その115
美香を抱きしめながら、どう説明したものか・・と言葉を捜していた。
その内に美香がもういい・・・と言う。
・・・・・もう、落ち着いたという事か?
問い返そうとした僕に何も言わさずに彼女は食事が冷めるから・・と、僕の腕の中から出て行った。
美香を納得させる良い言い訳も思い浮かばないので僕はこれ幸いにと美香の提案に同意することにした。
食事をおえると美香は、黙って帰り支度を始めていた。
・・・やっぱり怒ってるよな?仕方がない・・・・
そんな美香の様子を見ながら美香の気晴らしになるならと、美香が寝てから抜け出してこっそり買っておいた昨日美香が買いそびれたスイーツを机の上に並べる。
美香は僕のする事をじっと見た後、スイーツと僕の顔を見比べてまた泣きそうな顔をして僕に言った。
「優ちゃん、あんまり美香を甘やかすとよくないんだよ?」
僕は美香の頭を引き寄せていった。
「僕が甘やかしたいのに?こんなもので美香の気分が晴れるなら、何時でも用意するよ?」
そういってキスを頭に落とした僕に美香は抱きついてきて、本格的に泣き出した。
「優ちゃんどうして何も聞かないの?」
僕は美香の目に口づけながら聞いてみた。
「聞いたら話してくれるの?」
僕の問いに黙りこくる美香がいた。
「美香が頑固なのは、きっと美香よりも僕の方がよく知ってると思うよ?」
そんな彼女を抱きしめて、”もしもう少しいてくれるなら、お昼はそとで食べたいから、お弁当をつくってほしい”と頼んでみたら、うなずいてくれた。
・・・・何とか彼女の気持ちを、少しでも軽くしたい・・・
美香の作ってくれたお弁当をもって、大学へ向った。
僕が言った目的地に怪訝そうな顔をする彼女に、槇原さんたちが、美香に会いたがってるし、僕も会わせたいひとがいるしと伝える。
それに、ここなら美香の会いたくないひとに会わないでしょう?といった僕の手を彼女は強く握り締めた。
槇原さんと待ち合わせてる中庭へ向かい、槇原さん達と合流して、美香に槇原さんたちと待つように伝えて僕はその場を離れた。
ーーーー
優ちゃんが寝てるうちにと、朝食を作っていたら、何時の間にか起きてきた優ちゃんにキスされた。
それもお子様の美香には刺激が強い、うなじにされて、心と体がざわざわと変な感じがして怖くなった。
びっくりして抗議したら、
「美香の年齢より、僕の恋人と言うことにウエイトをおきたい。」
といわれた。
でもこんな刺激の強い事は、ちょっとゴメンナサイしたい・・頭が真っ白になる。
思わずうなり声を上げて睨みつけたら優ちゃんに年齢考えてるから昨日は無事だったろう?とまで言れてしまった・・・・。
・・・無事ってどういう意味?無事じゃないって、どういう意味?・・・・・
何で怖いと思う美香の気持ちがわからないのか!
・・・思わず泣きそうになる・・・
私がお子様で、優ちゃんの大人の要求にこたえられないから、優ちゃんがかなり辛抱してるのは知っている。
でもね・・・・
だからといって美香はその要求にこたえられないことはもう言ってあるし。優ちゃんは約束してくれたはずだ・・。
しかも、私が悩みを抱えてる今そんなこと仕掛けてこなくても・・、これ以上、私が考える事を増やさないで欲しい・・・・
思わず泣きながら優ちゃんに訴えた。
「もう美香、優ちゃんのとこには泊まんない・・・」
そうだ、こんな気持ちを優ちゃんに何も言わずに慰めてもらおう・・と思ったのが間違いだったんだ。
ぼろぼろでる涙をとめることが出来なかった・・・。
優ちゃんはあせった様子で、美香の背中を子供をあやすように優しくたたく・・でも私はそれも気に入らない。
・・・・どうして私をお子様扱いするの!!・・・・
思わず今日ずっと気になってて、聞けなかった事を聞いてみた。
「優ちゃん、美香が来て迷惑?」
美香の質問に、優ちゃんは困ったように途切れ途切れに答える。
「・・・・いや?むしろ嬉しい。・・・うーんでも正直、微妙かなあ?」
・・・微妙ってなんなんだ?・・・
そんなに美香どうしようもないのかなぁ・・・と思わず声がでてしまった呟きに、優ちゃんがあせって、私をソファーに引き寄せ、後ろから抱きしめる。
抱きしめたまま何か思案し、私の頭のてっぺんにキスを落として、また考えてる優ちゃんの溜息と困った様子を感じていたら、
・・・もう、すべてがどうでも良くなってきた・・・
どうしてこうなるんだろう?
寝る間も惜しんで仕事して、毎日疲れて帰ってきてるのに・・・。
私は自分のことで手一杯で、優ちゃんをいたわってあげる事も出来ず、結局わがままばかり・・。
おまけに優ちゃんの大人の要求にもこたえてあげられない。
・・・結局私は、優ちゃんととつりあわない子供なんだ・・・
それがすべてのトラブルの原因なんだと思う。
ご飯を食べて、かたずけたらさっさと帰ろう、これ以上優ちゃんを美香のわがままで困らせてはいけない。
・・・優ちゃん・・・ゴメンナサイ・・・
でもそんな私のネガティブな思考を否定するように、食事が終わって帰り支度をする私の目の前に、優ちゃんは私が昨日食べ損ねたスイーツたちを黙って並べてくれる。
・・どうして?いつの間に?・・・
この人はやさしい。
いつも、美香が喜ぶ事を考えてくれている。
釣り合わない美香にあきれないで
・・・はなしたくない・・・はなれたくない・・・
思わず抱きついて泣き出した私を、優しい腕が、ぬくもりが、包んでくれる。
”どうして何も聞かないの?”
思わずでた私の疑問に、優ちゃんは答えてくれた。
「美香が頑固なのは、きっと美香よりも僕の方がよく知ってると思うよ?」
その言葉に私は私の体中に力が抜けるのを感じた。




