その116
優ちゃんに抱きしめられながら、”もう少しいてくれるのなら、お昼は外で食べよう、お弁当作ってくれる?”
といわれた。
意地をはる気もなくしてしまった私は、優ちゃんの指示に従った。
・・・でもどこに行くんだろう?この近所にあの子が住んでるのはわかった。迂闊に公園に行ってであったらまた何を言われるかわからない・・。
あんな噂がばれて、優ちゃんが嫌な思いをするなら、このまま何も言わず帰ったほうが良いのかもしれない・・。
思いあぐねながら、のろのろと用意を進めた。
ほうれん草のおひたしを薄焼き卵で巻いたもの。かぼちゃと鳥つくねといんげんの炊き合わせ。おからの和風サラダと、ひじきの煮物を入れた玉子焼き。
から揚げをあげながら、優ちゃんが”なるべく和食で5人分といったリクエストを考えて、煮物をタッパにつめた。
おにぎりは優ちゃんが握ってくれた。
・・・外科、志望の人って・・・美香思うんだけれども?もっときようじゃないと駄目でしょう?
見事に形の不ぞろいなおにぎりを見ながら、思わず優ちゃんの顔を見た。
優ちゃんが、美香の言いたいことがわかったのか、すねて私に言った。
「細かい作業じゃないからしにくい・・・。」
つまり、傷を縫うのなら綺麗に縫えると???
・・・どんな屁理屈?私は笑いながら返す。
「違うでしょう?する気がないからじゃん?・・めんどくさいって、顔に書いてる。」
自分の苦手な事を指摘されてますます膨れながら、自分の作ったおにぎりを袋に詰める彼を見てたら、この人は本当に私よりも年上なの?と思う。
・・・しかも、12歳も・・・・
笑いながら、出来たおかずを次々とつめる私を見て、優ちゃんが微笑む。
さっきまですねてたのにね?なにが、優ちゃんのご機嫌を治したの?
そして、後ろからふわりと私を包んで優しくささやいた。
僕が好きなのは美香だけだ、どんなことがあってもね? 絶対離さないからね?・・・と。
多分私の悩みなんて、この人はお見通しなんだろう。
年なんて関係ないよ・・・ね?
結局、眩暈は改善せず・・・。
毎日何かの拍子に回るので、戦々恐々です。
即効性のある薬はないんかいなぁ~~
清水 澄拝




