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昨日見た夢  作者: 清水澄
29/185

その29

私は、ファンシーショップの小物達、大好きです。

あくまでも作中の登場人物の悔し紛れの意見としてお読みください。

「・・・ねえ、美香ちゃんって可愛いわよね。」


並んで、ショップの中にいる美香とくまの様子を伺いながら、僕は柳の台詞に気のない返事を返す。


「・・・あなたって、本当にはっきりしてるわよね。」


美香から視線を移さず相槌を打つ僕に柳は溜息をつく。


「こんな美人が横に座って話しかけてんだから、こっち向いたらどうなの!!」


強引に僕の頬を両手で持って、自分のほうに顔を向ける。


・・・・何するんだ!!・・・・


美香と熊が、こちらを見てびっくりした後、視線を戻した僕と目をあわさないようにと、また、わざとらしくアクセサリーを選んでいた。


「・・・誤解されるから、止めて・・」


美香のほうを見ながら、憮然と言う僕の顔をまじまじと眺めて、柳は笑う。


「あんなお子ちゃまに本気なんだ・・?」

「お前には、関係ないよ。」


柳の質問は無視して、僕は淡々と答えた。


熊が何故か、ショップのレジに向かった。美香はずっと一つのアクセサリーを見ている。ほかに行っては戻り、また同じものを見る。


僕は、話し続ける柳を残し、美香のほうへ向かった。





 「呆れた、一直線ね。」


残された柳は、美香のほうに向かう優の後ろ姿を追う。

「さすが、ファンシーショップ、安っぽいアクセサリーばっかり・・」

誰に聞かせるでなく独り言を言う。視線の先は笑顔で美香に話しかけている優の横顔だ。

・・・・でもね、好きな人からもらえるのなら、どんな宝石より輝いて見えるわよね・・・・


ぼうっと、二人の様子をほおづえをつきつつ眺めていた・・その時。


 きらきら光るシルバーの鎖と、白い玉が目の前に下りてきた。

びっくりして、顔を上げると、上から熊が覗き込んでいた。


「・・・似合うと思うんだが・・・嫌いか?」

・・・何の事だろう?・・・・


もう一度差し出されて思わず受け取った。


それは、シルバーの鎖の先に、シルバーの冠に囲まれた淡水パールがついているネックレスだった。


思わず返事が出来ずに、彼女はくまを見上げた。


「気に入らないか・・・?」


真っ赤になっている槇原に思わず笑みがでる。


「可愛いけれど、私のキャラじゃないでしょう・・・?」

「・・・・?そうか?充分可愛いと思うけれど?」


・・・今度は、彼女が真っ赤になる番だった。・・・・・


真っ赤になって、うつむく彼女の首に手を回し槇原はネックレスをつけた。


「・・ほら、似合う。」


にっこり笑って覗き込む槇原に彼女は声も出ない。

そんな彼女の手のひらを開けて、槇原は今度はおそろいのピアスを載せた。


「穴、開いてたよな?何で普段しないんだ?」


槇原の問いに、彼女は言った。


「前に、実習で、教授に、此処は飲み屋じゃない!!って怒られて。」

きょとんとした顔をする槇原に言葉を続けた。


「私って、派手な顔立ちしてるから、化粧してたら目だったらしいの。」

黙って槇原は聞いていた。


「おじいちゃんに、合格祝いに買ってもらった、ピアスも気に入らなかったみたいで、もう実習に来るなって言われて・・。」


槇原は、どんなピアス?と聞いた。


「今持ってる、これくれたすぐ後、おじいちゃん心筋梗塞で死んじゃったし。形見なの」

彼女の見せてくれたそれは、決して華美ではなく、ブルーの小さな石が斜めに二つ並んだシンプルなものだった。


「・・・・そうか、それでいつも・・・ノーメイクなのか・・?」


うん、まあね、教授の言う事にも一理あるし。・・と彼女は小さく答えた。


これつけて良い?と手渡されたピアスを出して聞く彼女に、槇原が照れたように、どうぞ・・と答える。


「やっぱりよく似合うよ・・・」


覗き込んで笑いかける槇原に、彼女の鼓動が少し早くなる。


彼女を見てにっこり笑ってた槇原が、思い出したように、ショップに戻っていった。


優と美香の間に入り、美香に何か頼み込んでいる。

そして二人でコスメコーナーへ向かう。


怪訝な顔で、柳は美香たちを見ていたが、優のほうに視線を戻した。


優は先ほど美香と見ていたアクセサリーらしきものを持ってレジに向かった。

途中、これも美香が手に取っていた、熊のぬいぐるみを手にとって・・。


「・・・どんだけ、甘ったるいんだろう・・・?」


ため息をつきながら、あれは人のものだと思う。でもそう思うと、胸が痛む。


「むかしっから、欲しいものは手に入ったためしがないし、仕方ないか・・・。」


溜息と共に独り言を言うと、後ろから声がかかった。


「・・・何が欲しいんだ?」

熊と、美香がいた。


「・・えっ?ショップにいたんじゃ・・?」

紙袋を差し出される。


「・・・・?何これ?」

怪訝な顔をする柳に、槇原が何も言わずあけるように促す。


中には、パールピンクのリップが入っていた。

びっくりする、柳に槇原は続けた。


「・・・それだったら、派手なんて言われない。」

そして小さな声で続けられた、



      ・・・・・綺麗なのに、何もしないなんて勿体無い・・・・・



                  美香はそれを見ながら、にこにこ笑っていた。







らぶ・・・あった。


槇原天然たらし・・・・。



清水 澄 拝

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