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昨日見た夢  作者: 清水澄
120/185

その120

美香が、ひとつため息をついたあと僕の顔を見た。

そして谷内先生の顔を見て、もう一度の顔を見て、下を向いて諦めたようにボツリボツりとはなしはじめた。


「始まりは、生徒会のお手伝いだったんです。」


下を向いて話し出す美香を見守る。


ーーーーー


「橘さんって、君かな?」

入学して一ヶ月程たった頃に、見知らぬ上級生が私に話しかけた。

「・・・はい、そうです。何か御用ですか?」

私の問いにその人は言った。

「実は生徒会の仕事を手伝ってもらえないかと思って。」

その時そばにいた出来たばかりの友人が言う。

「すご~い、橘さん!!」

その時は良く知らなかったが、うちの生徒会は名誉職(?)らしく、関わりたくとも関われない狭き門・・・らしい。でも私はその時そんなことも知らず・・・。ましてや、合格したお礼に優ちゃんのアパートに食事を作るためにしばらく通いたいと思っており・・。

クラブ活動にも、時間を持ちたく・・・。

結果出てきた言葉は・・・

「すみません、時間がないのでお断りしたいんですが?」

・・・・だった・・・。

それを言ったとたんに、その上級生の表情がゆがんだ、でもそれは一瞬ですぐ笑顔になって、私に”もし、気が変ったら連絡して?”と彼は告げて去っていった。

そのやり取りを見てた友人が私の制服のすそを摑んでいう。

「・・橘さん?生徒会長のじきじきのお誘いを断って良いの?」

私はびっくりした、どこかで見たことがあると思ったら生徒会長だったのか。

「・・・でも本当に無理だと思うし。」

私の言葉に、彼女は少し引きつるような笑顔を向けた後私先に教室戻るね・・。と足早に去っていった。


 その子は、次の日から私を避けるようになった。


 2,3 日後にもう一度生徒会長が私の教室に来て同じ事を聞いた。

でも何度聞かれても私の気持ちは一緒だとお伝えした。

彼は引き下がらなかった。

「義弘先輩が、君と一緒に仕事がしたいって言ってるんだけれども?」

突然出たその名前に、私はその人の顔を見て言った。

「・・・泉先輩のご希望ならなおの事、お断りいたします。」

きっぱりといった私の様子に、その人はびっくりとした顔をした後にもう一度言った。

「・・義弘先輩とどんな誤解があったのかしらないけれど・・・。」

その人の言葉を最後まで聞かずに、私は言った。

「泉先輩に何を聞かれたのかは知りませんが私の中では終わった事なので、これ以上彼に関わって欲しくないんです。」

私の台詞に、その人は私の顔を睨んだ後に、黙って教室を出て行った。

そのやり取りをクラスメイトは遠巻きに見ていた。

・・・そして、次の日から私は、クラスから浮いてしまうようになった。


そんな状況になっても私はあまり深刻には考えていなかった。

時が解決するかなぐらいの気持ちだった。

クラスにはなじめなかったが、その頃はまだ話しかけても返事は返ってきていたから・・・。


 泉先輩とは廊下であった時など、挨拶は交わしてた。

 でも、話かけられても答えに詰まってる私の様子を見て、それも徐々に減って行った。


 彼の卒業近くなった、ある日、廊下でであった彼に捕まって言われた。


 「・・最後に一度二人でどこかに行きたい。もうそれで本当に諦めるから。」

・・この人は何を言ってるんだろうと思った。

私たちが分かれたのは、2年も前だ、その後接点なんか殆んどなかったのになにをいってるんだろうと思った。

黙った私の腕をつかんで、同じことを何度も言う彼を見てたら、かわいそうになった。

周りの人が注目してるのも気になった。そこから早く逃げ出したかった私は思わずうなずいてしまった。

・・そして、泉先輩が笑顔になるのを見て、うなずいた事を思いっきり、後悔した。


ーーーーー


「・・・それで、僕に電話したのか?」

僕の言葉に、美香がうなずいた。

「優ちゃんに頼んで、テーマパークに行って、盲腸になって退院して久しぶりに学校に行ったら、クラスの人が誰も喋ってくれなくなって・・・」

美香がうつむいた。

「聞こえよがしの悪口から考えると、どうも援助交際の相手の子を妊娠して流産した事になっていて・・・。」

僕の、不機嫌な様子を見て美香が首をすくめながら続けた。

「・・しかも、本当は美香、泉先輩と付き合ってたのに、その援助交際相手との二股の挙句、先輩を捨てた事になってて・・・」

谷内先生が、僕のほうを見て息を潜めるのがわかった。

「ここの学校は生徒会が力を持ちすぎてるからな・・」

僕の様子を伺いながら僕に向けたその台詞に僕はますます怒りを募らせる。


「生徒会が力を持ってることと、噂が一人歩きしてる事は別の問題!!そんなの義弘が否定すればいいことじゃないか?事実はどこにあるんだ?」

美香はこちらをこわごわ見ながら言った。

「 あの人は、否定も肯定もしてない。それに事実を言ったら自分が恥かくじゃない?」

僕は低い声で美香に聞いた。

「だから黙ってるって言うのか?」

美香が、びくびくしながら”優ちゃん落ち着いてね?”というのが聞こえた。


・・・・落ち着けません!!!・・・・・


そして美香の台詞に僕はぶちぎれた!


「それだけじゃなく、美香が何とかしてって泣きついてくるのを待ってるんだと思う。だってあの人プライドが高いもの・・美香に、振られたままじゃ嫌なんだと思う。」


!!ふざけるな!!と思う!!


谷内先生がそんな僕の様子を見て、溜息をつきつつ”どうする?”と聞いてきた。

僕はこれ以上にない怒りを込めて、伝えた。

「・・・落とし前はつけてもらいましょう、この代償はおおきいですよ?」

にっこり笑った僕の顔を見て美香がこわごわと言った。


「・・・優ちゃん?・・・何する気なの?・・・」

僕は携帯を操作しながら美香のほうをむいて、黙って笑った。

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