その180
ふわふわして、暖かい・・・ここからでていきたくなあい・・・・・。
美香はゆっくりと目を開けた。
・・・あれ?ここはどこだろう?いや・・・見覚えはあるが・・なんで私はこんなところにいるんだろう?・・
目を開けて、辺りを見回す美香にクッションらしきものが声をかけた。
「・・おきた・・?」
思わず自分を抱きかかえている存在を確認する。
「・・・ゆうちゃ・・ん?」
そのクッションは、あきれたように声を出す。
「・・なんだよ?その疑問符・・? 僕以外の誰だと言うんだよ。」
憮然とした表情と共に、そのクッションは動き出して美香の下から抜け出した。
「お前ね・・ほんといくつになっても行動パターンは一緒だね。」
冷蔵庫から差し出された水を受け取って飲みながら、美香はその声の主に抗議の声をあげた。
「・・・いつの間にここに移動したの?」
優希は美香の鼻をつまみながら答えた。
「・・僕が聞きたい・・。いつの間に美香は寝てたんだ?あんなうるさいところで?」
そう言われて思い出す・・・。そうだった、陽子ちゃんが義弘先輩をなぐって、美香が怒られて、優ちゃんがすねて・・・あれ?その後どうしたんだっけ・・・?
美香の怪訝な顔を見ながら、水を飲み干して、優希はため息をついた。
「・・お前ね・・ホント・・頼むよ・・・」
ペットボトルをつぶしてゴミ箱に放り込みながら、優希はあきれたように美香の顔を見た。
そんな優希を無視して美香は自分の行動をトレースする。
「吉田会長が撤収準備って言って・・でもものすごく眠くて・・少しだけって思って!!!優ちゃん!!大変!!後片付けどうなったの!!」
優希はあきれながら、冷蔵庫の中をのぞきながら、返事をした。
「そんなん、とっくに終わってるって、今何時だと思ってるの?」
美香が時計に目をやると・・・・23時過ぎている。
「優ちゃんどうしよう私、後片づけしてない・・・!」
優希はあきれたように”お前の気にしどころはそこか・・”と言った後、冷凍庫からとりだした食パンをレンジにかけようとした。
「・・・優ちゃんなにしてんの?」
「・・え?おなかすいたし・・。美香もいる?焼こうか?」
「・・・・いや、レンジにかけるのならせめて、ビニールから出そうよ・・・。」
優希は手に持った、食パン一枚をまわしながら、”だって、一枚だしレンジだしラップ代わりにならないか?”
とたわけたことを言う・・・。
美香は・・この男は・・・と思いつつ、優希からパンを取り上げて、ビニールから出して冷蔵庫の中を見た。
「優ちゃん・・何にも無いじゃん・・?食事どうしてたの?」
美香は冷蔵庫の中を見てあきれた。
期限切れの牛乳が一本。 スライスチーズが数枚、芽の生えたたまねぎに、しなびたピーマン・・・。
優希は冷蔵庫をのぞく美香の後ろから近寄って冷蔵庫を閉めながら言った。
「・・・だって、美香ちっとも来てくれないから。」
・・・たしかに、このところ忙しいのと、お小遣いが足りなくて優希の食事を作りにこれなかった・・。
でも、いい大人がこれは無いだろうと思う・・・。
「・・・おなか空いたの?」
美香の問いに優希がうなずく。
・・たしか、ツナ缶があったはずだ・・・
美香はかって知ったるで、乾物のしまってある戸棚からツナを出して、たまねぎ、しなびたピーマン、スライスチーズでピザトーストを作った。
「美香は要らないの?」
その問いに美香がうなずき、後でコンビニに行きたいと優希にねだった。
どちらにしても、明日の朝ごはんの材料は必要だ・・・。
いらないと言ったが、一口かじれと優希に言われてパンを・・結局三口かじって・・・・二人でコンビニに行った。
先日購入したイチゴのルームウエアに着替えた美香は優希の苦笑いに抗議の声を上げる。
「結局気に入ってるんじゃないか・・?」
「・・これしかないから着てるだけです!!」
優希のだぼだぼの、ルームウエアより確かに見栄えはいいだろう・・・。
そういえば、あのコンビニで都ちゃんと会ったんだよな・・・と思いつつ仲良く手をつないで夜道を歩いた。
「・・・ごめんね・・優ちゃん。」
突然の美香の言葉に、優希は何事かと思う。
「何が・・?」
確かに謝られるお思い辺りはたくさんある、学校でのトラブルの相談が無いこと、自分が必要ないのかと思うぐらい頼ろうとしてくれないこと。
「何のこと・・。」
優希は、それでも美香の言葉を待ってみることにした。何しろこのお嬢さんは彼が気にしてほしいことには無頓着で、気にしなくていいと思うことにこだわるお人だからだ。
「・・優ちゃんの事ほったらかしで・・。」
うん確かにそれは気にしてほしいところである・・。でも何に対してほったらかしかが問題。
きっとわかってないよな?もっと頼れって事!
「美香、アルバイトしようかと思うんだ・・。」
何の話だろう・・・美香がバイト・・?危ないだろうそれ?第一お前中学生だろう!?
「・・・お子ずかい足りなくて優ちゃんとこにも来れないし・・こんな食生活させて・・・」
優希はあきれて隣でしょげてる自分の恋人を見た。
「・・美香?中学生ができるバイトって無いだろう?」
美香は大きくため息をついてうなずいた。
「・・うん、そうなんだ・・・しかも学校バイト禁止だし・・・。」
当たり前だろう!!と突っ込みたいのを我慢して美香に聞いた。
「何のためにバイトしようと思うの?」
美香はきょとんとして、優希に答える。
「え?そりゃ、優ちゃんにご飯食べてもらえるように、優ちゃんのトコに通うための交通費・・・?」
優希は美香を思わず抱きしめて、ため息をついて言った。
「・・それ、どうして僕に出してって言わないの?」
美香はびっくりしたように言った。
「だって?美香が会いたいから、行くんだよ?何で優ちゃんがお金出すの?」
・・・その認識がおかしい!!と突っ込みたいのを我慢して、優希は美香をコンビニに押し込んで朝食の材料を購入して急いで家路に着いた。
・・・美香、家でゆっくり話し合おう・・・・




