その174
お久しぶりです。
お読みいただきありがとうございます。
美香の手を握って、陽子は続けた。
「美香ちゃんこの会場を見回してごらん、たったこれだけの広さなのに、ほらこんなにあなたに釣り合った将来有望な若者たちがいるわ。」
美香は陽子に言われて、恐る恐る会場を見回して、そして最後に優希の顔を見た。
優希はというと、美香の視線を無視してその台詞を聞いているのかいないのか・・・義弘のほうををじっと見ている。
陽子は美香の手を握ったままそんな優希を指差しながら続けた
「だいたい、何であなたがモテルのかも私にはわからない!」
柳の非難を浴びながらも優は平然としていた。視線は義弘に向けながら・・・
「・・・・へえ?僕ってもてるんだ?」
涼しい顔で語る優にますますエキサイトする柳がいた。
「・・・もててるわよ!!何故か・・・・ファンクラブまでできてるじゃない!!」
延々と続く陽子の話を半分聞きながら、優希は何時の間にか逃げていった美香のようすを目でおった。
都と共に他の友人と話をしてるのが見える。スラッとした手足、襟巻きのタオルがあっても何故か一番目を引く存在である、その美香を同様にちらちらと気にしている義弘にも気がついた。
飛びぬけて、かわいらしい顔立ちをしてるわけでもなく、小さい時はお人形みたいだと思ったが、大きくなった今は欲を言っても10人並みの顔立ちとしか言えず・・・。
でも惚れた弱みだろうか?何かの拍子にはっとするほどの表情をする。
そんな、表情を見るたびに自分はどこまで我慢が効くだろうか・・と自信がなくなる。
そして、自分と同様にそんな美香を気にしている存在は・・・かなり、いるようだと美香の回りを見ながら思う。
義弘はさすがに、美香を盗み見てるだけで、傍に寄らない。・・当然だ、あれだけ言ったんだ。
だが、都の隣で美香にさり気無くまとわり付いている男が気になる、あいつは確か受付で差し入れしてた奴だと思う。
「・・まさか、あのキスマークの?」
今回の訪問の目的は、美香の学校生活がどうなっているかを見ることであったが、学校生活が改善された今は今度は虫除けの心配をしたほうがよさそうだと優希は思った。
「・・・ほんと、一難さって又一難・・どうやっても目が離せないんだよな?本人は全くわかってないけれど・・」
小さく呟いて溜息をつく。
美香は確かに自分のほうを向いて、自分を愛してくれてると思う。
僕に向けるまなざし、僕に向ける笑顔、僕に向ける信頼。
12歳も年下の相手に自分のわがままをぶつけてるのに、彼女はそれを受け止めてくれている。
それなのになぜ自分はは不安なんだろう、と優希は思う。
彼女の周りにいる男たちなんて取るに足らないようにも思えるのになぜかしらいつも不安で仕方がない。
美香の体も手に入れたなら、この不安はなくなるのだろうか。
いや、彼女はまだ中学生だ、そこは彼女の気持ちおじおばのことを考えるとできない。
笑顔で友人と話をしてる美香を見て、一時の不安げな美香の表情ではないことに自分が笑顔になるのがわかる。
そうだ、自分は彼女のあの顔がずっと見たいと思う。
彼女を幸せにしたいと思う。
それは僕自身で行わなければならないと思う。
この役割は絶対ほかの男には譲れない。
そう思いながら美香を見てると、横にいたクラスメートらしき男が美香の手を引いて何か話しかけているのが見えた。
ムッとしながら、視線をずらすと同じように不愉快さを隠さず同じ方向を睨んでいる義弘が見えた。
”・・・・・どんなことしてでもてにいれたかった。”
自分のエゴをぶつけてるだけで、彼女のことを考えてない義弘を思い出して改めて腹が立った。
”手に入らないのなら、壊れてしまえと思った・・・、先輩と僕って似てますよね・・”
確かに僕以外のほうを向いたら、きっと閉じ込めてでも僕以外の男の目にとまらないように するとおもう。
”先輩には僕の気持ちわかりますよね?”
美香を傷つけたお前の気持ちなんかわかりたくない!!
・・・僕と義弘が似ている!?いや、違うだろう。僕は、僕が幸せにしたいと思ってるだけで、美香の悲しい顔なんて見たくない。
彼女が傷ついても、自分の事しかか考えないお前とは違う。




