その165
歩いて駅前の雑居ビルについたら、会場設営の手伝いにとあのカラオケ店の店長がいた。
「…お久しぶりです。」
言葉少なげに挨拶をすると、向こうにも無愛想に返された。
「会場設営のレイアウトはどうしたらよい?」
彼に言われて、会場を見回した。
……僕らが考えるのか?……
思わず義弘を見たら、同じように会場を見回して、中等部の役員と相談していた。
「基本立食でいいと思うんですが、皿をおける机、椅子も少しあった方がよいと思います。」
てきぱきと、中等部の役員の意見をまとめつつ、メインは彼らにしている姿はさすがとも思えた。
僕は黙って、彼らの様子を見ていた。
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優ちゃんは、会場設営に来てくれたスタッフと話をしていたが、結局見てるだけで、指示を出し動いてるのは義弘先輩達だった。
てきぱきと、動いてみるみる間にテーブルのセットが進んでいく。
優ちゃんはそんなみんなの姿を見るだけで、なにもしようとしない。
時々、お店おスタッフらしき人と話をしてる。
……う~ん、でもあの人どこかで見たことあるような?
じっと見てたら、目があってにっこりと笑いかけられた。
……誰だっけ?……
こちらに近づいて来て、話しかけられた。
「お元気でしたか?」
挨拶をくれた後私の不振な表情に、苦笑いしながら、"陽子さんとは、最近あってないんですか?"と聞かれた。
…ああ、陽子ちゃんがが好きだったあの店員さん。
思わず、ビックリして口をおおった私の左手の薬指を見て、それは?と聞いてこられた。
いつのまにか私の後ろにたって方肩を抱いて優ちゃんが言った。
「僕が、贈った。親公認だよ。」
その肩に伸ばされた手を、引っ込めていただけませんでしょうか?
私は睨んだが、全く意に介さず、にこにこと優ちゃんは笑ってた。
店員さんは、下を向いて、そして優ちゃんを見て"僕の、アドバイスは役に立ったんだ?"と微笑んだ。
……なんのアドバイス?……
優ちゃんはなにか言いたそうにしたが、結局なにも言わずにいるうちに、その人は義弘先輩に呼ばれていってしまった。
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会場設営の様子を見ていたら、美香があの柳に片想いしてた店員と話してるのが見えた。
美香の笑顔が悔しくて後ろに回った、
美香の指輪を見て"それは、"と呟くのが聞こえたので、美香の肩を抱いて、僕が贈ったと言った。
どんな反応が帰ってくるかと思ったが、下をむいたのち、笑ってアドバイス役に立ったんだと言われて、ビックリした。
にこにこ笑う彼の顔を見てたら、自分だけと少し申し訳なくもあり。でも仕方ないだろう。
何と言葉を返そうかと思案してたら、義弘に呼ばれて、いってしまった。
……あなたも幸せになってほしい。まだ柳が好きなんですか?……
、、、、、、聞きたいが、聞けない言葉だった。、、、、、、




