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昨日見た夢  作者: 清水澄
51/185

その51

読んでくださってありがとうございます。

お気に入り登録ありがとうございます。


清水 澄 拝

 柳は美香の部屋をノックした。中から声が聞こえてドアを開けた。


 美香が陽子の顔を見て嬉しそうに微笑む。


「わあい、陽子ちゃん。美香明日帰れるし、ランチ今週末にいける?」

駆け寄ってきて楽しそうに微笑む美香を見て・・ライバルなのになんでこんなに可愛いんだろう・・・。

 いっそのこと憎たらしい子だったら何の躊躇もせずに奪えるのにと思う。


自分の胸の中に飛び込んでくる美香を抱きしめながら、陽子は言った。


「・・・中野君。またご飯と、睡眠の場所が貧相になるわね・・。」

美香が笑いながら、でもいつまでもいられないと返した。


「陽子ちゃん、朝ごはん食べた?」

「・・昨日泊まったから、まだ食べてない。」


美香が笑いながら、簡易キッチンの方へ行き、何かし始めた。

やがて、オーブントースターから良いにおいがしてくる。


「お父さんたちがね、こんな贅沢な部屋にしてくれたから、簡単なものだったら作れるよ?」

そういって、ピザトーストと、カフェオーレがでてきた。


「・・・・美香ちゃん相変わらず凄いわね。」

美香は笑いながら言った。

「優ちゃんは、朝ごはんと夕飯はここで食べてたから・・・これからどうするのかしらね?」

もう一度、ため息をつきながら小さな声で言った。



ホントいろんな意味で、退院させたくはないだろう。でもね、いくら腹膜炎を起こしていたとはいえ、もういい加減に帰さないと・・・。傷はとっくに治ってるだろう・・。

ピザトーストをかじって、カフェオレを飲みながら陽子もため息をついた。


 「・・そういえば、あのあざ・・凄いことなってるわね。槇原先生も凄かったけれど」

陽子は美香に笑いながら言う。美香は自分の分のコーヒーを飲みながら、マッキーは大丈夫?と聞いた。


 「うん、朝救急覗いたときは、しかめっ面して、笑うなって怒ってたわ。」

笑いながら、陽子は答える。何が原因であんな喧嘩になったか知ってる?と笑って続けた。


美香が言いにくそうに言った。


「陽子ちゃんが優ちゃんと付き合ってるみたいなこと槇原先生が私に言ったから・・」


・・・まあ、確かによりにもよって、美香ちゃんにそんなこと言ったら中野君は怒り狂うだろう。今どう美香ちゃんを囲い込むかで必死になってるのに・・・・。

思わず心の中で、苦笑しながら考えたその心を美香が読み取ったかのように言った。


「・・・違うよ?陽子ちゃん。」


「・・・・?」

怪訝な顔で陽子は美香を見つめる。


「優ちゃんは、美香に言った内容について怒ってるんじゃなくて・・」


何だと言うのだろう?それ以外どんな理由があるのかと思い、美香の顔を見た。


「優ちゃんが怒ったのは、マッキーが自分の好きな人を行動を起こす前に諦めて、他の人に渡そうとしたからだよ?」


・・・何の事だろう?意味が良くわからない・・・・


「マッキーが、自分の好きな人が優ちゃんに好意を持ってるのに気がついて、二人を引っ付けようとした。優ちゃん、マッキーのその行動に腹を立てたんだよ?」

美香はもう一度、陽子を見つめて言った。


「・・・それ・・・、誰の事言ってるの?」

かすれた声で、陽子が聞く。

「・・陽子ちゃん、本当に気づいてなかった?」


陽子は黙って自分の持っているカップを見つめた・・。


優希に振り向いてもらえない寂しさを埋めるために、毎朝必ず彼の・・・槇原の顔を救急に寄って探す。それがいつの間にか日課になっていた。


 ”おはよう、今日もがんばれよ”と 毎日微笑んでくれる彼の顔を見ないと一日が始まらなかった。

 

 ・・・・彼がそんなこと考えてたなんて・・・・・・・


「・・それで怒ったんだ・・・」

陽子は笑う。

美香は陽子を見ながら言った。


「だって、優ちゃんは、美香の誤解ぐらいだったら、多分呆れた顔して、”美香は馬鹿か?僕の言葉と、他人の言葉どっちを信じるの?”・・って、ばっさり切って終わりだと思うよ?」


・・・・・まあ、美香ちゃんのその認識にも多分に問題はあると思うが、あながちすべて間違いとも思えない・・・


陽子は、もう一度苦笑して言った。


「本当に、阿呆だわね。中野君の言うとうり。」

そして美香を見ながら、もう一度にっこり笑って言った。

「でも、一番馬鹿なのは私かもしれないわ。」


美香は、陽子を見ながら静かに笑った。そして言った。

「みんな色々と、素直にならないと駄目ですね。」


柳は美香を見つめながら思う・・・あなた本当に13歳ですか?・・・


 残りのトーストを食べ終わる頃に、優希が入ってきた。


「美香!!僕の分は!?」


 黙って、トースターから、ピザトーストを出した美香からその皿を受け取って、コーヒーは?と当たり前のように聞く優希に陽子は呆れた。


 ・・・・ホントこの男、美香ちゃんぐらいしか付き合えないわ・・・


ご馳走様、帰る時間が決まったら教えてね。と言い残し部屋を出る。


  美香の笑顔に見送られながら・・・。そして陽子は心の中で呟く。



        ・・・槇原さんと、いつ話をしよう・・・・・







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