その10
美香につられて、入団した僕だったが、子供たちの笑顔と、めまぐるしく成長し変化していく子供たちの様子に、僕のほうがいつの間にかはまって夢中になっていた。
平日は、通学時間と終電までの時間を学校で過ごして勉強時間に当て、休日はサッカーとハードだったが充実した日々をすごしていた。
美香の虫除けと言うおまけも兼ねて僕は毎週通っていた。
僕のにらみが効果があったのか、美香にボーイフレンドらしきものも出来ず、3年が過ぎた。
基礎教育も終わり専門的な教育内容になり、僕の自由時間はどんどん減っていった。
学業が忙しくなった事もあって、4年目の秋には殆んど練習に参加できず、帰宅も侭ならず結局5年目の春に僕は大学の近くに下宿した。
なるべく月一回週末には帰宅するように心がけたが、なかなか時間がとれず・・・帰る間隔が、2ヶ月に伸び・・その内気がつけば、数ヶ月があいていた。
6年目の5月ゴールデンウイークを利用して久しぶりに帰省した僕は久しぶりに少年団に参加する事にした。
朝、美香を迎えに行くと彼女は台所でお弁当を作っていた。
「・・・・どうしたの?誰のお弁当・・?」
僕の質問に真っ赤になって美香が下を向く。それを見て叔母が笑いながら小さな声で教えてくれた。
「大好きな人に久しぶりに会えるから・・・ね?」
・・・・僕の・・・ことではなさそうだ・・・。
「お母さん!!優兄ちゃんには、内緒にしといって言ったのに!! 美香が言うって言ったのに!!」
美香が真っ赤になって、叫んだ。お弁当の横にはきれいにラッピングされた手作りのクッキーがおいてある。
叔母は笑いながら続けた。
「まあ、美香の彼を見てやって。今日来るはずだから。」
・・・・だれだ・・・・?
僕のかもし出す不穏な空気にはまったく気づかず、叔母は笑いながらキッチンを出て行った。
明らかに機嫌の悪くなった僕のご機嫌を伺うように美香が言った。
「優ちゃんの分ももちろんあるから大丈夫・・よ?」
・・その美香の言い方では、やはり僕のために作ってくれたのではないようだ・・。
その台詞を聞いて僕の機嫌はますます下り坂に向かった。
・・・・絶対許さない。僕の美香に手を出したのはどこの誰だ!!!・・・・




