その106
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鍵を渡すために医局へ向かう。
美香が嬉しそうにきょろきょろしていた。
「なんか、関係者以外立ち入り禁止の区域って、秘密のにおいがするね。」
・・・・何子供みたいなこと言ってるんだろう・・・・
そう思って、笑って美香のかおを見たら、子供だった。
冷静に考えて、中学生と思うと。手を出す事など考えもつかない。
・・・・でも、それが美香だと思うと、勝手が違う・・・・・
・・・・・・・我慢できなくなる・・・・・
子供だとか、幼いからとか、僕が大人で待つべきだとか、彼女といるとそんなことどうでも良くなってしまう・・。
僕ってこんなに、こらえ性のないタイプだったのか・・・・
考え込んでいると、ふと美香が僕の顔を覗き込んでいた。
「・・・優ちゃん、美香勝手に来て怒ってる?迷惑だった?」
慌てて自分の考えを悟られないように、美香の顔を見て答えた。
「僕もとても会いたかったから嬉しい。迷惑なんて思ってないよ?」
美香の眼を見返しながら言った僕の台詞に、ほっとしたように美香が答えた。
「・・優ちゃんがお仕事忙しいのもわかってたんだけれども・・・」
美香の顔を覗き込みながら、美香の言葉を待つ。
「でも、会いたいと思ったら我慢できなくて、来るつもりなかったのに気がついたら、電車乗っていたの。」
美香が僕の腕を引き寄せて言う。
「優ちゃん忙しいなら言って?美香ご飯だけ作って帰るから・・・。」
思わず美香の顔を覗き込んで僕は言った。
「帰った時に美香がいないと寂しいからいて欲しい。」
僕の言葉に美香が真っ赤になって、うなずいた。
・・・かわいい・・・・
思わず抱きしめたくなったが、ここは医局前・・。
キスをしたい・・と思う思いを、理性を総動員しながら我慢する。
その時に、向こうから角野先生が来るのが見えた。
「・・・中野、その子は?」
怪訝な顔をする角野先生に、美香を前に出して紹介する。
「以前先生に、アッペの手術をしていただいた。いとこです。」
僕の言葉に、美香が自己紹介をした。
「橘美香です。先日は有り難うございました。」
まだ怪訝な顔をする角野先生に、僕は以前槇原さんが言った誤解を解くべく、続けた。」
「先生の娘さんとのお話をお断りした時に心に決めた人がいるってお伝えしたその相手です。実は先月正式に婚約しました。」
角野先生は、僕の顔を見て、美香の顔を見て、・・君いくつ?と聞く。
美香が14ですと答えると。もう一度驚いた顔をして、僕を見た。
「・・僕は、そういう趣味でなく、昔から美香だけが好きなんです。あれは槇原さんが先生の娘さんとの話を断るために半分作った話です。」
角野先生はもう一度僕の顔を見た。
「美香はまだ中学生なので、このことが公になるとあまり言い影響がないかも知れないので、今のところこのことを知っているのは一部です。でも、先生にはお話しておこうと思って、お伝えしてます。」
僕の顔を見て、にこっり笑って美香のほうを向いて角野先生が言う。
「・・君は、中野のどこが良いんだ?大人で頼れるところ?」
その台詞に、美香はきょとんとして言った。
「・・槇原先生も、柳先生も同じような事聞かれるんですが、優ちゃん・・・優希さんが、私に対して大人の対応をしてくれる事は余りありません。むしろ、私より子供っぽいです。」
・・・僕は、美香の口をふさぎたくなり・・・
思わず美香を引っ張ったが、美香は動じずに、僕のを払いのけて続けた。
「私は優ちゃんが優ちゃんだから好きなので、どこがといわれても困ります。でも、私が一緒にいたいのは優ちゃんだけで、優ちゃん以外には考えられません。」
はっきりと角野先生の眼を見て言ったその美香の瞳を見て、先生は笑いながら続けた。
「・・中野が惚れるわけだな?中学生か?お前よりしっかりしてるな?」
僕は思わす謝ってしまう。
「すみません・・・。」
僕の顔を見ながら角野先生は、再び笑って、続けた。
「実はな、娘に子供が出来てな。」
僕はびっくりして先生の顔を見る。
「君との話を聞かせたら、そのすぐ後に、好きな人がいると来たものだ・・」
角野先生は溜息をつきながらでも、嬉しそうに続ける。
「許さないといったら、実力行使に出られてな?・・来年早々におじいちゃんだよ。」
・・・・・ここでおめでとうといって良いものだろうか・・・・
僕が考えあぐねてると、美香が嬉しそうに言った。
「わ~~楽しみ♪ 赤ちゃん見たい!!」
美香の台詞に、相好を崩して、角野先生が言った。
「・・相手は気に入らんが、出来たものは仕方ないしな?」
美香が続ける。
「おじいちゃんになっちゃうんですね?」
・・・美香!!!・・・・・・
僕の心の叫びにも気づかず彼女は続ける。
「嬉しいですね!!」
思わず、口をふさごうとした僕のその手を持ったまま、満面の笑みで言った彼女に角野先生は言った。
「絶対に、娘には喜んでる事は内緒にな?フライングは、きちんと反省してもらわないと親としての示しがつかないし。」
美香は真っ赤な顔でうなずいた。そして僕を見て言う。
「優ちゃん聞いてる?」
・・・聞いてますよ?・・
僕のほうを真剣なまなざしで見る美香にうなずきながら、角野先生にお伝えする。
「・・おめでとうございますと、言わせていただいて、宜しいんでしょうか?」
僕の台詞に美香が”当たり前何言ってるの”、と言った顔をして僕を見上げる。
角野先生は、僕とそんな美香を見比べながら、笑いながら美香の頭を撫で回しながら言った。
「・・そうだな、嬉しい事は、嬉しいと感じないとな。ありがとう。人を好きになるのは何かの思惑や常識でで左右されることではないよな?」
美香が不思議そうな顔をして、爆弾を落とす。
「・・じゃあ、先生が優ちゃんに娘さんの話を持ってきたのは、思惑があったからですか?」
・・・美香・・黙れ・・・・・
「・・そうだな、一番見込みがありそうで、一番娘を幸せにしてくれそうと思ったけれど、娘の気持ちは考えていなかった。僕の独断の思い込みだったかな?」
美香はしたり顔で言う。
「・・それは、いけてませんね? ざんねんですね?」
角野先生は、笑いながら続けた。
「・・僕も、そう思うよ。僕の都合だったからな?」
角野先生が、中野また飲みに行こうと言いながら去っていかれた。
僕は溜息をつきながら、美香に言う。
「・・・お前な? 僕に良く空気読めって言うけれども、お前も大概でないですか?」
僕の言葉に美香がきょとんとした顔をして、言った。
「え? 美香には、誰かに喋りたくてたまらないけれど、素直に言えないんだ・・って見えたけれども?」
・・・・違ったのかなぁ?・・・
3秒ほど考え込んでるように見えたが、すぐに顔をあげて、僕に向かって笑顔で言った。
「でもまあ!めでたい事だし?良いじゃん!?」
・・・・僕はきっとこいつにこうやって、一生振り回されそうな気がする・・・・
溜息をつきながら、医局横の研修医のロッカーから鍵を取って、美香に渡した。
「おとなしく待っててください、帰るなよ?」
僕の台詞に、美香は嬉しそうに”優ちゃん大好き”と言う。
・・・はい、僕も君が大好きです・・・・・




