その136
優ちゃんに一言、文句を言ってやろうと思い、意気込んで走ってきたが良く考えれば八つ当たりのような気もして・・・。
目の前に優ちゃんの笑顔を見たら何も言えなくなった。
優ちゃんはそんな私の左手を取って、指輪をはめてくれた。
・・・・直ったんだ・・・・
私の不注意で壊したそれは、私に無言の圧力を加えて・・・・・。
”こんなに愛してくれる人はほかにいないよ?・・”
そう語りかけてるようにも見えて・・。
・・・いやいやいや、私が言いたいのはそういうことではなく・・・
もっと周りの状況も考えて行動して欲しいだけで・・・
”回りの目を気にして、自分の言いたいことも、したいこともしなければ良いの?”
違う、私の立場と、私の都合を考えて欲しいだけで・・・
”今の状況を作ったのは彼じゃないでしょう?立場と都合を若干無視してるのは、美香のこの状況を何とかしようと思ってくれてるからでしょう?”
・・・そうだと思う・・・それはわかってる。
「美香?何百面相してるの?友人待たせてるしそろそろ行きたいんだけれども?良い?」
優ちゃんの声で、現実に引き戻される。
・・・・そうだ、事実をゆがめて好き勝手してるわけでもなく、道に外れた事をしてるわけでもない、では、私は何が怖いんだろう?・・・
・・・・・・この漠然とした不安はどこから来てるんだろう・・・・・
優ちゃんの手が、左手の指輪を隠すように私の手を覆った。
「・・・見えなければ良いよね。」
・・・・う~ん、校内で手をつなぐのは、不都合には入っていないんですね?・・・・
じっと左手を見てたら優ちゃんが、”美香が嫌なら離すけれどどうする?”と小さく聞いた。
・・・もう好きにしてください・・毒を食らわば皿までもです・・・
私は何も言わずにその手を握り返した。
そしたら優ちゃんに耳元でささやかれた。
「美香、愛してるよ。」
・・・優ちゃん、思い出して欲しいんですが?ここは学校で、美香これからここにあと4年通わないといけないんですが・・わかっらっしゃいますか?・・・
溜息をついた後、私は諦めた。
ーーーーーー
怖い顔で僕に向かってきた美香は、僕が指輪を出して彼女の指にはめると、黙って百面相をはじめた。
そんな彼女を観察するのも面白かったが、人を待たせてる。
美香を促し、美香の手には待ってる指輪が見えないように手をつないだら美香が握り返してくれた。
・・・嫌がるかと思ったのに・・・・
さっきの男子生徒といい、通り過ぎる生徒の視線と言い、僕の周りにライバルが多すぎる。
彼女は、この騒ぎが自分だからこそ注目を浴びる羽目になったとは思っていないようだ。
・・・美香、君は何もしなくても目を引くんだよ、君は嫌がると思うけれど?・・・・
この機会に美香が僕のものだと、告知しておかないとまた誰かにもっていかれかねない。
・・・今日一日、覚悟してね・・美香?・・・




