その157
・・・・噛むな・・・・
当たり前とも思える僕の訴えに、美香が顎をあげて、思いきり首を後ろにそらし上目ずかいで僕をにらんだ。
・・・その体勢首が痛くないのか?苦しくないのか?何がしたいのか?何が言いたいのか?
僕の顔を暫く見たあとため息をついて、下を向いて首をひねってもう一度僕を見る。
”仕方ないか、ゆうちゃんだもんね?”
・・・・・どういう意味だろう?
そのあと、”総合祭、見なくていいの?”と僕に聞いた。
別に僕は見たいものもなく、美香の動向を見にきただけで・・・・
そんな僕に美香がちょっとすねながら言った。
「見せびらかしたいと思ってたのになぁ~。」
・・・・なんの話だ?
僕の不思議そうな顔に美香がもう一度言った。
”優ちゃんくるって言ってたから、美香一緒に回るの楽しみだったんだ。
でも優ちゃんは違うんだよね?”と言う。
・・・・いや?その発言はちょっと嬉しいので早くここからでようかと思う。
いそいそと美香の拘束を解いて立ち上がった僕に、美香の"ほんと単純"と言う声が聞こえてきた。
・・・・・・美香?愛、あるよね?
ーーーーー
いつまでここにいるんだろうと思う、いつまでこうしてるんだろうと思う。
優ちゃんの腕の中は別に嫌いではない。
でもせっかくのお祭りである。もっとそれらしく楽しみたいではないか?
ホントは優ちゃんがあんな派手なことしなければ、私だってそれなりに、一緒に歩いて何気に自慢したかったのに、先にてをつないだり、だきつかれたりした日にゃぁ、これ以上私がPRすれば嫌味でないか、、、、わかっているんだろうか?
「仕方ないか、優ちゃんだもんね?」
私の台詞を聞いて怪訝な顔をした。優ちゃんにもう一度聞いた。
「総合祭見なくていいの?」
ますます不思議そうな顔をして私を見る。
"興味ないから"心の声が聞こえてくる。
「見せびらかしたかったのになぁ~」
思わず漏れた心の声に優ちゃんが反応した。
こんなこと思ってるなんてばれたら絶対喜んでますます調子に乗るから絶体に言いたくない!!
その台詞に反応して私の顔を覗き込んだ優ちゃんに、私は言った。
「優ちゃんくるって言ってたから、美香一緒に回るの楽しみだったんだ。
でも優ちゃんは違うんだよね?」
その私の台詞に優ちゃんが嬉しそうに笑いいそいそと私の拘束を解いて動きだした。
・・・・・ホント単純・・・・・
思わずもれた心の声は、どうも口から漏れていたようで・・、がっかりとしたような・・やる気をなくしたような・・脱力感が優ちゃんを取り巻いた・・。
それを見て、ものすごく反省する。
・・・ごめん優ちゃん・・つい・・本音が・・・
・・・・・そりゃあ、不安にもなるよね。・・・
・・・・・・・でもホント大好きなんだよ。・・・・
私は数々の、失言と素行をごまかすために優ちゃんの右手にしがみ付いて、顔を優ちゃんの腕にこすりつけた。
優ちゃんがびっくりして、私の顔を見た。
今度は、その胸に抱きついて、抱きしめてみた。
部屋で二人きりの時はその後の展開が怖くて出来ない。
二人きりでないときは、周りの目が怖くて出来ない。
・・・でもここならば、大丈夫だろう・・・・・・
美香もね、本当は甘えたいんだよ?
優ちゃんが、優しく抱きしめてくれたのがわかった。
もう一度私も抱きしめてみた。
・・・ぎりぎり聞こえるぐらいの声で優ちゃんに言ってみた。・・・
”今一番大好きなのは優ちゃんだけだよ?それは間違いないよ?”
・・うん・・・
・・・と返事とともに、優しいキスが頭の上に落ちてきた。




