その158
色々と、突っ込みたいことはあるものの、今回訪問の本来の目的は美香の学校生活の様子を知ることと、義弘への制裁だった。
美香に促されて、美香と共に催しを見て回る事にした。
美香のクラスの展示にも顔を出すと、クラスメートがいたらしく、美香に話かけていた。
そして僕のほうを見ながら美香に何かささやいている。
美香が珍しく真っ赤になって、照れた様にうつむいた。
そして僕のほうを見ながらぼそぼそと友人にささやいている。
「え~~!!うそ~~!!凄い!!」
彼女らが口々に言ってるのが聞こえた。
そして、美香の背中をみんなでたたいている。
・・・・いじめられてるようではないが・・それは痛いだろう・・・・
呆然と見ていたら、後ろから話しかけられた。
「優兄ちゃん?美香まだ紹介してないの?」
僕が振り向くと、都ちゃんがいた。
「・・・何が?」
僕の不思議そうな顔を見て、都ちゃんは言った。
「優兄ちゃんと美香って私たちの間では話題の的なのよ。」
どういうことだ?
「中学生が、12歳も年上の恋人を持ってて、しかも、それがイケメンで現役のお医者様。美香、今羨望の的よ?」
・・・・イケメン?・・・・だれ?・・・
僕はあっけに取られて、都ちゃんの顔を見た。
そんな僕を見ながら都ちゃんは、微笑みながら言った。
「援助交際の噂を消すためには、それ以上にもっとみんなが食いつく美味しい”ネタ”を用意しないと・・・ね?」
・・・ああそういえば、最強の友人を手に入れたって、美香が言ってたような・・・
にっこり微笑む都ちゃんに、僕は馬鹿みたいに、口を開けてあっけに取られていた。そんな僕に彼女はそっとささやいた。
「・・谷内先生情報と、生徒会情報と、美香の情報を刷り合わせて優兄ちゃんの根性はばれてるのよ?このぐらいちょろいでしょ?いとしの美香のために、お願いね?」
・・・・そうですか?でもね都ちゃん?僕にはそのいとしの美香の目が心なしか冷たいように見えるんですけれど?きのせいでしょうか?・・・。
心の疑問は置いといて、美香のためにと思いながら僕は恐る恐る黄色い歓声に向かって微笑んでみた。
それを見て都ちゃんが満足げに僕にもう一度ささやいた。
「美香の今後の学園生活は、優兄ちゃんにかかってるんだからせいぜいみんなをだまくらかしてね?頼むわよ?」
・・・え~~っと、都ちゃん?何か誤解があるようだけれども?僕は学生時代確かにヤローは陰で操った記憶はあるけれど?・・・女の子をだました事はないよ?・・・
美香が僕を見ながらの周りの黄色い声に圧倒されていた。
「学生時代に培った、その、周りをだまくらかす演技力でせいぜい美香に都合の良いように、みんなが羨む素敵な大人な男性を演出して頂戴ね。」
”頼んだわね”・・と言う都ちゃんの台詞を聞きながら僕は釈然としない思いを抱いていた。
素敵な大人の男性を演じる?演じなくてもそうだろう?都ちゃんはいったい僕のことをどんな風に思ってるんだ?
都ちゃんの台詞に多大な引っかかりを感じながらも美香のためと、その指示に従った。
でも、美香の冷たい視線がいたい・・美香止めて・・・?愛・・あるよね・・?
とりあえず、今は美香のご機嫌よりもこのお嬢様方のご機嫌を取らねば・・。
僕は諦めて、その集団に愛想を振りまいた。
「いつも美香がお世話になってるね?彼女結構わがままだから迷惑かけてない?」
これ以上出来ないほど優しげに微笑みながら前に出て行った僕の様子、笑顔、その台詞を聞いて美香が引いてるのが気配でわかった。
・・美香・・僕も好きでしてないって・・・その目・・傷つくから止めて・・・
都ちゃんが美香の顔を見てわらいをかみ殺しているのが見える。
そして美香は、引きつった笑顔で都ちゃんに何かささやいている
都ちゃんが美香をなだめている。
僕はあきらめてもう一度黄色い声のほうに微笑んだ。
「いつも美香と仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしく。」
再び湧き上がる歓声と共に、美香の溜息が聞こえる。
・・・みか?僕は、かつてこんな風に女の子に愛想笑いしたことはないよ?お前が一番良く知ってるだろう?美香のためだと思うからしてるんだ・・。
・・僕はこの状況で初めて僕の今までの行動を反省した。都ちゃんに良い様に動かされて、操られて・・。自分の意に反して都合の良いように動かされるつらさが良くわかった。・・
・・美香ががいつも相手の気持ちを考えてっていっていたのはこのことだったんだと思う・・・
・・美香?僕はこれからの行動を美香の言うとうり改めようと思う・・よ?
・・だから・・ね?・・ぼくにその冷たい視線は、やめてくれないか・・・な?




