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昨日見た夢  作者: 清水澄
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その20

ゆう、反省及び、後悔中・・・・。

 自分の行為に、心の中で悪態をつきつつ、怯えて小さくなっている美香をなだめようと近づこうとする・・・が美香は後ず去った・・・。


怯えた目をして僕をみつめている・・。


近づく事をあきらめて、自分にいやになりながら、努めてやさしく美香に言った。


「・・・どんな・・人でも・・・男は男だ・・」

「美香は可愛い魅力的な子だから、男なんて信用しちゃいけない。・・・まして、煽る行為は・・絶対するな・・」


最後には、頭を抱えてうつむいて搾り出すように言った。

「・・・たとえ僕でもだ。・・僕は君の優しい・・・兄じゃない・・信用するな・・」


後ずさり、ドアノブを回そうとして立ち止まる気配がした。


「・・・優ちゃん・・ゴメンナサイ・・・」


泣き声だった・・。顔を上げて追いかけようと思ったが、体が動かなかった。

どんな言い訳も通用しない。僕は美香の信頼を裏切ったんだ!!


 僕は、美香の階下に降りていく足音を頭を抱えながら、聞いていた。


 暫くして、父の大声と、二階に駆け上って来る足音が聞こえた。


「お前、何で美香ちゃんを泣かして!!!・・・・どうしたんだ・・?大丈夫か?」


怒って飛び込んできた父親は、僕の真っ青な顔を見て何事かと心配する。


「・・・多分少し休んだら、治まるから心配しないで・・・。今日はもう休むよ」


ああ・・といいつつ、治らなかったら夜でも呼ぶように、言い残し父は去っていった。


・・・・・最悪だ・・・・・


・・・・・・・これからどうしよう・・・・

その日は、僕は後悔と、自己嫌悪に悩まされて・・・でも、唇と、この手のひらによみがえる感触に、下半身が僕の意志とは裏腹に勝手に反応しまくり・・・・・・・・美香を思い出しながら・・・結果自分で自分を慰めて・・・・そして自己嫌悪がよりいっそうひどくなり・・・朝まで眠れずに過ごした。


 明け方うとうとし、結局昼過ぎまで布団の中で悶々とすごし、こんな事ではいけないと思い立ち。階下のリビングに昼過ぎに顔を出した。


 降りては行ったものの、誰の顔も見たくなかった僕は、黙ってソファーにかけて、新聞を広げた。

 その僕の前に、僕の大好きな小さな手が、暖かいコーヒーを置いてくれた・・。


 「・・・・・きてたんだ・・?」思わず顔を上げた。


何も言わずに小さくうなずいて、ご飯食べる・・?ときいてきた。


声を出さずにうなづくと、味噌汁と、サラダと、豚肉のしょうが焼きが並べられた。


 黙って食べている僕をキッチンのカウンターの向こうから伺っている。


僕は、昨日の出来事を親に知られないようににどう謝ろうかと、考えながらご飯を食べていた。


 母親が、そんな僕たちの様子を、じっと見ていたが・・・急に思い出したように僕に言った。


「ねえ、優・・?」


母のこの声は・・・いつもろくな事を言わない・・・。僕は身構えて、母のほうを向いた。


「・・・なに?」


「あのアパート、引っ越さないの?」


「・・・・なんで?」


「だって、正式にお医者さんになったんだし?もし彼女連れ込んでも、あんな壁の薄いところじゃ何にも出来ない・・・わよ?」


飲んでいた味噌汁を思い切り噴出しそうになる・・・。それと同時に、キッチンから、ガラスの割れる音がした。

 あわてて、僕はキッチンに向かった。

 美香がしまおうとしていた茶碗を落として割っていた。


「僕がするから、危ないからどいて。」


美香を後ろに押しやり、かけらを拾い小さなものをガムテープでくるんで、美香に聞いた。


「怪我しなかった?」


美香は、僕の顔を不安そうに見た・・・昨日の今日だ・・まだ僕が近づくのもいやなのかもしれない・・・。

 ごめん・・と美香だけに聞こえるように、言って僕は美香から離れようとした。

 そんな僕のシャツをつかんで美香が言った。


「優ちゃん、好きな人いるの・・・?」


美香の言葉に僕は怪訝な顔を向ける。


美香はもう一度言った。


「優ちゃん付き合ってる人いるの?」


僕は、美香の顔を見て、それからリビングの母親のほうを向いて、大きな声で言った。


「僕に、恋人がいないのは良く知っているくせに、いらない事言うから・・美香がびっくりして、茶碗落としたよ・・?お母さん?」


母は、ますます面白そうに、僕らのほうをむいて言う。


「・・・あなたに、恋人がいたらどうして美香ちゃんがびっくりするの?」


 リビングに戻り、食べかけの食事を再開しながら、僕は淡々と言った。


「大好きなお兄ちゃんに、恋人が出来たら、独占できないもんな?  美香?」


 彼女に笑顔で振ってみたが、返事がない。昨日の気まずさを何とかしようと思ってるときにどうしてこの人はかき回すんだろう。


 返事をせずに、台所の片付けを続ける美香を伺いながら僕は昼食を終え、食器を運ぶ。


母親から、又指令が飛んできた。

「そういえば、美香ちゃんに去年の夏休みに家事してもらったのにあなたお礼した?」

・・・いやあれは・・僕は勉強を見てやっていたから・・・。


 「家事労働って、給与算定すると高いのよ~~」

・・・何がいいたい?


 「いまから、二人で出かけてらっしゃい。もちろん、優希、わかってるわよね・・?」

・・・・・何をわかるんだ?昨日の今日で二人きりになれと・・?


 その時美香が言った。


「優ちゃんには勉強教えてもらったし、携帯かってもらったし、・・・美香わがまま言って迷惑かけてばっかりだし・・・・」


 最後は涙声になっていた・・・。

 僕は美香の台詞にかぶせるように伝えた、


「お母さんの言うとうりだ。美香に家事ずっとしてもらってたのにお礼してなかった・・・美香、デートに行こうか?ラブストーリーの映画見に行こう。」


涙を目に浮かべながら・・・でも、はっきり言った。


「みか、アクションホラーがいい・・・。」


僕は下を向いてげっそりしながら言った。


「・・・わかった、でも、血は少な目の奴選んで・・・。」


母は、そんな僕たちを見て言った。


「じゃあ、私たちも隣誘ってWデートするから、夕食は各自でね。」

・・・それは、早々に帰ってくるなというお達しですね・・・わかりました・・・。


仰せに従います・・・・・。



    そして、気まずい気分を引きずったまま、僕は美香と二人っきりで出かけることになった。






読んでくださってありがとうございます。

 そして、この拙い作品にお気に入り登録してくださった方、本当に本当にありがとうございます。




 清水澄 拝

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