その141
読んでいただきありがとうございます。
「時間は巻き戻せないので無理です。そして離してください、大声出しますよ?」
美香の台詞に、どこまで嫌われたんだろうと思う。
もういい、どうせてに入らないんだったらどうにでもなってしまえ!
「出せばいい」
僕の台詞にますます身を固くして彼女が声を出すために息を吸うのが解った。
もうどうなってもいい。どんなてを使ってでも僕のもとに繋ぎ止めたかったのに、どこで間違えたんだろう?
「何で、あなたが泣くんですか?」
美香の言葉に僕は呆然とする、なみだ・・・?僕は泣いているのか?
自分の涙に驚いて思わず目を触って離れた僕に彼女が後ろにさがって僕と距離をおこうとした。
「私の方が泣きたいです、あなたは私に、何をしたか覚えてないんですか?裏切ったのはあなたじゃないですか?何で今さら?しかもまだそんなこと言うんですか?」
美香の言葉をぼうっと聞いていた。何で?今さら?裏切ったのはあなたたじゃないですか・・なの?じゃあ君はどうだったんだ?
「君は、いつから中野先輩のことが好きだったの?」
こちらを、不思議そうな顔をしてみていた。
「君は中野先輩の気持ちに、全然きずいてなかったの?」
「何で僕が、彼がいない間に君を手に入れようとあせったと思ってるの?」
僕は、彼女に手を伸ばし、彼女の手をつかんだ。
「兄弟だって思いこみたかった、僕の気持ちはわかってくれないんだ?」
美香が僕の顔を見上げるのが見えた。
最初僕は、美香は可愛い妹みたいに思っていた。尊敬する中野先輩が大事にしてるから、僕も彼女をテリトリーに入れただけだった。
彼女を見る先輩の顔が、妹に対するものでなく、一人の女性に対するそれだと気づいた時ショックを受けた。12歳も年下の小学生だよ?・・・と。
でももっとショックだったのは、僕が気づいたのは、僕も同じ感情で彼女を見ているからだと自覚したからだった。
・・・どう考えても、叶うはずもなく。
・・・・・どう考えても勝ち目は全くなく。
でも、僕に運命の女神は微笑んだ。先輩の居ない隙に、彼女との接点を増やし、
・・そして彼女を手に入れた。・・・・
あの日も、僕は塾や、学校の用事の合間に、彼女との接点を持つためにスポーツ少年団に参加して、帰ってきている中野先輩とであった。
先輩は、少し痩せて疲れているように見えた。
僕の顔を見て、”学校は忙しくないのか?良く参加できるね?”と聞いてくる。
あまりあわないと、忘れられそうで・・・・と返した僕を不思議そうに見て、そのすぐ後顔をしかめた。
美香が嬉しそうに微笑んで僕のほうに向かってきたその後、彼は用を思い出したと言って帰っていった。
・・・このときは僕はまだ幸福だった。・・・
美香の作ってくれたお弁当を二人で食べた。
明日会う約束をしていたので、美香に何時に待ち合わせるか聞いたら、美香が言いにくそうに言った。
「・・ごめんよっちゃん・・優ちゃんと約束してる・・・。明日は優ちゃんと遊んで良い?」
思わず耳を疑う・・僕たちだって何週間ぶりにあうんだろう?何で美香は僕よりも彼を優先させるんだろう?
でも美香に彼の気持ちを教える気も起こらず・・美香は純粋に”久しぶりにあったおにいちゃん”に甘えたいのだろうと思う。
・・・でも彼はどうなんだろう?僕と付き合ってると知って。ショックを受けていた。
自分の年に会った、女性を見つければ良いのに、美香に向ける視線は昔よりも熱く見えた。
・・・行かしても良いの?・・いかないで欲しい・・・
僕は、その一言が言えずに、”・・・そう、残念・・・”と返しただけだった。
あれが始まりだったと思う。
あのときに戻れないかと思う。そしたら、絶対行かせない・・・・




