表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昨日見た夢  作者: 清水澄
39/185

その39

 翌朝、槇原は楽しそうな話し声で目を覚ました。


「優ちゃん、駄目だよ?ちゃんとレタスは洗わないと。」

「・・・・・ちゃんと洗ったつもりだけれども?」

「水かけただけじゃない?一枚づつ、はがして洗った?」

「・・・・・・やり直します・・・・。」


 今年入局した新人の中で、一番自分が目をかけ、彼が学生時代から自分の下で働かせたいと狙うほど優秀な男が、今自分の目の前で12歳も年下のいとこに振り回されている。


 しかも自分の恋敵になってしまった。


 槇原は思う。自分はあまり人付き合いのいいほうではなく、むしろはみ出ているほうなのに、気がつけばそのライバルであり、期待の新人とこんなに仲良くなっている。


 ・・・いったいアノ男はなんなんだろう。・・・・


 槇原は二日酔いの回らない頭で、その会話を聞きながら、自分の中の答えを探してみた。



「優ちゃん、スライスオニオンはそんなに、分厚く切っちゃ駄目!!辛くて食べれないよ?」

「・・・・・・だって、美香・・・これ以上どうやって薄くするんだ?無理だよ?」

「・・・じゃあ、トマトと、きゅうり切って・・・。」


 会話があまりにも面白いので、考えるのをやめて、槇原は会話に集中する。

「!!!優ちゃん!!きゅうりも洗ったらいぼとって!!へたはサラダに入れない!!」

「・・・いぼって、どうやって取るんだ?」


「!!!優ちゃん!!自分のほうに!!包丁向けたら!!怪我するよ!!」

「優ちゃん!!トマトは、包丁たたきつけるようにきっちゃ駄目!!」


 何をしているんだろう?思わず覗いてみた。


・・・つぶれかけたトマトが、まな板の上に載っていた。・・・


 美香が、呆れたように呟いた。優ちゃん一人暮らしのくせに、全然成長ない・・・と


 優が、とても12歳年上とは思えないすねた口調で答える。


「・・・・料理が出来なくても、生きていけるから良い!!」


美香が呆れたように答えた。

「優ちゃん?食べないと死んじゃうよ?」

「・・・ずっと美香に作ってもらうから良い。」


小さく呟いた、その台詞に、美香も小さく呟く。

「・・・そんなのわかんないよ・・・。」


 優希が何か言おうとしたが、槇原が見ているのに気がついて、槇原に向かって声をかけた。







 朝早くから美香が起きてきて、台所に立っていた。


今日は、祝日だから急ぐ必要はないといってみたが、皆が起きる前に、朝食と弁当を作ってくれるという。


「だって、また病院にいくんでしょう?」

「それに、昨日の食材を使って、優ちゃんの食事のストックも作りたいし・・・」


ありがとうと、微笑んで思わず抱きしめてみたが、いつもならされるがままにしている、美香が逃げた。


僕の怪訝な顔を見て、美香が言いわけをする。


「・・・美香ご飯作ってるし、優ちゃん危ない・・・」

下を向いて僕の顔を見ようとしない美香に、腑に落ちない思いを感じつつ美香の言葉に従って謝った。


「なんか手伝える事あるかな?」

「・・・レタス洗って・・・」


相変わらず、僕のほうをみようとしない美香。でも拒絶されたわけではない。

僕は、美香に言われたとうり、レタスを洗うべく、水をかけた。


 美香のご指導と、ご注意を受けつつ料理(?)を作っていたが、人の気配に振り向くと、槇原さんが覗き込んでいた。


「・・おはようございます。大丈夫ですか?」

「・・・?なにがだ?」


・・・フローリングの床に寝たこと、浴びるほどお酒を飲んだ事だよ?心配する必要はなかったようだ・・・・


          ・・・丈夫な人だ・・・



 何でもありませんと、僕は返した、その横から美香が槇原さんに声をかけた。


「槇原先生、お風呂沸いてます。お入りになりますか?」


槇原さんは、美香を見て言う。


「・・みかちゃん・・その先生止めて・・俺は美香ちゃんの先生と違うし・・・だから中野も普段俺の事先生いわんだろう?」


美香は不思議そうな顔をしたが、やがてにっこり笑って。


「じゃあ!!マッキー!!で良いですか?」


 槇原さんは目を丸くして、いやニックネームが欲しかったわけじゃ・・・とぶつぶつ言っていたが、やがて諦めたらしく・・ああ・・と言い、風呂場に向かう。


 入れ違いに柳が、起きてきた。


「よーこちゃん?おはよう!!マッキーがお風呂出てきたらご飯にするね?ご飯とパンどちらが良い?」


  柳が、きょとんとした顔で僕を見た。僕は、小さく槇原さんのこと・・と答える。

ああ・・・と笑いながら、柳が言った。


「お味噌汁が飲みたいな?」


 美香がにっこり笑って、じゃあご飯ね?おかずは、玉子焼きで良い?魚もあるよ?


 美香の問いかけに台所に向かい、美香の言うおかずを次々食べたがる柳に呆れつつ、僕は美香の指示を仰がなくても、自分に唯一できる。コーヒーメーカーにコーヒーをセットするという仕事に取り組んだ。


        美香の、優ちゃんお水こぼさないで!!という非難の声を浴びながら・・・。





 

こんにちは、お読みくださりありがとうございます。




 ここで、折り返し地点の(はず)です。


 宜しければ、もう少しお付き合いいただけると、嬉しいです。



 清水 澄 拝


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ