その12
翌日は昨日の夢の内容を思い出し気分は最低、おまけにひどい二日酔いに悩まされながら、リビングでコーヒーを飲んでいると、美香が飛び込んできた。
「優ちゃん!!映画見に行こう!!」
「・・・・・やだ。義弘と行けば?」
不機嫌に返すと、美香が膨れた。
「だって!優ちゃんが約束したんだよ?この次帰ったら映画つれてってくれるって。だから美香、よっちゃんと遊びに行く約束してたの断ったのに。」
向こうを向いて膨れる美香を見ながら、僕を優先したと言う美香の台詞を反芻する。
・・・・・・・いきなり、気分が良くなった。
僕は、思わず出てきた微笑を気づかれないように冷静さを保ちながら、美香に確認した。
「ふ~ん、義弘君の誘いを断ったんだ?」
「そうだよ?中学のの勉強が忙しくて、土日もあんまり会えないのに、ゆうちゃんとの約束を優先させたんだから!!」
それなのに、優ちゃんひどい・・とまた膨れる。
僕はあわてて美香のご機嫌を伺いながら言った。
「悪かった、今日はお詫びに好きなものおごるよ。バイト代入ったからね。」
キッチンからくすくす笑う声が聞こえる。母親だ・・聞いていたのか。
後でからかわれるかな・・・と思いつつ、美香の気が変らないように様子を伺いながらお願いをする。
「30分待ってシャワー浴びさせて?」
しょうがないなぁ~~とつぶやく美香を残し、頭痛薬を探してキッチンの母親に声をかける。
小声で、母親が”良かったわね、逆転ゴール狙ってね。と僕にささやいた。
何も言わずに母に微笑を返した。
あきらめずに、ゴール目指して走る事にするよ。




