その134
離れたところから、美香の姿を見守った。
次々と来る来訪者に笑顔で接して、入場手続きを都ちゃんとこなしている。
手の空いたときは、都ちゃんとじゃれあったり、隣の先輩に何か一生懸命に話しかけたりと大忙しだ。
「・・・楽しそう・・・」
美香の様子がおかしくなり、それが学校のトラブルのせいだと知った時は心配するより怒りがこみ上げた。
その状況を作った奴らを僕は許す気はない。
たが残念な事にそれは学校内で起った事で、僕は卒業生とはいえもう関係のない人間である。
表に立てるわけもなく、ましてや直接手を下せるわけでもないはずだった。
「・・嫌々関ってた、中高時代の学校での活動が、こんな所で役に立つとはね?」
・・・事実をゆがめて美香を守る気はない。
だが、事実をゆがめて美香を苦しめたなら、その真実を暴露した時にかぶるであろうひずみは自分の手で処 理してもらおうと思う。
彼の今の、位地を考えれば充分痛手になることは予測される。
「ただ、それを暴露するのがどのタイミングでするのが一番効果的か?だよな?」
・・・・ただでは済まさないからね?それ相応の報復とともに、君のプライドを粉々にしてあげよう・・・・
社会人として、高校生に何本気になってるんだとも思うが、僕が一番大事にしてるものを傷つけたおとしまえはつけてもらう。
美香の笑顔を見ながら、思う。
この笑顔はずっと守りたいとおもう。
ふと時計を見たら、もうすぐここに到着してから一時間が経とうとしていた。
「・・お仕置き決定・・かな?・・・。」
もう一度、受付を見ると男子生徒が差し入れの飲み物を美香に差し出していた。
差し入れなら、渡してすぐにはなれりゃ良いのに、なかなか離れようとせずに、話し込んでるのが見えた。
腕章から、同学年だとわかるが、クラスメイトだろうか?
「触るな。ひっつくな。美香も笑いかけるな。」
僕にはきずいてくれないのに、何であいつには笑顔なんだ?八つ当たりにも似た感情でそれを見てたら、電話が鳴った。
不機嫌を隠さずに電話に出たら先に生徒会室に行くといって別れた友人だった。
『・・・お前、まだ受付してないのか?』
呆れたような困ったような彼の声に僕は余計なお世話だと憮然と答える。
「・・・いけないか?」
僕の返事に彼の呆れた声が返した。
『・・・どこの乙女だよ?愛する人の顔を、木の陰からこっそり見つめるって・・・。』
「・・ここには木は生えてないよ?障害物もない。」
『・・・・誰がそんな話してんだよ?さっさと受付して、生徒会室に来いよ。』
呆れて諭す彼の話を最後まで聞かず、僕は電話を切った。
もう一度美香を見たら、さっきの男子生徒はいなくなっていた。
美香が隣の先輩らしき人と話をしながらこっちをじっと見てるのが見えた。
・・・やっと気がついてくれたかな?・・・・
手を上げて美香に合図を送ってみた。
・・・だが、左右見て首をかしげている・・・
・・・・・わかってないらしい・・。本当にお前は愛情が足りないと思うよ?僕はこんなに愛してるのに・・・・・
美香にきずいてもらうことを諦めた僕は、美香のいる受付に近づいた。
僕を見ながら怪訝な顔をして、やがて、驚いた顔になって。小さく”優ちゃん?”というのが聞こえた。
・・なんで疑問形なんですか?これだけちかずいたら、いくらなんでもわかるでしょう?・・・・・
「いつ気がついてくれるのかと、あそこで待って一時間以上も経った。ちょっとひどいんじゃないの?」
憮然と言った僕の様子に、少し口ごもりながら言い訳をする。
「・・・その不思議ないでたちでなかったら、すぐわかったよ?」
・・僕は美香だったらどんな格好しててもすぐわかるとおもうよ・・・
僕は心の声を隠して、不機嫌な表情で美香を見た後、美香の横にいる都ちゃんに笑顔で挨拶をした。
それを見ながら美香が、無愛想に父兄受付はあっち・・と隣のブースをさして言う。
もう少し優しく扱ってくれても良いんじゃないか?・・と思いながら、そんな美香に意地悪がしたくなり、わざと回りに聞こえるように婚約者受付はどこ?と聞いてやった。
思惑どうり回りは驚いたが、美香は怒って僕に一般入場者受付にするかと聞く。
・・・それは困る、入れない場所が出てくる・・・・
諦めて、父兄受付を頼みシールを受け取った。
本当は美香に貼って欲しかったが、この状況でそれを言ったら、ただじゃすまない気がしてやめた。
高等部の子が、会長が見たら・・と言ってるのが聞こえた。
・・いや?僕は僕です、いつもこんなものです。・・・・
睨む美香を見ながら、自分でシールを貼って都ちゃんの方を見ながら、首をすくめたら、美香がますます怒ってるのが見えた。
・・・美香、僕は あいがほしいな・・・・?




