつけて画像がないか聞いてみた。
柳が呆れて言う。
「あるけど・・・・美香ちゃんに許可取ったの?」
柳の台詞に、僕は答える。
「僕が欲しいんだ、美香の許可は要らない。」
僕の発言に、驚きつつ呆れつつ、それでも柳は画像をくれた。
「・・・まあお世話になったしね・・・。」
ウエディングドレスに埋もれて、微笑む美香の画像に思わず僕も笑みをこぼす。
「・・・ああ、これこれ・・よく似合ってたし可愛かった。」
写真を見ると、オーガンジーの薄い層になったスカートと、ハイネックのシンプルなデザインのドレス。手は肩まで出て白い長い手袋をして微笑んでいる。
「この後似たデザインの、青いドレスがあったから、思わず買おうかって相談したんだけれど、高くて手が出ないって美香ちゃん諦めてたわ・・。」
「その店覚えてる?」
携帯の画面から目を離さずに聞く僕の問いに、柳は笑って”一時間なら、夕方付き合うよ?”といった。
僕はうなずきもう一度画像を見た。
こちらを見て、微笑んでいるように見える美香を見て思わず笑みがこぼれる。
・・・・美香のウエデング姿、いつ見れるんだろう。・・・・・
僕はそっと心の中で呟いていた。
僕は、その日柳と共にそのドレスの置いてある店に行った。
「・・・でもたぶんサイズも直さないと・・・・。」
柳の言葉に、僕は少し困った、内緒で買って美香を驚かせたかったのに・・・。
僕の残念そうな顔に、柳が提案してくれた。
「今度、式場の試食会に美香ちゃんと行くから、その時にもう一度このお店に誘って何とかするわ。」
・・・なんで試食会に、美香なんだ?
僕の怪訝な顔に柳が笑う、”だって槇原忙しいんだもの・・・。”
「・・・そういう問題か?考え直すなら今のうちだと思うよ?」
柳は笑って言った。
「・・・それ、彼に言っても良い?」
・・・止めてくれ・・・また殴り合いはしたくない・・・・
僕が首をすくめると、柳は笑って、もう一度言った。
「式は、体面的にするだけだし、試食会も別に行かなくても良かったんだけれど、美香ちゃんが話をしたら行きたいって言うから、行く事にしたのよ。」
・・・美香のために行くのか・・・?
「みんな美香には甘いんだ。」
「美香ちゃんいなかったら、私達ゴールしてないからね。」
笑いながら言う柳にそうだよな・・・と思う。
「自分たちのときは、ちゃんと二人で行ってね。」
柳の言葉に、ウエディング姿の美香を思い浮かべる。
そしてそんな美香の横に並べるのはいつなんだろうとも思う・・・・・・。
・・・・・・・・あと、2年だ・・・・・・
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清水澄 拜




