その3
5/26改稿
店を出て、映画館を目指して、二人で手をつないで歩いていると声をかけられた。
「あれ?中野先生?」
声のほうに目をやると職場の看護師さん達がいた。
「奇遇ですね。可愛いお嬢さんと、どちらへいかれるんですか?」
僕はにっこり笑って彼女たちに言った。
「デートなんだ。」
僕の言葉に、美香を見て驚いてる彼女たちがいた。
「え?妹さん・・・ではないんですか?」
「ちがうよ、婚約者だよ。美香、御挨拶して。」
"はじめまして、橘 美香です、中野がいつもお世話になっております。"美香がお辞儀をしながら答えた。
「・・・えっと、彼女さん童顔なんですね?びっくりしました、高校生ぐらいにしか見えないので・・・・。」
びっくりして美香を見つめる彼女たちに僕は言った。
「うん?高校生だよ?」
平然と答える僕にええ~~と声が上がる。
「・・・・あなたいくつなの?」
恐る恐る聞かれたその質問に美香がもうすぐ16歳になりますと答えた。
「先生、冗談が過ぎますよ?嘘でしょう?」
看護師さんたちのその台詞についいたずら心が出て、証拠見せようか?と、美香を引き寄せて口づけた。
美香が一瞬あっけに取られ、その次の瞬間怒った。
「優ちゃんやめて!!」
美香はあわてて僕から離れようとする。
僕は、唖然としている二人を横目で見ながら、離れようとする美香を抱き寄せた。
「こんな公衆の面前で何するの!!」
「え~でも、触れただけじゃない?」
僕が笑いながら答えると、美香はますます怒った。
「油断すると、それで終わらないでしょう?!!」
大きな声で、僕の言葉に反論した後、美香は二人の唖然とした顔を見て真っ赤になって、うつむく。
そして、笑ってる僕の顔を横目で睨みつけながら、小さくもう知らないとつぶやいた。
呆然としている二人に、映画の時間だからと告げてその場を後にした。
つないだ手を引き寄せて美香の腰にてを回すと、美香は僕のシャツの後ろをつかんで引き寄せた。
「・・・・・えぇ!!!!・・・信じられない・・・・。イメージが崩れた、なにあのでれでれ!?中の先生ってロリコンなの?・・・。」
自覚はあるからほっといてください。
映画はらぶらぶのつもりが、彼氏が恋人を置いて死んでしまう悲恋だった。
選択を誤った・・と思ったときには遅く・・・主人公に感情移入して美香は泣き止むことが出来ないでいた。
美香を映画館の片隅で抱きしめながらため息をつく僕を美香が見あげて言った。
「優ちゃんが死んじゃったらどうしようと思ったら、止まんなくなった。」
僕は呆れて、めんどくさくなったが、ここで喧嘩は出来ない・・。
「不吉なこというなよ、僕が美香おいて死ねるわけないだろう?心配でおちおち死んでられないよ。それに、・・・いい加減にしないと、目が溶けて、不細工になるよ?」
もうなってるかもしれない。・・・という、美香のつぶやきに顔を覗き込んで、笑いながら同意してやった。
・・・今度は泣き止んだが、ふくれてしまった・・・・
なきやんだかわりにすねる美香と遅めの昼ごはんを食べて、美香の初夏のワンピースを選んでると、メールの着信音がする。メールを見て溜息が出た。
「優ちゃん?どうしたの?」
画面を睨みつける僕を美香が怪訝そうな顔で覗き込む。
「先の宝石店に戻ろう。」
ジュエリーショップで先ほどの刻印に要する時間を聞くと今から6時間ほどでできるという。
ペアリングも刻印を頼み後で取りに来る旨伝えて店を出た。
「優ちゃん?ここ9時なんかに出たら門限間に合わなくなるよ? おじさんが怒るよ?」
確かに門限を守らなかったら、父親は怒るだろう。
父はは、美香を実の親以上に大事にしていて、血のつながっている僕も美香に近づく悪い害虫と思ってる。
僕は先ほど来たメールを美香に見せた。
無言でメールを読んでた美香が真っ赤になってうつむいている。
僕はそんんな美香に聞いた。
「・・・家のかぎ持ってる?」
美香が首を振る・・・。
「覚悟を決めようか?何処に泊まりたい?」
真っ赤になってうつ向いたまま返事がない。僕は携帯を操って、この辺で有名なホテルの予約を入れた。
彼女は僕の服のすそを引っ張って小さくつぶやいた。
「家には入れないの?」
「僕も鍵は持っていない。家においてきた。」
それ駄目じゃん!!自分のことは棚に上げて美香は怒った。
「おかーさんたちひどい!!!」美香はメールの文字を見ながら涙目になっている。
メールには、
”今日はお隣とダブルデートでお泊りです。帰りません。優希君美香をよろしくお願いします。
悲願達成がんばれ!!”
とかいてある。
美香は、どうしようひどい、お母さんお父さんひどい・・目に涙をためながら繰り返していた。
僕は美香のそんな態度に溜息が出た。そして、思わず言ってしまった。
「泣くほどのこと?美香はそんなに僕のことが嫌いなんだ?」
真っ赤になって、僕の顔を見て、そして下を向いて、違うもん・・・。と、つぶやく。
でも泣いてるじゃないか、かなしいなぁ~・・というと、ゴメンナサイと謝ってくる。
「言葉だけじゃあね?たいどもほしいな?」
とにっこり微笑む僕に小さな声で、ここで?と上目遣いに聞いてくる。
もちろん、と微笑む僕に、左右をちらちら見ながら、覚悟を決めて僕の服の襟をつかんで自分のほうに引っ張って、そっと口付けてくれた。
「上出来♪ だいぶおこちゃまから成長してくれたかな?」
「優ちゃんは年々意地悪で、スケベになってくる」
「美香かやらせてくれたら、欲求不満が解消されて、むっつりの部分は薄くなると思うけれど・・・?」
と笑うと、美香は返事もせずに、僕の苦手とする隣のファンシーショップにはいっていった。
可愛い嫌がらせに動じずショップの前で待つことにした。
店内でみかはこちらの様子を伺いながら目的の品を探してうろうろしている。
そんな美香の様子を観察しつつ待つ僕に逆ナンのお誘いがかかった。わずらわしく思い断りながら、こんな事ならリングをはずさなければ良かったと思った。
暫くして小さな紙袋を持って美香が出てきた。
「何買ったの?」
「携帯用の、乳液と化粧水と石鹸」
何処で使うの?と言わずもがなの質問をすると、だって、泊まるんでしょう?とすねたように答える。
「・・・・いや、多分ホテルのアメニュティであるし・・・それよりも、着替えと下着でしょう?」
僕が苦笑しながら、突っ込むと、ますます膨れる美香がいた。
自分で出すと言う美香を説得して誕生日には逢えないから・・と。ワンピースとボレロを購入した、下着売り場には連れて行ってもらえなかった。プレゼントしたかったのに・・・、というとまた膨れた。
僕の着替えのシャツも美香に選んでもらい買い物が済んで二人で今日泊まる予定のホテルに向かった。




