その130
お気に入りご登録ありがとうございます。
読んでくださってありがとうございます。
ファンシーショップで欲しいものはないかと聞いたが、ないと言う。
「美香?服はどちらにしても必要だったし、数に入れなくて良いよ?」
僕の言葉にも首を振って、お手洗いに行ってくるねと、滝さんと僕を残し美香はその場を離れた。
僕らは二人きりになったが非常に気まずかった。僕は実のところ彼女が美香に取った今までの行動を許せるはずもなく・・、そのことに彼女も気づいていている様子で、居心地悪そうにしていた。
でも、二人でいる気まずい沈黙を破ったのは彼女だった。
彼女はこちらの様子を伺いながら、遠慮がちに話し始めた。
「美香ちゃんって、学校の様子とずいぶん印象が違う」
僕は彼女の言葉に、おもわず聞き返した。
「どんな風に?」
滝さんは下を向いて恐る恐る言葉をつなげる。
「下向いて、周りにきずかれづにすむように、回りとかかわらないようにしてる。笑ったとこなんて見たことなかった・・」
僕は彼女の言葉に、自分の負の感情を抑えながら言った。
「周り中が敵になってる環境で、悪口言われないようにするためにはどうすれば良いと思う?」
僕は彼女を見下ろしながら表情を殺して続ける。
「目立たないように、自分の存在をきずかれないように・・周り中の悪意から逃れるための自衛だろうね」
僕は握りこぶしを握って、怒りの感情をこの子に向けないように気をつけながら言葉を続けた。
「今まで君が知らなかったといった美香しかぼくは知らない。君が知ってるという美香を僕は知らない。」
僕は、うまく怒りを押えてるんだろうか?相手は美香のクラスメイトだ。これ以上美香が傷つくのは絶対避けなければ、僕がそのきっかけを作ってはいけない。
僕は僕の横でじっと聞いてる滝さんを見つめて頼んだ。
「僕はそんな美香は知りたくもないしこれからも見たくない。」
「君らがどういうつもりか知らないが、これ以上美香をきづつけるのは止めて欲しい。」
滝さんは黙って聞いてくれた、彼女に美香の切なさをわかってもらえたと思いたい。
やがて美香が戻ってきた。
僕は二人におそろいのマスコットをプレゼントした。
・・嫌がるかと思ったが、滝さんは喜んで受け取ってくれた。
僕らはバスを降りて、それぞれの家に向かった。
滝さんと別れて美香が僕の手を握って、呟いた。
「・・楽しかったな・・・」
僕は歩きながら美香を抱きしめる。
「月曜も楽しいよ?きっと」
美香が小さく呟いた。
「一年も続いた、あの状態がそんなにすぐ改善されると思わないけれどもな?」
美香の言葉に黙ってうなづいた。
美香がそんな僕を見て、もう一度溜息をついた。
「やっぱり優ちゃんもそう思うんだ。」
僕は、そうだね・・と言葉を続ける。
「・・でもね、美香?」
美香が僕の顔を見上げた。
「美香はこのアクシデントを乗り越えられるだけの力を持ってると思うよ。」
美香が僕の手を強く握り締める。
「そして僕は何があっても、美香を守りたいと思ってることはおぼえていて欲しい。」
そういった僕に美香が抱きついてきた。
その小さな体を握り締めて僕はささやいた。
・・僕は何があっても、たとえ世界中を敵に回しても、君の味方だからね・・・・・
ーーーーー
月曜日重い足取りで学校へ向かった。
滝さんと取っ組み合いをしたこと、優ちゃんの派手なアクションを考えると、どんな出来事が今日待ってるかと思うと気が重かった。
校門を抜けようとしたら呼び止められた。
「美香ちゃん!!!おはよう!!」
声と共に誰かに手をつながれてびっくりした。
・・・え??滝さん?・
私の顔に笑顔で笑って、「後で洋服代返すし受け取ってね?」という。
「・・え?あれ優ちゃんが要らないって。」
彼女は眉をしかめて言った。
「私友達には借りは作らない主義なの。それに、返さないと美香が見返り求められるなんてイヤダもの。」
私の手を引っ張ってずんずんと、彼女は教室に向かった。
案の定教室では、私達を見ながらのひそひそばなし・・。
私は声を潜めて彼女に伝えた。
「滝さん?あなたまで仲間はずれにされるよ?」
私の言葉に、”都で良いよ”といった後、
「美香は私といるのいや?」
私の話しを無視して、違う質問を返す。
「・・全然嫌じゃないけれども・・・。」
困った顔の私に満面の笑みで、”良かった”と笑う。
「もらった熊かばんにつけたよ?美香はつけてきた?」
「・・かばんに入ってる・・」
”あけて良い?”ときいて彼女は私のかばんから熊を取り出して私のかばんの目立つところにつけて、周りに聞こえるように”おそろい♪”と笑う。
昼休みに滝さんと昼食を食べてると、高等部の生徒会長が私を訪ねてきた。
「中野先輩の彼女って君?」
・・・何が起こってるんだろう・・・・
怪訝な顔で”あなたの言ってるのが優ちゃんのことならそうだと思います”と答えると、彼は言う。
「僕!彼のファンなんだ!!」
私の手を握って熱い目をして言う。
「彼伝説の人だよ!塾にも行かず、高校3年の夏の模試で全国トップとって、どの大学も目指せたのに、自分の意思をつらぬきとうした。僕の憧れなんだ。」
・・・はぁ・・・・
あっけに取られる私の手を握って熱く語る彼を呆然と見た。
・・・優ちゃん?あなたいったいナニをした・・・・
そんな私に気がついて、彼は真っ赤になって手を離した。
「お願いがあるんだ、中等部の生徒会活動を手伝って欲しい。」
!!なんで!?
「・・・そのお話は・・」
私が皆まで言う前に、滝さんが言った。
「美香は週末その中野先輩との時間を取らないといけないので平日の用事が多いんです、だから生徒会の呼び出しもたまにしか参加できないと思います。なので、私が補佐として一緒に参加させていただいて先輩方のご迷惑にならないようにしたいのですがそれでも宜しいでしょうか?」
滝さんの言葉に、目を丸くする。
「・・滝さん・・・」
”都!!”短く彼女は言いなおして、私に目配せをする。
「ありがとう、うれしいよ」
笑顔で帰っていく会長を見ながら、私は滝さんの顔を見た。
滝さんは私に諭した。
「あのね美香、ここの生徒会は眼をつけられると厄介なのよ、ましてや高等部からのお誘いなんか、他の人の目の前で断っちゃ駄目。多分あなたの彼が何とかしてくれると思うからしばらく付き合おうよ?」
・・優ちゃん、私最強の友人を手に入れたかもしれない・・・・
その118 根岸さんが優に話しかける部分。訂正しました。




