その40
三人で美香に作ってもらった、お弁当を持って仕事に向かった。
美香も一緒に出ようと誘ったが、もう少し僕の部屋を片付けてから、帰るからと断られた。
美香に見送られて、アパートを後にする。美香が見えなくなってから、柳に言われた。
「・・・美香ちゃんに、部屋の片付けしてもらっても、大丈夫なの?」
・・・・なにがだ?怪訝な顔をして柳の顔を見た。
「・・・・見られて、都合の悪いあれやこれや、ベッドの下に隠してない?」
柳の発言に呆れながらつい答えてしまった。
「見つかるようなデーターとしては、置いてません。」
「・・・PCの中ね?」
僕は、臍をかむ・・・!!いらない事を言った。
ニコニコ笑いながら美香ちゃんに言おう・・と柳がやな笑いをする。
「・・・パスワードがないと、開きません!!」
僕が答えると、柳はもう一度笑い。
「どうせ、mika でしょう?」
と言う。
しかめっ面をした僕を見て、単純!!とますます笑っていた。
そんな僕らの会話を聞きながら、槇原先生がため息をつきながら言った。
「お前ら仲がいいな・・・。」
僕と柳は顔を見合わせていった。
「「どこがですか!!??」」
槇原先生は僕らの顔を見ながら続けた。
「・・・・お前ら、いっそのこと、引っ付いたらどうだ・・・?」
柳が真っ赤になって黙った。僕は槇原さんの気持ちを知ってるので呆れた。
「・・・・何を言ってるんですか?」
呆れて出た僕の発言を無視して、僕の顔をちらりと見た後、お似合いだと思うんだけれども?と言って、後は黙って歩いていた。
三人で気まずい空気の中歩いてるうちにやがて、病院の門についた。槇原さんは医局のほうに向かって歩いていった。
「12時に、中庭で待ってますよ?」
柳の、かけた声に振り返りもせずに、手だけを上げて去っていった。
「・・・・なんなんだ?あの人は?昨日何かあったのか?」
柳への僕の質問に、柳は下をむいたまま答えなかった。そしてそのまま、お弁当よろしく・・と言って、病棟に向かった。
・・・・本当にあの人は、どうしたんだろう?・・・・・・
昨日電話のあった患者さんの様子を確認し、状態を看護師さんに聞いた。
変わりのない様子に安堵しながら、カルテを記載してたら、声をかけられた。
「あの・・・中野先生?」
カルテから顔を上げて、次の言葉を待つ。
「柳先生とお付き合いされてるんですか?」
・・・なんでそんなことになってるんだろう?・・・
唖然とするその僕の様子に、彼女は続ける。
「昨日から、そのうわさで持ちきりですよ?柳先生狙いの、先生たちが大騒ぎして・・。」
「・・・なんでそんな噂になってるんですか?」
「昨日、一緒にいらしたでしょう?」
そういえば、電話を代わった。
「夜勤の子がそれを其処にいた人に言ったら、あっという間に広がって・・・」
僕は溜息が出た・・・・まあでも病院内の噂なんて美香の耳に入らないだろうし、どうでもいいほっておこう。
「・・・たまたま一緒にいただけだよ?槇原先生と、僕のいとこもいたし・・・」
ほっとした顔をするそのこの顔を見ながら・・・なんで彼女がほっとするんだ?と疑問に思いつつ、昼までに病棟周りをするべく詰所を離れた。
昼ごはん時に、僕は柳が指定した場所に向かった。
槇原さんはまだ来ておらず、柳一人だった。
「槇原さんまだなの?」
柳に問うと、急用が出来たから二人で食べろと言われたと言う。
・・・・本当にあの人は・・・・何を考えてるんだろう・・・・
僕は、呆れたが、美香のせっかく作ってくれたお弁当を無駄にする気もなく、柳と二人で食べ始めた。
「少しまだ外で食べるには寒いけれど、ピクニックみたいね?」
柳の嬉しそうな言葉に、ああ、ここにいるのが美香だったらと思う。
やっぱり、せっかくだから連れてきて待ってもらえばよかった・・・。
「・・・ちょっと!!こんな美女前にして、ここにいるのが美香ちゃんだったら・・・なんて思ってないでしょうね!!」
図星に、おにぎりを喉に詰めかけてあわててお茶を飲んだ。
「・・・なんでわかった・・・?」
柳が思い切りしかめ面をして、美香ちゃんにやっぱり、パスワード教えよう。そんな怪しい画像のパスワードに自分の名前って嫌よね・・と、とんでもない事を言う。
それは絶対止めてください!!!
・・・・帰ったら、隣の猫の名前に、パスワードを変えよう・・・・・・
・・・・で、データー捨てる事は考えない・・・と。




