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昨日見た夢  作者: 清水澄
33/185

その33

 すっかり機嫌の直った美香に、熊のぬいぐるみを渡したら、優ちゃん大好き!!と抱きつかれた。


 その様子を、生暖かい視線で見守ってくれる二人を睨み(ここは本当に睨んだ)。


柳と楽しそうにすごしている美香をおいて、僕は部屋を出て飲み物を取りに行った。


ドリンクコーナーに、この前僕を警察に引き渡そうとした店員がいた。

 品物を補充する彼の後ろに立って、声をかけた。


「その節は、大変お世話になりました。」

僕のほうを見て、少しびっくりした様子で、でも僕の嫌味に全く動ぜず、彼は返した。

「・・・今度同じ事をしたら、間違いなく通報するから・・な?」


その言葉に僕は微笑みつつ言った。


「・・・事情が判明したら、恥をかくのはどっちでしょうか?」


僕の台詞に、作業の手を止めることなく彼は返す。


「警察がどう判断しても、お前があの子を獲物として認識してる事には変わりがないだろう?」


そして僕のほうを見て言った。


「違うか・・?」


それには答えずに、僕は飲み物を注ぐ。無視した僕を、横目で見ながらまた作業を始めた。


「中野君、私の分も持ってきて。」

いつの間にか来た、柳が無茶な事を言う。


「・・・どうやって、僕に3人分持てと? 自分のは自分でしろ。」


僕はそういって美香用にオレンジジュースを入れる。


「・・・美香ちゃんの分は、持ってくんだ・・・・・なんでわからないのかなぁ、こんだけ一途なのに・・・」


柳の余計な一言に、大きなお世話だと思う。その時、作業の手を止めて店員が柳に近づいていった。


「陽子さん、それ可愛いですね。」


ネックレスを持ち上げて、そいつが言った。


少し赤くなりながら、柳が答えた。


「もらったのよ・・ね?」


僕に振られたその一言に、僕がうなづくと、その店員は表情をゆがめて、僕を睨んだ。

・・・・・ああ、ここにライバルがいますよ?槇原さん?かなり強敵ですよ・・・


 ピアスもおそろいなのよ・・と嬉しそうに話す柳を複雑な顔で見る店員の様子を観察しながら、この誤解を利用してこの間の借りを返せないかと思う。


 手に持った二つのコップの一つを下において、もう一つ新しいコップに飲み物を注いだ。

それを、話に夢中になってる柳に持たせて、そして片手を開けるために僕の片方の手の飲み物を手渡した。


「・・・・?」


柳が怪訝な顔で、両手のコップを見ながら僕の顔を見た。


僕は自分の飲み物を持って、空いた手で柳の肩を抱いた。


「みんなが待ってるし、帰ろうか?」


「・・・?・うん?」


不思議な顔をしてる柳にやさしく微笑みかけながら、肩を抱きやや強引にその場を離れた。


       目の端で、悔しそうな表情が見えた。



          ざまあ見ろ!!僕は悔しそうな奴の顔を振り返り微笑みながら見た。



・・・・遅い僕を心配して、見に来た美香が見ているのにも気づかずに・・・。



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