その48
今日は、お読み戴きありがとうございます。
清水 澄 拝
外科での研修が始まった。
角野先生に度々手伝いの御指名を受けて、今までの研修の中で一番多忙な日々を送っていた。
でも僕は今までなら、月に2回会えれば良いほうだった美香と毎日顔を合わせることが出来て、とても幸せだった。
アパートに帰ることなく、美香の部屋の簡易ベッドで仮眠を取ってる僕を見て、美香は優ちゃん今までどうしてたの?と、呆れたり、心配してくれたり・・。
そんな会話の一つ一つに僕は毎日癒されていた。
柳には、”中野君、行方が分からないときは、美香ちゃんの部屋を見たらいいって噂になってるわよ?”といわれ・・・。
美香を時々訪れる槇原さんも僕を見つけては、”おまえ、程ほどにしろよ?本当に危ないヤツといわれるぞ”と苦笑いする。
そんなことかまうもんか。美香との時間は大切だ。僕はきちんと仕事してるぞ!!
美香の経過は順調で、もうすぐ退院が出来るかという日。
僕は例によって、夕ご飯を食べ損ねて日付が変わってから、美香の部屋に入り、そっと冷蔵庫の中を物色した。
叔母さんが、置いておいてくれた、から揚げとおにぎりがあった。
ポットのお湯でお茶を入れようとしたその時、美香がベッドから起き上がりこちらを見ているのに気づいた。
「・・ごめん、起こした?」
美香は首を振って電気をつけて、僕の持っているおにぎりと、から揚げを見て言った。
「優ちゃんそれ、何食目?」
・・これは、日付の変わる前に入れるんだろうか?後に数えるんだろうか?・・・
僕が黙っていると、もう一度美香は言った。
「ゆうちゃん、お昼なに食べたの?」
「・・・・・おにぎり・・」
「何個?」
「ふたつ・・?」
ため息をつきつつ、美香が言う。”なんで疑問形なの?”・・と
冷蔵庫に向かい、奥からタッパを二つ取り出して、おわんにインスタントの味噌汁の元を入れてお湯を注ぐ。
「はい、野菜と、ピーマンの肉詰め。」
タッパには、ほうれん草とにんじんののおひたしとピーマンの肉詰めが入っていた。
「お母さんからだよ?叔母さんも心配してたよ?美香が帰った後、どうやってご飯食べるの?」
おかずたちに気を取られて、僕は美香の問いかけに返事をしなかった。
「優ちゃん、本当は彼女いるんじゃないの?」
僕は、左手に持っていたおにぎりを落としそうになった。
・・・・何を言ってるんだろう?・・・・




