その36
槇原は路地を抜けて、公園に入りベンチに座る柳の後をついて行った。
ベンチに座って、ぼっとする柳の横に何も言わずに座った。
柳が思い出したように笑いながら、槇原に言う。
「馬鹿みたい・・・子供相手に何むきになってるんだろう・・・。」
槇原がゆっくりと聞く。
「・・・中野のことが好きなのか・・?」
柳が、槇原の顔を、驚いたように見て、そして笑った。
「そう見えるんだ・・・?」
槇原が、柳をじっと見て言う。
「・・・みえる・・・な」
柳が、半分笑いながらそして、泣きながら言う。
「私は昔から、勝てない喧嘩はしないことにしてるの。」
「だって時間の無駄でしょう・・・?」
槇原が静かに言う。
「無駄かどうか、やってみないとわからんぞ?」
柳が泣きながら言った。
「あれのどこに、入る隙があるの? 美香ちゃんが無自覚なだけで両想いじゃないの?」
槇原が続けた。
「大人と子供だ、まだ、望みはある。」
柳が、泣きながら続ける。
「体は子供でも、中野君が美香ちゃんを好きな気持ちはわかったから、横槍は入れたくない!!でも気持ちがついてかないから!!これ以上煽らないで!!」
槇原は、黙って柳を抱きしめた。そして、ごめん・・・と言う。
悪いと思ってるのならこのまま胸を貸せと言う柳にうなづく代わりに、頭の上にそっと口づける。
それを肯定と取ったのか、柳はそれ以上何も言わず、ただ泣いていた。
美香は僕の腕の中に暫くいたが、小芋が焦げる!と台所に走っていった。
僕は、僕の腕の中から逃げていったぬくもりの行方を美香の背中を見つめながら捜していた。
台所で、小芋を見ていた美香が、柳と槇原さんのためにお風呂を洗えと言う。
?????何でお風呂???
「だってね、優ちゃんどうせ、病院でシャワーばっかりで、使ってないんでしょう?汚いの丸わかり。人様に泊まっていただくのだから、お風呂くらい綺麗にしないと。」
そういうもんだろうか?どちらかと言うとあの二人のために僕は迷惑をこうむってるような気がするが・・・
しかもこの流れで、冷静にそれを告げる美香に驚きつつ呆れつつ、でも僕が美香に逆らえるはずもく・・・。
僕は黙って、美香の指示に従った・・・・。
僕がお風呂を洗って、湯を張った頃にやっと二人が帰ってきた。
食事できていることを美香が伝えるが、槇原先生はなぜか、お風呂が沸いてるなら酔い覚ましにはいってこい と柳に告げる。柳もこちらを見ずにうなずいたように見える。
玄関の隣にある風呂場に案内すると・・・泣いたあと・・?
槇原さんのほうを見ると、黙ってろと目配せされて、それ以上何もいえなかった。
何があったんだろうか・・?
美香にせっかくの料理が冷めるねと侘びを言い、先にいただこうかなと、槇原さんが食べ始めた。
美香は小芋は温められるし、ホイル焼きはもう一つ作るから大丈夫と笑う。
なかなか、出てこない柳が気になったが、美香の楽しそうな笑顔を見てたら、まあ良いかと思う薄情な僕もい た。
美香が、柳のリクエストの焼き豚を切りに行ってる隙に、槇原さんに、柳のことを聞いてみた。
槇原さんは僕を見て、ぼつり・・と聞いた。
「・・お前、美香ちゃんは子供だよな?本気なのか?」
僕は答えた。
「美香の年齢が問題なのではなく、美香が美香だから僕は欲しいんです。
彼女が必要なんです。」
と、きっぱりと答えた僕に、ひとつため息をついて、槇原さんは言った。
「・・・お前たちの様子を見てて、片思いの相手のことを思い出したそうだ。」
思わず、あいつ好きな人居たんだ・・と呟くと、槇原さんはうなずいて続けた。
「美香ちゃんが、その相手の恋人と重なって悔しくてつい当たったらしい。・・美香ちゃんには内緒にしてやってくれ。」
美香ちゃんには、恥ずかしいところ見せたくないらしい・・。
僕は、うなずいた・・・・ショックですね槇原さん・・・と僕が言うと、槇原さんは、・・・本当にな・・・ と、呟いた。
・・・・・・・その相手がわかった時も・・・な・・と。
いったい誰なんだろう・・・・?
美香の年齢間違えたので、前回分も微妙に訂正してます。スミマセン・・・
本日も、綱渡り更新・・・・。
どこかでストック作らねば・・・・・・。
清水 澄 拝




