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昨日見た夢  作者: 清水澄
43/185

その43

 にっこり微笑みかけた僕を無視して義弘は美香に言った。

「ありがとう美香、来てくれたんだね。」


義弘の言葉に僕はむかついた。・・なんで呼び捨て・・?


美香は僕の顔と義弘の顔を見比べつつ、言った。


「・・・よっちゃん・・泉先輩が、優ちゃんとの事信じてくれないし・・・・・」

美香の台詞をすべて聞くことなく、義弘は美香の手を引き言う。


「今日は僕と一緒にいてくれる約束だよね・・・?」  

美香は僕の服を握っていった。


「・・泉先輩の事は友人としか・・・・」

美香が皆まで言う隙を与えず、義弘は言う。僕の存在を無視して!!


「・・今日は、僕の傍に来て。」

僕はこらえかねて義弘と美香の間に入る。


「お前。人の話をしっかりい聞いたほうが良いよ?」

美香を抱きしめて僕は言った。


とおまきに僕たちの様子を見ていた、義弘の友人の一人が言う。

「・・・義弘?どうするんだ?」


友人の存在に改めて気づいたのか、僕と美香の顔を見て、・・ああ・・と言い。取りあえずせっかく来たんだし入りますか?と聞いた義弘の言葉に、僕はうなづいた。


 美香は何も言わず僕にしがみ付いている。

そして、僕にしか聞こえない小さな声で優ちゃんごめん・・と言った。


・・・いや、問題なのは、美香お前ではなく義弘だ・・・・・


美香の分のパスポートを出そうとする義弘を無視して、僕は2人分のパスポートを購入する。


僕から離れようとしない美香に義弘は舌打ちしつつ、しきりと美香に話しかける態度に僕はうんざりとする。


 明らかに不機嫌な僕と、美香の意識を自分のほうに向けようと奮闘する義弘に挟まれて、美香は居心地が悪そうだった。


 美香の好みそうなアトラクションを選びつつ、長い行列に並ぶ。いつの間にか一緒に来ていた連中とはぐれて、僕らは別行動を取っていた。


 義弘と僕に挟まれて居心地の悪そうな美香の様子と、義弘に気を取られていたために、美香の変化に気づけないでいた。


僕が、美香の体調がおかしいと気づいたのは、もうすぐお昼に近いかと思われる頃だった。


「・・美香?ひょっとして調子悪いの?」

僕の言葉に、青い顔をして・・なんともないよ・・と力なく笑う。

「・・いや?おかしいだろう?どこか痛いの?」


美香がしぶしぶと答えた。


「昨日から、おなか痛かったんだけれども・・。どんどんひどくなる・・・。」


・・昨日から・・?

「他の症状は?吐き気は?熱はないの?」

僕の聞く症状に、美香はポツリ、ポツリと答える。

「・・昨日ははいたけれど、ご飯食べなかったら大丈夫だし、食べてない。むかむかはする。」

「おなか痛いのは、あっためてたらましだし、カイロ当ててたんだけれども・・どんどん痛くなってる。」

泣き出しそうなその顔と、苦しそうな様子に、横抱きにして近くのベンチを探す。

ベンチに寝かせて、シャツの隙間から手を入れて、腹部の触診をする・・


・・硬い・・・


「美香、押したときと、離した時、どちらが痛い?」

「・・・離した時・・?でも触ったら痛いよ・・?」

半分泣きながら、言う美香を片手で抱きしめながら、僕は携帯をかけた。


勤務先にコールして、槇原さんのPHSにつないでもらう。


暫くまっっていたら、槇原さんに繋がった。


”・・どうした?外線なんて珍しいな?”

のんびりとした、槇原さんの声が聞こえる。


「槇原さん、私的な事で申し訳ないんですが、美香が虫垂炎を起こしてるんじゃないかと思うんです。触診したら、筋性防御もあるので・・・腹膜炎も併発してるかもしれません。」

電話のむこうの声が、”今どこにいるんだ?”と聞く。

僕は今いる、テーマパークの名前と、住所を言った。

槇原さんが言った。”車で1時間・・緊急車両だったら30分てとこか・・すぐに来い、手配しておく。”

僕は、槇原さんに言った。

「・・でも、僕の診断ですよ?それに其処は時間がかかる。この近くの救急病院でもう一度・・・」

僕の言葉に、槇原さんが怒鳴った。

”確証があるから、俺に連絡したんだろう!?オーバートリアージでもかまわん!!つれて来い。今からよそ行って、身分明かしてもそれからの検査と診断だ、こっちのほうがかえってって早い!!それとも状態悪くてつれて来れないか?”

槇原さんの怒鳴り声で僕の気持ちは決まった。

「救急コールして、すぐ行きます。」

”後は任せろ”

僕は電話を切って美香に言った。

「美香、もう少し我慢して、すぐに治してあげるから。」

そして僕は、救急コールした。

救急に場所を告げて、美香を抱いたまま出口に向かった。

義弘が、僕の腕をつかんでいった。

「何が起こってるんですか?」

僕は義弘に短く言った。

「虫垂炎かもしれない。おなかが硬いから、なるべく早く処置したほうが良い。」

「君は、他の友人と合流して・・・・」

「僕も行きます。」

こちらを睨むように見つめる義弘にこんなところでもめてる暇もないと、ついて来いと促す。

出口付近の係員に、救急コールした事を伝えて、救急車の誘導を依頼した。


美香は痛いほどの力で僕のシャツをつかんで痛みをこらえていた。


・・・ごめん、美香・・・なんでもっと早く気づかなかったんだろう・・・・。






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