その137
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美香と共に、待ち合わせ場所にしていた高等部の生徒会室に向かった。
もちろんその道中、僕と手をつないでる美香は周囲の注目を浴び・・・。
美香が注目されてるのか、僕が注目されてるのかは微妙なところだが、まあどちらにしても美香の虫除け効果は思惑どうり狙えてるとおもう。
やがて生徒会室へついた、卒業してから、ここに来るとは思わなかった・・僕は懐かしい思いと共に中に入った。
中に入ると、現会長が歓待してくれた。
「橘さん?この人が中野先輩?・・はじめまして!!僕あなたのファンなんです!!」
・・・ファン・・・って?・・・
思わず美香の顔を見た。美香が、呆れた顔で”本当だったんだ・・”と言ってる。
・・・何のことだろう・・・
奥の部屋から、谷内先生と、待ち合わせてた友人の加治が出てきた。
「中野遅い!どんだけ見つめてたんだ?美香ちゃんに穴が開いたんじゃないか?」
全く笑えない奴の発言を無視して、会長のきらきら光る視線をどう扱えばいいんだと悩んでたら、谷内先生がそれに気づき笑った。
「・・ああ、吉田の中野教は筋金入りだからな・・・」
・・・なんのはなしですか・・?・・・
あっけに取られてる僕を見て加治が笑いながら言った。
「僕に頼まなくても、お前のほうが有名だったよ?お前の名前出して協力して欲しいって言ったら、すぐ情報が集まってな。」
何でだ?僕は中高と生徒会活動の表舞台にたったことはないのに、改革の最後に会長をしてた加治より目立ってるはずはないと思うよ?
加治が笑いながら、僕の顔を見て言った。
「お前ね、表には立ってないつもりだろうけれど?けれど肝腎なところではずっと発言してただろ?一般生徒はともかく見る人が見たら、裏で糸引いてるのが誰かって実はバレバレだったんだよ?」
・・ああ、優ちゃんってやっぱり自分の事わかってない、だから美香がいつもばれてるよって言ってあげてるのに・・・・
美香の、相変わらずの独り言が聞こえてくる・・・。
そのむこうで、相変わらずきらきらと目を輝かせてる、吉田君が僕の手を握って言った。
「もう本当に感激です。伝説の中野先輩にお会いできるなんて。」
伝説ってなんのことだろう・・。・・離して欲しいな?僕は、男に手を握られてもちっとも嬉しくないです。
思わず後ろに下がって美香の影に隠れた僕にそれでも話しかける吉田君に、美香が怪訝な目を向けて聞いていた。
「・・優ちゃんって・・ナニをしたんですか?」
美香の言葉に、吉田くんが熱く語りだした。
「君知らないの?」
・・美香、よせ・・・多分僕は聞きたくない話題だと思う・・
止めようとした僕を美香は無視して、そして面白がってる加治に僕は押さえ込まれた。
「ここの生徒会はね、昔は先生の指名で決まってたんだ。」
・・・・?・・・
丸い目をしている美香に彼は続けた。
「もちろん、表立っては生徒が選出した形を取ってたんだけれどもね、ここは進学校だろう?みんな限られた推薦枠を獲得するのに一生懸命でね。だから、推薦枠の欲しい生徒が、先生にお願いして生徒会役員をしてたんだ。そんなんだから、学校行事その他も、生徒が自主的に決めてたことなんて何一つなくて。おまけに先生方からの口出しも多くてね。今みたいな自由な校風ではなかった。もちろん今のように総合祭に来訪者が来て、自由に見学するなんてことも出来なかった。」
美香の顔を覗き込みながら吉田君は続けた。
「それをね、ある年の学生たちが、5年かかって今のように変えちゃったんだよ!!」
「しかも同じ人が会長をしたらあからさまだからって、グループをひそかに作って生徒会長を毎年変えて、先生方に気づかれないように・・生徒のための生徒会を目指して、少しづつ改革していったんだ。その中心人物達の中に常にいたのが、中野先輩なんだ。」
「途中で古い先生方が気づいて、勉強がおろそかになるような生徒会活動は必要ないってその試みをつぶそうとしたんだ。」
”どうしたんですか?”美香の問いに美香の手を握って、吉田君が言った。
「おろそかにしてない証拠に、全国模試で10番以内に入りますって、中野先輩が宣言して、本当に高校3年の夏に全国1位取っちゃったんだよ!!凄いと思わないか?!!」
・・・ああ、できるかもしれない・・だって、優ちゃんわざと、上位に入らないように計算して点数取ってたもの。下手に点数稼いだら、志望校変えろって言われるのが嫌だとか言って。・・・
美香のあきれたような、呟きが聞こえる。でもね?美香?そこはすごい優ちゃん!!って言うところだと思うよ?
「その頃上位成績者の集まりの生徒会役員の中でも平均点少し上ぐらいの成績だった中野先輩が、いきなり模試で一位を取ったから、先生方もそれ以上強く言えなくなってしまって。」
あっけに取られた美香が僕を見てるのが見えた。でも僕はそれどころでなかった。
吉田君君はなぜ、ドサクサにまぎれて誰の手を握ってるんだ?
「・・美香に触るな・・・」
僕の声にわれに返って、美香の手を慌てて離す吉田くんが見えた。
加治と、谷内先生が笑いながら言ってるのが聞こえた。
「「裏で糸引いてたのバレバレ・・」」
加治は笑いながら続ける。
「自分で会長しても良かったんじゃないか?全然影の黒幕でないよな?」
その台詞を聞いて美香が言った。
「優ちゃんが、そんな自分が火の粉かぶるかもしれないことするわけないですよ?だってめんどくさいでしょう?」
美香の台詞に、二人が笑い転げた。
美香はきょとんとしてる。吉田君は、相変わらず僕に熱い視線を送ってくれる・・。
・・いや、その視線はいりません。・・・・
・・・そして美香・・僕はお前のいとおしい恋人だよ・・な?・・
・・・・・・もう少し大事ににしてくれてもいいように思うよ。・・・・・




