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昨日見た夢  作者: 清水澄
109/185

その109

  

 仕事が終わって、帰り支度を始めたのは美香と約束した時間を一時間過ぎた、20時過ぎだった。

美香に今から帰ると電話する。


 美香の待ってるよ・・と言う声を聞いて、幸せに浸る。


・・・ああ、帰ったら美香がいるんだ・・・お


 「顔ゆるんでる・・・変な人に見える。」

大きなお世話と思いながら、いつもどこからともなく現れて僕に突っ込む柳に舌うちをする。


 「・・あんまり邪険に扱うと、美香ちゃんに言いつけてやる。」


・・・・お願いですから止めてください・・・・・


われながら情けないと思いながらも、美香に柳への態度をとがめられたくない。

呆れる柳にさよならと告げ帰宅した。


________


明かりのついてる家に帰るのは、幸せな事だと思う。

特にそれが愛する人が待つ場所ならなおさらの事で・・・。

僕は、チャイムを鳴らして、美香が出てくるのをわくわくしながら待った。


「優ちゃん!!、お帰りなさい。」

満面の笑みで、迎えてくれる美香がいた。

思わず中に入るなり、玄関で抱きしめた。


「優ちゃん苦しいよ?」

もがいて僕の手から逃げようとする美香を、ますます強く抱きしめて、その頭のてっぺんにキスを落とす。

キスに気がついて美香がもがくのを止めて、僕にそおっと抱きついた。

「優ちゃんお帰りなさい。」

美香の暖かさと、柔らかさと、匂いを、僕はこの場で思う存分堪能する。


 ・・・・・ああ、僕の美香が僕の腕の中にいる。・・・・・


しばらくして、美香が僕の様子を伺いながら、言った。


「優ちゃんお風呂沸かしてるし、入る?」

思わず、一緒に入ろうといったら思い切り嫌がられた。

「・・・優ちゃん、冗談きつすぎる・・」


・・・・いや、本気なんですけれど・・・・


内心で舌打ちしながら、顔では笑顔を作って、お風呂場へいった。

暖かいお湯に浸かりつつ、幸せに浸った。

・・・鏡に映った自分の顔がにやけてるのが見えた。

本当に、馬鹿みたいだと思うでもとまらない・・・・


お風呂から出て美香の顔を見ながら、美香の作ったご飯を食べる。

その後リビングのソファーで再び、美香と一緒にいる事の幸せをかみ締めたが・・・ふと思った。


「そういえば、美香なんで今日は来たの?」

僕の答えに、言葉を濁す美香がいた。

少し不審に思いつつ、そういえば伯父達に美香を泊める連絡をしていない事に気がつき、美香に確認をした。


「伯父さん達、美香がここにいるの知ってるよね。」


うつむいて返事をしない美香・・・まさか・・・

「・・・しらないの!?」


慌てて時計を見たら、もう9時半過ぎている。

「・・学校から直接きたんだよね?連絡はいれてないの?」

次々とでる僕の質問に、美香は下を向いて、返事をしない。

「喧嘩でもしたの・・?」

これには黙って首を振る。


 僕は、美香に聞くことを諦めて、受話器を取って伯父に連絡をした。

叔父たちは、やはり帰りが遅い事を気にしていたようで・・。

・・そして、僕のアパートにいる事で、ますます美香の”身”を案じていて・・・。


『・・優希・・判ってるだろうな・・・』

伯父は低い声で、僕に”確認”をとる。


・・・伯父さん、言いたいことも、僕のしてはいけない禁止事項もわかりますが、自信があるかと聞かれれば、非常に怪しいです。前向きに努力はいたします。・・・・

僕は心の声は伯父に伝えず、あいまいに返事を返した。


 伯父と叔母に、美香がなぜ急に来たのか理由をを聞くが、”あなたに会いたかったんじゃない?”・・とのことで・・・。


・・・そうだろうか?だとしたら非常に嬉しいが・・・


だが、言葉少なげにこちらを見ながら様子を伺う美香を見ると、とてもそうとは思えず、本人に聞くしかないと電話を切る。


 素直に言いそうな雰囲気もない美香を見ながら、まあ、夜は長いから何とかなるだろうと思いなおす。


・・・これは、手を出すどころではないかもしれない・・・・


 何があったんだろうか?

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