その175
相変わらずまとわりついてくる加治をあしらいながら、柳は優希に話しかけた。
「美香ちゃんて、そんなに可愛いってわけでもないのに目を引くわね。」
・・・在学中に悪い虫がつかないか心配ね?・・・
いたずらっぽく笑いながら、自分の心のうちを見透かすようにいう柳のせりふに優希は不機嫌な様子を隠さなかった。
そんな優希の様子に、あきれたように苦笑いをしながら、彼女は続けた。
「・・・でも、あんまりすぎると、美香ちゃん窮屈に思うわよ?」
柳に言われたせりふを聞きながら、父親の”お前が囲い込むことで美香ちゃんの成長を、阻んでないか?”
というせりふがよみがえる。
・・・いや、僕は美香の幸せを祈ってるだけで、そこには必ず自分がかかわっていたいと思ってるだけで・・・
・・じゃあもしかかわれないような、不測の事態が起こったときはどうするんだろう?
美香の気持ちと、自分の気持ちを天秤にかけたときに、どんな行動を僕はとるだろうか?
・・・・・ぼくは、僕の気持ちと、美香の幸せと天秤にかけたときに、美香の幸せを優先させることができるんだろうか?・・・・・
優ちゃん視線が気になる・・。
クラスメートと話しながら美香は思った。
いつもは美香が、彼の周りにいる素敵な女性のことを思い落ち込むのに、美香の様子を見に来た優希は、今まで見たことがないように独占欲を発揮して、美香に美香が困るようないたずらを仕掛けて、子供のように美香を自分のものだと主張する。
・・・まあでも、昔からすねて、僻みっぽいところはあったよね?・・・
それでも、婚約するまでは12歳年上の大人の男として遠慮してるところはあったが、最近の彼はそれすら見受けられない。
・・本人は隠してるつもりのようだが・・・男性のクラスメイトと話してるときに、無表情でこちらを一瞥する優希を見ていると・・・気分を害してるのがわかる。
きっと後で、過剰なスキンシップが待っているのだろう。
優希が手を回してくれたおかげで、学校生活でのトラブルもなくなり、都という友達も得た。
義弘との気まずい関係も彼が後半年で卒業すれば解決されるはずだ。
ほんの少し前まではこんな風にクラスの打ち上げなんて参加できるとは思っていなかったのに、今はそれを楽しんでいる。すべて優希のおかげである。
美香って結局優ちゃんの手のひらで転がされてるのかなあ・・・
ふと、顔を上げると今度は義弘と視線が合った。何か言いたげにしていたが美香はそれを見ない振りしてそらした。
あの人と付き合っていたときに、こんな日が来るとは夢にも思っていなかった。
あんなに好きだったのにと思う、幼かったけれど自分なりに一生懸命だった。
もし優希と別れることがあったら自分はどうするんだろうか?
義弘と、別れを決意したときとは比べようのない不安が自分の中を覆った。
!!!!絶対いやだ!!!!
優希の姿を探した、加治と笑いながら談笑してる優希が見える。
優ちゃん、美香から離れていかないで!!
何でこんなこと考えるんだろうと思いつつ、不安がどんどん膨らんでいくのがとまらなかった。




