その122
教室を出て、音楽室に向かった。
一人で行こうと思ったのに何故か優ちゃんがついてくる。
「・・優ちゃん?どこかでまってて欲しい。」
私の台詞に優ちゃんがにっこり笑って言った。
「良いじゃない別についていっても?それとも美香は僕がついてくとなんか都合の悪い事でもあるの?」
・・・とても貴やかに、(でも私の中ではうそくさい笑顔で)微笑む優ちゃんを私は恨めしく思った・・そして有無を言わせないその雰囲気に、私は逆らえなかった。
廊下を歩く間、すれ違う先生方に声をかけられる。
「・・中野?何で橘と・・?」
先生方が口々に同じことを聞き、そのたびに優ちゃんは谷内先生に言ったのと同じ台詞を繰り返した。
・・・・優ちゃん?来週から美香どんな顔をして、学校に来れば良いの?・・・・・
ずっと真っ赤になって、うつむいてる私はふと顔を上げたときに、あのコンビニエンスストアで出会った子の所属するグループがあっけにとられて優ちゃんと私を見てるのを見つけた。
優ちゃんが私が固まるのに気づいて、私の見てる方向を見た。そして、そのこを見つけて、極上の笑顔を浮かべて、近づいて行った。
「今日は、この前美香とコンビニにいるときに御出会いしましたね?」
優ちゃんの笑顔にだまされて、彼女が真っ赤になってるのが見えた。
・・・何をするきなんだろう?・・・
私は成り行きをじっと見つめた。
「・・・なんかこの前あったときは、少し誤解があったようだけれども?僕と美香は正式に婚約してるので、君たちが心配してくれてるような事実は全くないよ?」
・・・にっこり笑って、彼女たちに釘を刺した。・・・
そして、私の首に手を回し、この間もらった指輪をネックレスのチェーンからはずして、私の薬指にはめて、そして、そこに口付けを落とした。
周り中から黄色い声が上がると共に、私は優ちゃんの暴挙に思わずカミナリを落としてしまった。
「優ちゃん!!どこでもここでもそんな話しないで!!」
私の剣幕にも優ちゃんはひょうひょうと答える。
「え~~?だって自慢したいじゃない?こんな可愛い子が恋人で婚約者って?」
そして私を抱き寄せながら、あっけにとられる先生方のほうを向いて言った。
「校則のどこにも、婚約してはいけませんって書いてないですよね?」
にっこり笑って言い放ったその爆弾に、私は溜息しか出なかった。
「優ちゃん、不順異性交遊は駄目ってかいてるよ?節度ある交際を行う。の一文もあるし・・。」
思わず突っ込んだ私の言葉に、優ちゃんはにっこり笑って言う。
「僕の行動が、美香の思うところの節度ある交際じゃないって言うのなら、僕の思うところのいろいろな節度のない交際の実践をぜひ行って、美香との認識の違いのすりあわせをしてみたいな?」
・・優ちゃんの台詞に私は思わず退いた・・。
「優ちゃん、美香がわるうございました、美香無事に卒業したいので、高校卒業までお願いですから、いろいろは、我慢してください。」
真っ青になった私の顔を見て、優ちゃんが仕方ないよね・・とため息をつく。
見てた先生方、ギャラリーがあっけに取られているのが見えた、”妊娠って嘘じゃない? だれがいったの?という声も聞こええてくる。”
・・・誰が言いだしたにしても無責任に広めたのはあなたたちでしょう!!大きな声で突っ込みたいのを我慢しながら、優ちゃんの顔を睨んでみた。
でも、優ちゃんは周りのざわめきを涼しい顔をしてわれ関知せずとばかりににこにこ笑って私を見つめていた。




