その111
お風呂から出たら、優ちゃんがココアはいるかと聞いてきた。
・・どっちでも良かったが、まだ眠くないのでもらう事にした。
私がいれようとしたが、髪を先に拭けといわれてそのとうりにする。
私にココアを、自分はインスタントのコーヒーを入れて、リビングの簡易ソファーに座れという。
自分が先に座り、ひざの間に入るように手招きされた。
優ちゃんのひざの間に座ったら後ろ向きに抱きしめられた。
あたたかくて、ほっとする、守られていると思えるその感触に、優ちゃんの腕を自分の腕で抱き寄せる。
優ちゃんの腕に、そっと唇を寄せ、内緒でキスをした。
その腕はとても温かく優ちゃんのにおいがする・・・・。
首の後ろに優ちゃんの唇が当たってキスされてるのが判った。
・・・きもちがいい・・ずっとこうしていたい・・・・
夢心地のうちに、何時の間にか、ひざの上で丸くなっていた。
・・・このまま優ちゃんのぬくもりを思う存分味わいたい。・・・
優ちゃんの唇が耳元に触れた。
そしてささやきが聞こえた。
「聞いて欲しい?ただ抱きしめて欲しい?」
ああ、この人はわかってくれてると思う。
自分はひとりじゃないんだと思う。
「優ちゃんのぬくもりを感じていたい。優ちゃんのぬくもりが欲しい。」
思わす言った私の台詞に、優ちゃんが、息をのんで私を強く抱きしめて ”美香大好きだよ”とささやいてくれるのが聞こえた。
美香来ても良かったんだよね。
迷惑じゃないよね。
優ちゃんが美香を見て、溜息ばかりつくのは気のせいだよね。
暖かい優ちゃんのひざの上で。
暖かいうでの中で。
嫌な事全部忘れさせて欲しい。
優ちゃんが、本のページをめくる音だけが、静かな部屋に響いた。
少し体を上げて、優ちゃんの心臓の音を聞いてみた。
規則正しく打っているその音は、優ちゃんのぬくもりの中心から聞こえる。
優ちゃんの胸に、そっと耳を当ててその音を聞いていたら、もう一度抱きしめられて、頭のてっぺんにキスを落とされた。
ずっとこの暖かさの中でいたい。
このままでいさせてほしい。
ずっと、ずっと、ずっと・・・




