その112
・・たちが悪い・・・・
・・・こいつは、男の欲望がわかっていない・・・・・
美香が、抱きしめて欲しいというのなら仕方がない、僕の欲は置いといて紳士になるしかない・・。
そう思いいらぬ事を考えないように、文献に集中していた。
そうしたら美香が、もそもそと起き上がり、僕の胸に頭を寄せてこすり付けてくる。
その刺激と、柔らかく心地よい感触と美香の匂いに、思わず理性が飛びそうになる。
・・・・止めて欲しい・・・・
だが僕の心の叫びなんか聞いちゃいない彼女は、ますます僕にしがみ付くように抱きついて、じっと僕の胸に耳を寄せる。
・・・何の我慢大会なんだ?これは・・・・・・
もう文献の内容なんてどうでも良くなる・・どうしよう。
思わず彼女の頭にキスをして、顎に手をかけた・・・
・・・般若心境でも唱えたら、理性は取り戻せるんだろうか??・・・・
・・・・・いや滝にでも打たれないと無理かもしれない・・・・・
そんな、くだらない事を考えてたら、顎にかけた手をつかまれていきなり噛み付かれた。
ナニガオコッタンダ???
僕の動揺なんか知らない彼女は、そのまま低いうなり声を上げる・・。
・・ドウシタトイウンダロウ・・ドウシタインダロウ・・・・・
思わず美香に聞いてみた。
「・・おなか空いたんだったら、コンビニのスイーツでも買いに行こうか?」
思わずボケてみた僕の提案に彼女がうなずいた。
・・・こいつ絶対に、何があったか言わないつもりだな・・・・
僕は美香に問いただす事を諦めて、二人でコンビニに向かった。
コンビニは、歩いて10分のところにあり、美香はここのスイーツが大好きだった。
入り口から入ると、一目散にお目当ての場所を目指す。
いくつもの袋を見ながら、”優ちゃんいくつまで良い?”・・と子供のようなことを聞く。
・・・いや子供だった・・・・・
夢中で、お目当ての品を選んでいる美香を残し、僕は明日映画でも見に行こうかと情報誌を探しに行った。
雑誌のコーナーで本を選んでると、美香に話しかける声が聞こえた。
「橘さんこんな所で何してるの?」
・・友人・・だろうか?・・それにしては、美香の表情が硬い・・・
「こんな遅い時間に、家この近くじゃないわよね?」
くすくすと笑いながら告げられる悪意を含んだその言い方に、聞いていて不愉快になる。
「・・エンコーの話って本当だったんだ?」
それを聞いて何を言ってるんだろうと思う。思わず近寄ろうとした僕に気がついて、美香が首を振った。そして彼女のほうを向いていった。
「違う、いとこの家がこの近くだから泊まりに来たの。」
美香の台詞にまだくすくす笑いながら、
「口ではなんとでもいえるわよね?」
と返してくる。なんなんだ?このこは?
思わず近づこうとした僕に美香はもう一度、来るなと目配せをしてきた。
そして、選んでいたスイーツを元に戻して店を一人で出た。
僕はその後を、何気な様子を装いながらでてゆっくり美香の後を追い、コンビニにからみえないところで、美香を捕まえた。
下を向いて、うなずいてじっと涙をこらえている美香を見つけた。何があったのか聞いてみようと思ったが、コンビニで手を出すなといっていた様子から絶対こいつは言わないなと思う。
「帰って寝ようか?」
そういった僕に抱きついて何も言わずうなずく、僕はそんな美香を腕の中に囲いながら家へ帰り美香を腕の中に抱きしめて眠りについた。
・・・本当にこいつは頑固者だ、問題は見えてきたが、さてどうしようか?・・・




