その126
保健室へ美香達と共に向かう。
歩く様子を見ても、喧嘩の内容を考えても、たぶん擦り傷と打ち身程度だろう。
保健室に入り、二人が痛いと言うところを聞いて異常がないか見てシップを貼った。
美香が、右の脇を押えてるのが気になったので、触ろうとしたら思い切り拒否された。
「・・ヤダ!!変なところ触らないで!!」
美香の態度にむかついた僕は、不愉快な感情を隠さずに美香に告げる。
「曲がりなりにも、診察してる時に、不埒な行為はいたしません。」
僕の低い声に、美香は少し反省したのか、しぶしぶと右の脇から胸にかけての痛みを言う。
「服ぬいで見せて?」
僕の言葉に美香が怯む。
「脱がないと駄目なの?」
うわめずかいに僕を睨んで、思い切り嫌そうな顔をする。
「見ないと診察出来ないでしょう?」
不機嫌に返した僕の顔を見て、”服脱がないといけないのなら診察していらない・・”とそっぽを向いた。
「・・・おまえね?曲がりなりにも恋人で、婚約者に対してお前のその態度ってどうなの?」
僕の怒りにも全く怯まず、自分でシップ貼るから良いと言う美香に対し勝手にしろ・・とシップを渡した。
それを見ていた、美香の喧嘩相手が、
「・・本当に、やましいことはしてないんだ・・・。」
と呟くのが聞こえた。
「キスしか許してません!!」
「キスしかさせてくれません!!」
同時に叫んだ僕らの顔を見比べて、笑いながらごめんなさいと言う。
「・・・・大体、それも、舌を入れようとすると怒るし・・・。」
「優ちゃん!!!!」
僕に皆まで言わせずに、ものすごい形相で怒る美香を見て、キスぐらいで何でこんなに起こられないといけないんだと思う。
その様子を見ながら、美香の喧嘩相手が、笑いながら、”橘さん私がシップ貼ってあげる”と美香に声をかけた。
美香はシップと、そのこの顔を見比べながら、うなずいてカーテンの中に二人で入っていった。
やがてくすくす笑う声と、ひそひそと話す声が聞こえる。
『なんか、想像した感じと違うね?12歳も年上なのに子供みたい。』・・と彼女
『うん、お子様だよ?本当にちゃんと仕事してるか美香疑わしいと思うもの』・・・美香・・聞こえてる・・・
『・・援助交際ってうそだったんだね?』
『・・美香、バージンだよ?』・・・美香聞こえてるって。
『・・でも大人の人と付き合ってると色々大変じゃないの?』・・・いや苦労してるのは僕のほうだ・・・
『優ちゃんに関して言えば、美香、苦労してると思うよ?でも美香結婚するまで絶対嫌だし!!』
・・・聞こえてるって・・・。
僕の隣の谷内先生が、爆笑しているのを横目で見た・・。
・・・僕はちっとも面白くないぞ?・・
やがて二人ででてきて、美香は僕の不機嫌な顔を見て少し申し訳なさそうに言う。
「・・だって、知ってる人も嫌だけれど?優ちゃんだと思ったらもっと恥ずかしい。」
アッペの時は僕が診たんだぞ?どう違うと言うんだ?
僕は溜息をつきながら不機嫌に言った。
「もう良いよ、美香の気持ちは良くわかったから・・・」
「「子供だ・・・」」
二人に同時に叫ばれて、ますます僕は不快指数が上がったが、それに反して谷内先生の笑い声は大きくなった。
・・・美香、今日二人きりになったら、覚悟しとけよ?・・・




